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静電型×BAでULTRASONEのハイエンドイヤフォン復活「SAPHIRE」約399,980円

アユートは、独ULTRASONEのハイエンドイヤフォンとして、静電型のスーパーツイーターとバランスドアーマチュアドライバ(BA)を組み合わせた4ウェイ6ドライバーの「SAPHIRE」(サファイア)を4月に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は399,980円前後(税込)。

「SAPHIRE」

既報の通り、ULTRASONEの輸入販売は、従来のタイムロードから3月1日にアユートへ業務移管されている。

ULTRASONEは、2004年に世界限定999台で発売したヘッドフォン「Edition 7」が大きな話題となり、発展したメーカーだが、SAPHIREはそれから15年後に登場するイヤフォンで、「イヤフォン市場においても他に類をみない究極のハイエンド製品を投入したい」というコンセプトで作られている。

ドライバー構成は、静電型スーパーツイーター×2、高域用BA×1、中域用BA×1、低域用のBA×2。最大の特徴は、スーパーツイーターに静電型ユニットを採用した事。一般的な音楽プレーヤーなどのイヤフォン出力からの電力を、16μmワイヤー15,000巻コイルによる内蔵トランスで100倍に増幅して駆動しているため、静電型ユニット向けの専用アンプなどは不要という。

再生周波数帯域は10Hz~50kHz。インピーダンスは25Ω。音圧レベルは106dB。

ドライバー構成

静電型スーパーツイーターの振動板は6μgと非常に軽量で、それを活かして正確な過渡特性を実現したという。振動板にはゴールドコーティングも施している。

コンパクトな筐体に多くのユニットを搭載するため、薄くても強度がある航空機グレードのアルミニウムを筐体に採用した。

ケーブルは着脱可能で、2ピンコネクタを採用。3.5mm 3極のアンバランスケーブルと、2.5mm 4極バランスケーブルを同梱。どちらも長さは1.2m。ケーブルを省いた重量は約15g。

ケーブルは着脱可能で、2ピンコネクタを採用

イヤーピースはSpinFit、コンプライフォームタイプを用意。ハードレザーキャリケースなども同梱する。

ステレオミニのケーブル
2.5mmのバランスケーブルも同梱する

音を聴いてみる

Astell&Kernの「A&ultima SP1000 Stainless Steel」と組み合わせて試聴した。まず、静電型ユニットを使っている点だが、鳴らしにくいイヤフォンではなく、例えばSP1000の場合、ボリューム値90程度(最大150)で十分な音量が得られる。いい意味で、静電型だと意識せずに使えるイヤフォンと言えそうだ。

音質は、静電型のスーパーツイーターを使っているので「繊細で解像度は高いけれど、あまり低音は出ない、大人しい感じの音なのかな?」と予想していたが、音が出ると気持ちよくそれを裏切ってくれる。

低域用のBA×2構成が効いているのか、押し出しの強い、パワフルな低音がガツンと出てくる。ダイナミック型のような、ボワッと膨らむ低音ではなく、ソリッドでシャープ、高解像度だが、音の1つ1つにゴリッと芯があるような低音だ。

その上は、高域用BA×1、中域用BA×1、静電型スーパーツイーター×2と繋がるが、特筆すべきはBAの音と、静電型の音が違和感なく繋がっており、音色の違いを感じさせないナチュラルなサウンドに仕上がっている事だ。

それでありながら、女性ボーカル+ピアノなどのシンプルな楽曲を聴くと、高域の描写に静電型らしい、繊細で丁寧な描写力を実感できる。BAの鋭い高音とは一味違う魅力で、パワフルさと繊細さを兼ね備えたハイエンドイヤフォンと言えるだろう。

苦労も多かった静電型ユニット搭載イヤフォンの開発

ULTRASONEのMichael Willberg CEOは、SAPHIREの名前の由来について、「イヤフォンマーケットで輝く存在に、そしてブリリアントなイメージを込めた。今後、製品名称に数字ではなく、SAPHIREのような名称を使っていきたいという戦略でもある」という。

ULTRASONEのMichael Willberg CEO

生産は終了しているが、ULTRASONEでは「IQ」というイヤフォンをかつて手がけており、SAPHIREは久しぶりの高級イヤフォンの新製品となる。「IQの後も、市場には様々なプレミアムイヤフォンが登場しているが、その中でも、静電型ユニットを使ったイヤフォンはあまり無く、狙い目ではないかと考えた。ULTRASONEらしいイヤフォンで、プレミアムイヤフォン市場にカムバックできたと思う」と語った。

その静電型ユニットについては、「搭載しようというアイデアは以前から持っていたが、専用のアンプを使わなくてもドライブできるユニットが出来るまで、ドライバの進化を待ち付けていたという側面もある。SAPHIREでは静電型をスーパーツイーターとして2基使っているが、最初はツイーターとして1基で使っていた。しかし、ワイドレンジな音にならず、2基をスーパーツイーターとして使うという手法も、SAPHIREが実現したブレイクポイントになった」という。

また、静電型と組み合わせるユニットにも苦労したそうで、「最初はダイナミック型も採用し、ダイナミックとBA、静電型で構成していたが、パンチのあるベースが得られず、音がぼやけてしまった。現在のBAと静電型の構成により、音に統一感が出た」とのこと。

同日に発表した密閉型の最上位ヘッドフォン「Edition 15 Veritas」も含め、「Editionシリーズは日本のファンに立ち上げてもらったような製品。ULTRASONEはとても日本に恩義を感じており、我々のヘッドフォン、イヤフォンをいつも暖かく支援していただき、感謝している。今回の新製品も、ぜひ体験してみて欲しい」とメッセージを送った。