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ソニー「toio」で遊びながらプログラミング。想像力を刺激する未体験おもちゃ
2019年1月24日 09:00
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、3月20日に発売するトイ・プラットフォーム「toio(トイオ)」のメディア向け体験会を開催。toioを製品化した狙いを説明したほか、同時発売のタイトルを使った様々な遊び方を紹介した。
子どもが作って遊べる“ロボット・トイ”のtoio(16,980円)は、本体部分の「toioコンソール」(コンソール)と、リング型コントローラー「toioリング」(リング)、マットの上などで動くキューブ型ロボット「toioコアキューブ」(キューブ)で構成。これらと対応ソフトを組み合わせて、キューブを思い通りに動かしたり、2つのキューブで対戦するゲームなどを作って遊びながら、プログラミングも学べるのが大きな特徴。
対応タイトルは「トイオ・コレクション」と「工作生物 ゲズンロイド」、「GoGo ロボットプログラミング ~ロジーボのひみつ~」の3つが同時発売され、価格は各5,980円。toioとトイオ・コレクションをセットにした数量限定の「toio バリューパック」(19,980円)も用意する。
基本的な使い方は、各タイトルに含まれるカートリッジをコンソールに差し込み、キューブに指示(プログラミング)をすると、その通りにキューブが動くことで、様々な遊びができるというもの。プログラミングをキーボードなどで入力するのではなく、キューブに搭載したセンサーで読み込むという簡単な方法のため、プログラミングに詳しくなくても遊べる。プログラミングの詳細な方法はタイトルによって異なるが、専用の本やカードに書かれた図にキューブをタッチするのが主な方法だ。
キューブは文字通りただの四角いパーツに見えるが、様々な動きをさせることで、タイトル(ソフト)によっては車になったりロボットや謎の生き物になるなど様々なものに変化。操作は簡単でも、ソフト開発次第で様々なものが生み出せる、想像力/創造力を刺激する新たなおもちゃといえる。
- トイオ・コレクション
別売のレゴブロックや日用品などを使って工作したファイターをキューブにつけて戦う“クラフトファイター”など、5種類の遊びが楽しめる - 工作生物 ゲズンロイド
“ピタゴラ装置”で親しまれるクリエイター集団・ユーフラテスによる動きの工作ブック - GoGo ロボットプログラミング ~ロジーボのひみつ~
プログラミングの3つの基本要素(順次、分岐、反復)が学べる冒険絵本
体験会では、“新しいインタラクティブエンタテインメント”を提供するtoioと、専用タイトルの紹介、toioを使ったプログラミングデモが行なわれ、今後発売予定の第4弾タイトル「ドライビング(仮称)」も紹介された。
リズムに合わせて動きをプログラム。対戦ゲームも
「トイオ・コレクション」は5種類の遊びが楽しめるパッケージ。そのうち「リズム&ゴー」は、キューブを車に見立て、コンソールのスピーカーから音声で指示された通りにキューブを動かし、マット上にある目的の「色」のマスへ移動させるゲーム。
キューブへの指示は、前後左右の矢印と「GO!」マークが書かれた別のシートにタッチして行なう。例えば「↑、←、↑、GO」とタッチすれば、車が前に1マス、90度回転して左に1マス進み、もう1マス前進して止まる。正しい色の場所に止まるとレベルアップ。2つ以上の色を通るなど、より複雑な命令にチャレンジできる。一定時間内に指示できなかったり、間違った場所に止まるとレベルが下がる。単純なルールではあるが、頭の中で動きを組み立て、時間内で正確に指示を完了するのは意外に難しく、レベル4あたりになると大人でも多くの人が間違えるという。
様々な動きの“生物”を作れる
「工作生物 ゲズンロイド」は、紙工作をキューブに取り付けると様々な“未知の生命体”になり、動きのプログラムを注入すると生き物のように動くという工作キット。「ピタゴラ装置」などで知られるユーフラテスが開発した。
2つのキューブに1枚の細長い紙を付けて、尺取り虫のように動かしたり、カニのハサミのように物をつまむ動作をさせるなど、キューブだけで様々な生物を表現できるのがユニーク。キューブに目玉のようなパーツを取り付けて、もう1つのキューブを動かすと、それをエサのようにじっと見つめたり、逃げると追いかけるなど、本当に生きているように多様な動き方を見せる。
キューブには絶対位置センサーや6軸検出システムを搭載し、マット部分に印刷された絶対位置情報を座標データとして使うことで、コンピュータの中ではない実世界でも、空間を活用したプログラミングが可能。基本的にはマットからはみ出さないように遊ぶ形となっているが、マット外でラジコンのようにリングで動かすこともできる。
「めいれい」カードで遊びながらプログラミングの基本が身に付く
「GoGo ロボットプログラミング ~ロジーボのひみつ~」は、「みぎをむく」、「いっぽすすむ」など様々な「めいれい」カードを並べて、ボード上にあるロボット(キューブ)に目的の動きをさせるというもの。めいれいカードの上をロボットに走らせると内容を読み取ってプログラムが完了。本の上にのせると、プログラム通りにマス目の上を動く。正解すると次の冒険に進める。
単純な動きだけでなく、「じょうけん」や「くりかえし」などのカードも組み合わせることで複雑な動作ができ、絵本のストーリーに沿ってロボットの大冒険を楽しみながら、プログラミングの三つの基本構造「順次、分岐、反復」を学べる。
4つ目のタイトルも登場。プレステのSIEが提案する新たな遊び
2019年内に発売予定の第4弾タイトル「ドライビング(仮称)」もデモ。キューブを車とし、リングをハンドルのように回してマット上のコースを走れるもので、チェックポイントを通過しながらゴールを目指す「レースモード」と、1台が逃げて1台が追いかける「ケードロモード」をプレイ可能。フリードライブモードも用意する。
toioの絶対位置検出を利用したマップの管理により、走行やイベントを制御。小さなマップ内でも快適な走行と遊びを凝縮しているという。なお、実際の製品化に際して使用などが変更する場合もあるという。
toio開発者のソニー・インタラクティブエンタテインメント T事業企画室 田中章愛課長はロボットのエンジニアであり、ソニーコンピュータサイエンス研究所で出会ったメンバーや、カメラのソフトウェアエンジニアとともに発案。SIEでプレイステーションの開発メンバーとも協力して発売が決まったという。
田中氏は「ゲーム性のある遊びや、シナリオのある遊びに夢中になって、ひらめきや工夫のきっかけになる。遊び自体を子供が作り出すような体験をしたい」とtoioの目的を説明。製品化に向け、多くの子供が体験しただけでなく、100人以上の親の意見も踏まえてブラッシュアップ。昨年ソニーのクラウドファンディングECサイト「First Flight」を通じて先行発売したtoioユーザーからの意見も反映し、「プログラミングしてロボットを作りたい」といった要望も採り入れたという。なお、昨年の製品3月発売のtoioとは互換性がなく、先行購入ユーザーに向けては無償交換プログラムが提供される。
SIEのプラットフォームプランニング&マネジメント 統括責任者を務める西野秀明シニアバイスプレジデントは、ソニーグループの中でSIEがtoioを発売する理由について、「プログラミングできるのがSIEにとって重要。ユーザーが反応して操作するインタラクティブな体験が提供できる。プログラミングのデジタルデータをネットワークを通じてシェアできるため、多くのユーザーが同じ体験をすることもできる」と説明。
今後の方針について「これまでゲーム体験を提供してきたSIEが、ハードウェア商品や、ユーザーとクリエイターをつなぐプラットフォームに関する知見、技術をtoioにも活用する。プレイステーションとはターゲット層などが異なる別のブランドとして、まずは国内へ戦略的に展開していく」と述べた。