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“いちばん小さなマランツシステム”ミニコンポでパラレルBTL駆動「M-CR612」
2019年3月25日 10:00
マランツは、小型のネットワークCDレシーバーながら、バイアンプ駆動に対応したミニコンポシリーズの新モデル「M-CR612」を4月下旬に発売する。バイアンプに加え、新たにパラレルBTL機能を搭載、シングルワイヤ接続のスピーカーもよりパワフルに駆動できる。価格は7万円。カラーはシルバーゴールドとブラック。端子1つでもクオリティは落とさない、このサイズでもマランツクオリティを担保した「いちばん小さなマランツシステム」と訴求している。
スピーカーは付属しないが、マランツでは組み合わせ例として、「OBERON1」と組み合わせたDALI Systemを127,000円、B&Wの「707S2 B」と組み合わせたPremium Systemを227,000円、「607 B」と組み合わせたStandard Systemを16万円で提案している。
コンパクトな一体型筐体に、ハイレゾ対応のネットワークプレーヤー機能、インターネットラジオ受信機能、Bluetoothレシーバ、AM/FMチューナ、フルデジタルパワーアンプを内蔵。アンプ部にパラレルBTL駆動機能を追加したほか、ネットワーク再生機能が「HEOS」に刷新され、前モデルのM-CR611ではSpotifyのみの対応だったが、AWAやAmazon Prime Musicなどにも対応、AirPlay2やAmazon Alexaボイスコントロールにも対応、DSD再生も2.8MHzから5.6MHzへ、機能面も最新になった。HDD接続は従来から可能だが、新たにNTFSもサポート、ヘッドフォンアンプも強化されている。
シングルワイヤのスピーカーでも8chをフルに使う「パラレルBTL」
M-CR612は、内部に8chのフルデジタルパワーアンプを搭載している。1chにつき2つのアンプを使い、出力としては4chを用意。スピーカーターミナルとしてはA系統、B系統の2系統を備えている。シングルワイヤ接続のスピーカーと組み合わせた場合、A系統、B系統、どちらか1つしか使わないが、その場合でもBTLドライブできる。
この4chをフルに活用する場合は、バイアンプ接続に対応したスピーカーと組み合わせ、ツイーターとウーファーをそれぞれ独立したアンプで駆動、干渉を排除した「バイアンプ接続」ができる。
また、シングルワイヤ接続のスピーカー2組を用意し、A系統、B系統のスピーカーターミナルにそれぞれ接続、2つの部屋に各スピーカーを設置し、同時に鳴らしたり、切り替えて鳴らす「マルチドライブ接続」もできる。
ここまでの特徴は従来モデルM-CR611と同じだが、CR612では新たに「パラレルBTLドライブ」が可能になった。前述の通り、CR612とシングルワイヤ接続のスピーカーを組み合わせる場合、A系統、B系統の2系統の出力の内、例えばA系統に接続すると、B系統は使わない事になる。
パラレルBTLドライブでは、余っているB系統が、A系統と合わさり、左右スピーカーを、それぞれ4chのアンプでドライブ。内蔵8chアンプをフルに使い、シングルワイヤのスピーカーを駆動できる。これにより、アンプのスピーカー駆動力の指標となるダンピングファクターは、通常のBTLドライブに比べ、約2倍に向上。「中低域の量感と締りを両立した低音再生を実現した」という。
尾形好宣サウンドマネージャーによれば、従来モデルCR611のバイアンプ使用率は、日本で18%、ヨーロッパで8%、アメリカで10%。A+Bで使っている人は、日本では15%、ヨーロッパで19%、アメリカで22%になったという。日本では比較的使用率が高いが、それでもまだ少ないことから、「多くの方に、4chアンプの醍醐味を使っていただきたいと、シングルワイヤのスピーカーと組み合わせても効果のあるパラレルBTLドライブを開発した」という。
デジタルパワーアンプ自体の音質も向上。最大出力60W×2(6Ω)で、4Ωスピーカーとの接続にも対応。高級機の「PM-10」や「PM-12」などの開発で蓄積されたノウハウを活用し、アンプの周辺回路を刷新した。SACDプレーヤーの「SA-12」で採用した、低位相雑音のクロックを採用。
611から踏襲している、高品位フィルムコンデンサ、無酸素銅線・マンガン亜鉛コアインダクタ、クラスDパワーアンプ電源用の低ESRコンデンサといったパーツも踏襲。
他の回路と共有していた電源回路をパワーアンプ専用とし、電源由来のノイズを大幅に低減。PWMプロセッサーにはローノイズタイプを採用し、PWMプロセッサー、ゲートドライバーの電源にはESR(等価直列抵抗)が低い導電性ポリマーコンデンサーを使い、ノイズレベルを下げた。
左右チャンネルの音質差を排除するため、グラウンドラインも含むオーディオ回路を左右対称にレイアウト。左右チャンネルの電源ラインも独立させることで、セパレーションを向上。基板上のグラウンドラインも最適化してインピーダンスを下げ、パワーアンプのドライブ能力を最大限に引き出した。スピーカー出力の音質に影響を与えるローパスフィルター回路にも、専用にチューニングされた無酸素銅線とマンガン亜鉛コアによるインダクターと、上位機にも使っている高音質フィルムコンデンサーを採用した。
ボリュームカーブは、CR611の60ステップから、CR612では100ステップに増加。より細かな調整が可能になった。
オールインワンミュージックプレーヤー
CDプレーヤー部は、MP3/WMAファイルを保存したデータディスクの再生にも対応。ワイドFM対応のFM/AMチューナーも搭載する。
ワイヤレスオーディオシステム「HEOS」のテクノロジーを搭載し、ネットワークプレーヤーとしての機能を大幅に強化。無料のHEOSアプリを使い、手軽にセットアップでき、音楽ストリーミングサービスはAmazon MusicやAWA、Spotify、SoundCloudなどに対応。MP3、WMA、AACフォーマットで配信されているインターネットラジオ放送も受信できる。
LAN上のミュージックサーバー(NAS/PC/Macなど)や、USBメモリーに保存した音源やスマートフォン、タブレット、Bluetooth機器など、多彩な音源を再生できる。さらに同一のネットワークに接続した、他のHEOSデバイスに再生中の音楽を配信することも可能。
再生対応ファイルは、DSDが5.6MHzまで、PCMは192kHz/24bitまで対応。DSD、WAV、FLAC、Apple Losslessのギャップレス再生にも対応。
Bluetoothにも対応し、プロファイルはA2DP 1.2、AVRCP 1.5、コーデックはSBCをサポートする。
iOS 11.4で追加されたAirPlay 2もサポート。iOSデバイスからのApple Musicの再生や、複数のAirPlay 2対応機器によるマルチルーム再生が可能。操作を行なってから音声が再生されるまでの時間の短縮や、動画再生時の映像と音声との同期精度の向上も実現。Siriによるボイスコントロールも可能。
無線LANは、IEEE 802.11 a/b/g/nに対応。2.4/5GHzのデュアルバンドWi-Fiで、安定した通信が可能という。
テレビとの連携も可能。ヘッドフォンアンプも強化
最大192kHz/24bitまで対応する2系統の光デジタル入力を装備。テレビなどと接続して、CR612から音声を再生できるほか、入力信号を検知してM-CR612の電源を自動でオンにする「自動再生」機能も搭載する。光デジタル入力以外い、アナログ音声入力も備えている。
ヘッドフォンアンプも強化。新たにHDAM-SA2型のディスクリート高速電流バッファーアンプを投入。ハイスルーレートオペアンプに高速電流バッファーアンプを組み合わせた、本格的なヘッドフォンアンプにより、「情報量が豊かで鮮度の高いサウンドを実現した」という。3段階のゲイン切り替え機能も備え、接続するヘッドフォンのインピーダンス、能率に合わせて最適なゲインに設定できる。
アラーム再生機能も搭載。設定した時刻にCD、FM/AMチューナー、光デジタル入力、アナログ入力の音声を再生できる。毎日同じ時刻に再生したり、平日のみや指定した曜日のみアラームを動作させたりすることもできる。
デザインも新しく
左右対称のシンメトリーレイアウト、3ピースのフロントパネル、スターマークなど、マランツ伝統のデザインを継承。側面のパネルは従来モデルと比べ、膨らみの無いものとなり、エレガントなスタイルとなった。
シルバーゴールドモデルはトップパネルの色を従来のブラックからシルバーゴールドに変更。より明るい色味になっている。なお、トップパネルには硬度が高く、擦り傷に強いハードコート・アクリルを採用している。
フロントパネルにはイルミネーションを配しており、デフォルトのカラーは従来のブルーからホワイトに変更。ただし、ホワイト、ブルー、グリーン、オレンジの4色から、ユーザーの好みで選択できる。
消費電力は55W。最大外形寸法は280×303×111mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は3.4kg。