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キヤノン、約2.5億画素のCMOSセンサー。暗闇でカラー撮影できるセンサーも

LI8020SAC

キヤノンは、APS-Hサイズで約2.5億画素の高解像を実現したCMOSセンサー2機種と、肉眼では被写体が識別困難な低照度環境下でも撮像できる高感度の35mmフルサイズCMOSセンサー2機種を10月下旬より発売する。いずれのセンサーも、検査や観測、監視などといった産業用途への活用を見込んでいる。

約2.5億画素の超高解像度CMOSセンサー「LI8020SAC/LI8020SAM」

APS-Hサイズ(約29.4×18.9mm)ながら、1画素のピッチを1.5μmとすることで約2.5億画素(19,568×12,588)を実現した超高解像度のCMOSセンサー。カラーの「LI8020SAC」、モノクロの「LI8020SAM」をラインナップする。

フルHD(1,920×1,080)の約125倍、4K(3,840×2,160画素)の約30倍となる約2.5億画素の超高解像度で撮像することで、撮影範囲の任意の領域をトリミングや、電子ズームで拡大表示した場合でも、十分な解像度が得られる。

広域監視でのイメージ

CMOSセンサーは、画素数が増えるほど信号量が増加し、信号遅延やタイミングのわずかなずれなどが発生するが、新センサーでは、回路の微細化や信号処理技術を進化させることで、1秒間に約12.5億画素の超高速な信号読み出しを実現。全画素読み出し時でも約5コマ/秒のスピードで超高解像度な撮像が可能という。

任意の領域のみを選択的に読み出す「ROI(Region of Interest)読み出し機能」を搭載。特定領域のみ、高速で読み出したい場合に同機能を使うことで、8K(7,680×4,320画素)で24fps、4K(3,840×2,160)で30fps、フルHD(1,920×1,080)で60fpsの動画撮影も行なえる。全画像領域の垂直方向を間引いて読み出す「間引き読み出し機能」も備えており、ユーザーのニーズに合わせたデータ出力方法を選択できるという。

4K・8K映像技術の発展で高精細化している薄型ディスプレイの検査を始め、産業用検査、映像制作やデジタルアーカイブ、広域監視、顕微鏡などさまざまな用途への活用を見込んでいる。

LI8020 JPA 1006【キヤノン公式】

超高感度CMOSセンサー「LI3030SAM/LI3030SAI」

一辺19μmの大きな画素を採用することで、肉眼では被写体の識別が困難な低照度環境下での撮像を可能にした35mmフルサイズの超高感度CMOSセンサー。フルHDよりも広い2,160×1,280画素の読み出しが可能で、広範囲な撮像が求められる天体観測用途や特殊なアスペクト比の高画素画像のニーズがある監視・産業用途に対応できるという。

LI3030SAM

モノクロの「LI3030SAM」、カラー・近赤外線の「LI3030SAI」をラインナップする。

LI3030SAMは、0.0005luxの低照度環境下においても、モノクロ動画の撮像が可能。従来品(35MMFHDXSMA)と比較して、近赤外線域で約3.0倍の感度向上を実現。近赤外線域の光を含む天体観測や夜間の動画撮影の視認性が向上するという。

ろうそくの灯りで鍾乳洞内を撮影した画像

LI3030SAIは、0.001luxの低照度下で可視光域と近赤外線域を同時に撮像できるセンサー。カラーフィルターの1画素を近赤外線域用の画素として割り当てることで、0.001luxの低照度環境下でも、従来品(35MMFHDXSCA)ではできなかった1つのセンサーでカラー動画と近赤外線動画を同時に取得、近赤外線域で約2.3倍の感度向上を実現したという。

同センサーを活用することで、撮像システムや検査装置などにおいて、カメラ台数を抑えることができ、システム全体の小型化に貢献。また、近赤外線域の光の反射率や吸収率の違いを微弱な信号から検出し、物質内部の状態を観察できるため、夜間でのモニタリングや作物の生育状況観察、食品工場の異物混入検査や生体内組織の可視化など、幅広い産業分野・医療分野での応用が可能としている。

LI3030 RGB IR Japanese Fin【キヤノン公式】