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AIでプロ野球選手を高速に特定。マイクロソフト技術で写真管理を効率化

日本マイクロソフトは26日、プロ野球選手が写った試合写真をAIに画像認識させ、顔が映っていなくてもフォームなどで名前を特定して自動でタグ付けする機能を開発。富士フイルムイメージングシステムズのコンテンツ共有・管理サービス「IMAGE WORKS」に実装されたと発表した。6月から広島東洋カープなど5球団で試用され、2019年には日本野球機構(NPB)が管理運営するNPB CIC(Contents Images Center)を導入している全球団が利用予定。

「選手名情報自動タグ付け機能」操作画面イメージ

NPBは、日本プロ野球のセントラル・リーグとパシフィック・リーグを統括しており、IMAGE WORKSを利用した「NPB CICサービス」で各球団が所有する写真資産を一元的に管理。写真を利用したいゲーム会社やグッズメーカーなど、各球団の取引先への写真貸出・請求管理を行なっている。

写真利用者が検索しやすいように、各写真に写っている選手を特定してタグ付けする必要があるが、従来は1試合あたり最大3,000枚の写真の中から300枚程度を選別し、球団関係者が試合終了後、手動で約4時間かけて作業していた。

マイクロソフトではこれらの写真解析用に、学習済みAI「Microsoft Cognitive Services」とディープラーニングフレームワーク「Microsoft Cognitive Toolkit」を採用して「選手名情報自動タグ付け機能」を開発。選手の顔が写っていない斜めや横から撮影されている写真でも、打撃や投球、守備、走塁の4つのシーンに分類し、選手名の推定を可能にした。

作業にかかる時間は、選手名の自動タグ付けからマニュアルでの最終的な確認作業も含めて30分程度。高速処理により、従来の約8分の1まで短縮した。

IMAGE WORKS「選手名情報自動タグ付け機能」処理の流れ
打撃や投球など4つのシーン分類で、選手の顔が映っていなくても名前を推定可能

機能のモデル開発にあたり、マイクロソフトはMicrosoft Researchのニューラルネットワークモデル「ResNet」を提供。MAGE WORKSの開発元である富士フイルムソフトウエアと検証を重ね、選手名の推定精度を認識率90%以上まで高めたとする。

富士フイルムイメージングシステムズは今後、プロ野球以外の野球団体や、野球以外のスポーツでの同機能の利用、一般企業のコンテンツ活用への展開、さらにビデオ分析機能 「Azure Video Indexer」を活用した動画解析なども視野に入れる。

マイクロソフトは、学習済みAIとカスタマイズできるディープラーニングフレームワークとの組み合わせを活用して、医療分野などへの応用も検討していく。