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ソニー、高感度に強い「α7S II」で“月明かりの下で舞う能”を撮影
2019年2月14日 15:56
ソニーは、同社デジタルカメラの魅力を紹介するWebサイト「α Universe」において、高感度撮影に強い「α7S II」などを使い、月明かりの下で舞う“能”を撮影したドキュメンタリー動画「伝承の地・月下に舞う『羽衣』 -新『能』PROJECT-」を公開した。
“型”を重視する伝統芸能・能の中でも、人気の演目「羽衣」は、日本新三景「三保松原」を舞台とした物語。そのクライマックスには、主役の天女が月に帰るシーンが存在するが、実際の三保松原にて、初めて月明かりの下で舞うことに挑戦した。
「伝統を継承するためにこそ、革新が重要である」をコンセプトとし、新しい表現・新しい取り組みに挑戦してきた能楽師・佐野登氏と、伝統芸能を革新的でアーティスティックに表現してきたビジュアル アーティストの坂本光則氏がタッグを組んだ動画で、「天女の気持ちと同化する環境に身を置くことで「物語の新たな本質」の気づき、 「新しい舞」を生み出すことに挑んだという。
撮影は23時〜25時30分頃にかけて実施。月光はあるが、足元もまともに見えないという暗さ。限られた光と時間、潮風も吹く過酷な環境下で、写真撮影機材として選ばれたのはミラーレス一眼カメラ「α7R III」。動画は高感度・動画性能の高い「α7S II」が使われた。挑戦の様子を描いたドキュメンタリー映像も、すべてαで撮影されている。
静止画撮影で主に使われたレンズは、ソニーGMレンズの「85mm F1.4」。「暗い場所であったが、フリーハンド撮影時でもシャッタースピード1/20~1/18で撮ることが出来た。これは暗い中でも手ブレ補正がすばらしいからだと思う。光量の少ない撮影全行程においてαへの安心感があった」(坂本氏)という。
宝生流 能楽師 シテ方 佐野登氏
能『羽衣』の天女の役を、何度も演じてきた。しかし、月明かりの下で演じるとどうなるのか。三保松原で舞うことで、その謎が解けるのではないか。
実際に撮影された写真を拝見し、正直に感じたことは、あの暗闇の中でこんなに衣装が綺麗に写るということ。これから天女の役を演じる中で、大きなヒントを感じた。常に革新する思いを持たなくてはいけない。新「能」PROJECTを経て、一層強く感じた。
ビジュアルアーティスト 坂本 光則氏
佐野さんの想いを写真で形にしたいと思った。同時に、佐野さんの挑戦を、「写真で形に残す」責任感を感じた。しかし、月光のみの非常に暗く難易度の高い撮影環境下で、色のグラデーション、細部の質感を豊かに表現する、高いバランス性能がカメラには求められた。
今までのカメラの概念では難しいことが、「α」なら可能かもしれない。そう信じた。
能楽堂では距離の問題で見せられない、装束の繊細な質感、一本一本の金糸の煌びやかさがカメラの眼を通し、初めて届けられたと感じた。
今まで使っていたカメラでは不可能だった、フリーハンドでの撮影、スピーディーなピントの合い方や、解像度の高さ。それらが、「α」によって可能になった。
わたしはアナログ時代のカメラマンで、ミラーレスカメラを使ったことはなかったが、デジタルカメラの先進性、技術の発展、ここまで来ているのかという凄さを改めて感じた(もうミラーレスをオモチャとは思わない)。
周囲でもミラーレスカメラを使っているという話を聞いており、サイレント機能やブレ補正、解像感、撮影感度の話を聞いてはいたが想像以上だった。今回のチャレンジにより写真という概念が変わった。これはソニーのセンサー性能の発展によるものだと思う。
αはとにかく軽い。これまで一眼レフになれていたが、その重量感がよいというのは思い込みなのではと思った。αはコンデジ並みに軽く、ここまで繊細な色調表現、質感を出すことができる表現力がある。複数台のカメラを肩からかけて撮影をしたが、首が疲れることもなく、疲労感が全体的に少ない。この小型軽量ボディは撮影に役に立つと実直に感じた。