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旭化成の最上位DAC「AK4499」。左右分離イヤフォンの省電力化も
2019年1月15日 08:30
旭化成エレクトロニクス(AKM)は、「CES 2019」において、新たなフラッグシップオーディオDAC「VERITA AK4499」や、左右分離イヤフォン向けDAC「AK4332」、電磁波吸収シート「PULSHUT」の新たなオーディオ向け用途などを紹介している。
電流出力採用の新DAC「VERITA AK4499」など
「VERITA AK4499EQ」は、オーディオDACシリーズの最上位チップ。AKM初の電流出力方式を採用(従来は電圧出力)。-124dBの低歪みのほか、ダイナミックレンジやSN比もモノラルモード時140dBを実現し、世界最高クラスの特性値を謳う。'19年1月よりサンプル出荷、5月からの販売開始を予定する。
電流出力にした理由については「世界No.1のスペックを実現することを目的に、アーキテクチャーにはこだわらずに技術的な検討した結果、電流出力にした方が有利と判断した」とのこと。もう一つの理由は、「電流出力の方が音作り/チューニングがしやすいと考えるメーカーもいる」と想定しているためで、今回のCESなどで市場の反応を見るという。電圧出力から電流出力へ変更する際は、歪みが発生するメカニズムも変わるため、電流出力でも歪みを発生させないことに注力したとしている。
省電力のモバイル向けDACとしては、Bluetoothヘッドフォン/ネックバンドイヤフォンなどをターゲットとしたステレオの「AK4331」や、左右分離イヤフォンなどへの搭載を見込むモノラルの「AK4332」を紹介。
これらは、従来よりも小型のバッテリでも動作するように電流を下げ、音質は維持したいというメーカーに向けて提供するDAC。ステレオの「AK4331」と、さらに省電力化したモノラル構成の「AK4332」を開発中。ダイナミックレンジとSN比はいずれも109dB。
電気自動車のエンジン音生成、電磁波吸収でヘッドフォンケーブルの音質向上
オーディオプロセッサーのAK7015/AK7707を使った、自動車のエンジン音を生成する「Engine Sound Creator(ESC)」も紹介。電気自動車などへの搭載を見込んでいるもので、収録された音源を再生するのではなく、アクセルを踏み具合などに応じて生成するため、外部メモリーなどは不要だという。専用のチューニングツールと合わせてデモを行なっていた。
スマートスピーカーなどの音声操作向けに、マイクのエコーキャンセル強化によって遠くの声も拾いやすくした技術を紹介。ノイズ分離性能を向上したことで、従来必要な数より少ない3つのマイクでも音を認識しやすくしたという。
旭化成の繊維事業部が展開する「PULSHUT(パルシャット)」は、広い周波数帯域で高ノイズ(不要電磁波)抑制を実現したノイズ抑制シート。パソコンやスマートフォンなどのほか、オーディオ機器にも使われている。
今回紹介しているのは、細長いリボン状のPULSHUTを、ヘッドフォンケーブルに巻き付けたもの。不要なノイズを低減できるという点をアピールしている。