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「ハイレゾワイヤレスロゴ」誕生。“無線でハイレゾ”の指標を規定
2018年11月28日 09:00
日本オーディオ協会は、Bluetoothなどの無線オーディオ機器を対象に、ハイレゾオーディオとして十分な音質を満たす製品と定めた「ハイレゾオーディオワイヤレスロゴ」のライセンスを28日より開始した。協会が認証したオーディオコーデックをサポートし、ハイレゾが楽しめる十分な音質を備える製品にロゴの使用が認められる。早ければ12月中にも“ハイレゾワイヤレス”のロゴが、無線オーディオ機器に使われ始める予定。
ワイヤレス接続で音楽を聴くスマートフォンやワイヤレススピーカー、ワイヤレスヘッドフォンなどの普及を考慮し、現在ライセンスしている「ハイレゾオーディオロゴ」に、新たに“ワイヤレス”カテゴリーを設置する。
これまで、96kHz/24bit以上の非圧縮/可逆圧縮のオーディオ信号を伝送することを基本としていた「ハイレゾオーディオロゴ」に対し、「ハイレゾオーディオワイヤレスロゴ」は、この信号を伝送する帯域を持たないワイヤレス接続において、圧縮したオーディオ信号を伝送する機器の中でもハイレゾオーディオとして十分な音質を持つ製品を示すものとしてライセンスを行なう。
ロゴを対象製品に使用することで、消費者に1つの判断材料を提供すると共に、音質に優れるハイレゾワイヤレス製品の普及をサポートするのが狙い。
ライセンスの対象は「無線接続以外はハイレゾオーディオロゴの規定を満足するもの」という前提条件を踏まえた上で、下記条件を満たすことが求められる。
・機器間の信号伝送にあたり、ハイレゾオーディオロゴで規定されているデジタル信号(96kHz/24bitのWAV/FLAC)を伝送するには十分な帯域を持たない無線方式を用いるもの
・その伝送路上で協会が認証したオーディオコーデックを用いデジタルオーディオ信号を伝送するもののうち、所定の性能、品質を有する製品
あくまで、無線接続以外はハイレゾオーディオロゴ規定の条件を満たす必要があるため、48kHz/24bitなど、96kHz/24bitに満たないDACチップを搭載するBluetooth製品はロゴを使用することができない。
協会によるコーデック認証は今後行なわれるが、96kHz/24bit信号が処理できるワイヤレス製品は、LDACコーデックをサポートする機器となることだろう。LDACが認証された場合は、LDAC対応製品で“ハイレゾワイヤレス”のロゴが使われることになりそうだ。
コーデックの認証には検証ツールを使い、また仕様だけでなく、協会の複数のメンバーが十分な音質に達しているか、否かを試聴テストするという。
なお「技術部会での議論が途中段階にあり、評価方法や評価指標の検討も十分でない」との理由から、今回のライセンス認定では“内部で無線通信を行なうオーディオ機器”が除外されている。このため、完全ワイヤレスのイヤフォンや、2台を組み合わせてステレオ再生するBluetoothスピーカーなどは、認証コーデックを用いた製品でもハイレゾワイヤレスロゴは使用できない。
この点について、技術会議議長も務める森専務理事は「議論と評価方法が成熟したら、規定の見直しを適宜検討する。完全ワイヤレスイヤフォンを将来にわたり除外するという意図はない」としている。
28日のライセンス開始と同時に、協会Webサイト上で「対象オーディオコーデックの申請」受付を始める。対象製品の申請受付は、コーデックの承認後となるため「ワイヤレスロゴが製品に使われるのは、早くても12月以降」となる予定。
“ハイレゾロゴ”開始から4年。約170社・2,000モデルに拡大
“ハイレゾワイヤレス”のロゴライセンス開始に先立ち、日本オーディオ協会は説明会を開催。登壇した同協会の森専務理事は「ハイレゾオーディオロゴのライセンス開始から、約4年が経過した。今や法人会員を含め、ライセンシーは約170社を数え、ロゴを付与したオーディオ機器は2,000モデルにまで達した。ハイレゾロゴは多くのユーザーに認知されたと考える」と4年間におけるロゴの普及状況を総括。
「一方で市場を見ると、ハイレゾロゴで大多数を占めるヘッドフォン・イヤフォンで従来モデル(有線接続モデル)の成長が鈍化し、ワイヤレスモデルの伸びが顕著になってきた。しかし、これらの音質については基準が無く、やや“野放し”という感があった。技術の進歩により、一部ワイヤレスのオーディオ機器でもハイレゾ・高音質が実現できるようにもなった。部会で検討を重ね、今回、無線接続における高音質の基準策定とロゴライセンスを用意した。ワイヤレス接続における高音質の指針を示しつつ、良い音を消費者に広く届けることができると考えている」とした。