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キヤノン、星明かりでも撮影できるフルサイズ超高感度モノクロCMOSセンサー

キヤノンは26日、肉眼では被写体の識別が困難な0.0005lux(星明かり程度の明るさ)の低照度環境下でも撮影できる、35mmフルサイズの超高感度モノクロCMOSセンサー「35MMFHDXSMA」を発売した。天体観測や自然災害の監視、産業用途などでの使用を想定している。

35mmフルサイズの超高感度モノクロCMOSセンサー「35MMFHDXSMA」

モノクロに特化することで広範囲の波長の光を検出でき、2018年8月に発売した超高感度カラーCMOSセンサー「35MMFHDXSCA」と比べ、約2倍の感度を実現。また、一辺19μmの大きな画素による、超高感度も実現している。

さらに、画素が大型化すると増える傾向のあるノイズを低減。超高感度と低ノイズを両立し、例えば分子・細胞生物学の研究分野において、微弱な蛍光を発する試料の観察ができるなどの活用方法もあるとしている。

フルHDの1,920×1,080ドットよりも広い範囲である、2,160×1,280ドットの読み出しが可能で、広範囲撮像が求められる天体観測用途に対応するだけでなく、特殊なアスペクト比の高画素画像のニーズがある監視・産業用途もサポート。必要な画素部のみ読み出しを行なう「読み出し位置制御機能」により、読み出し行数を少なくすることで、フレームレートを高めることもでき、夜間の高速道路におけるナンバープレートの識別など、監視用途などにも応用できるとする。

一般的に天体観測では、長時間露光時にわずかな明るさの星の観測を困難にする暗電流ノイズの発生を抑えるため、カメラを冷却しながら使用する。しかし、「35MMFHDXSMA」は周辺回路の駆動方式を工夫することで、低温状態でもなお発生する暗電流ノイズの低減を実現。これにより、10等星程度のわずかな明るさの星の天体観測などにも活用できるという。