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finalの新イヤフォン「Bシリーズ」3機種。約3万円~。DITA「Dream XLS」も

東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックのデジタルスタイルショップが主催する「春のヘッドフォン祭 2019」が、27日に東京・中野サンプラザで開幕。S’NEXTは、finalブランドの新イヤフォン「B series」3機種や、DITAブランドの新イヤフォンを発表した。

Bシリーズ

B series 3機種

Bシリーズは「B1」、「B2」、「B3」の3製品をラインナップ。店頭予想価格とユニット構成は、B1がダイナミック型×1基と、BA×1基の2ウェイで7万円前後。「B2」がBAシングルで3万円前後、「B3」がBA×2基の2ウェイで、5万円前後となる。

B1
B2
B3

特徴は「製品名とプライスレンジがリンクしていない事」。通常の製品であれば、B1が低価格、B2が中級、B3が高級モデルなどとなるが、Bシリーズは高いモデルから順にB1→B3→B2となっている。細尾社長は、「これこそが、Bシリーズのコンセプトに関わる重要な部分」だという。

細尾社長

一般的なマーケティングの手法では、ヒエラルキーを示す名前をつけて、音にも上位下位が期待される。しかし、エンジニアの視点で見ると、この手法では「面白い研究結果や仮説が生まれても、すぐに製品に活かすことが困難」だという。

「S’NEXTで行なっている研究成果は多岐にわたっており、シリーズという枠組みに縛られたくないという思いから、Bシリーズが生まれた」という。そのため、製品名の番号は、開発の順番であり、「ある提案や解決策を開発できた順番に出していく」シリーズになり、今後も完成した順番に「B4」、「B5」と続くという。

それゆえ、「エンジニアは常に新しく、面白いものに興味があり、Bシリーズは、特にそのエンジニアの熱のこもった製品が、“熱いうちに製品になる”」とのこと。また、エンジニア主導の製品であるため、「長期で売るものもあれば、短期で販売を終了するものもある」と説明した。

プロット図

Bシリーズのサウンド面の特徴は、音楽のダイナミックレンジ、つまり音量の変化幅に着目した事。解像感、音場感と物理特性との相関を調べ、縦軸をダイナミックレンジの変化幅、横軸は解像感と音場感としたプロット図を作成。

図の右上に行くとダイナミックレンジが大きく、音場感に奥行きを求めるクラシックのオーケストラなどにマッチ。前方への空間的再現よりは頭内定位を許容して、解像感を重視するポップスやアニメソングは左下に、といった“曲のダイナミックレンジによる分類”を実施。このプロット図とイヤフォンの物理特性との相関関係を見つけ、開発に活かしたという。

B1は、低域用にダイナミック型×1、高域にBA×1でネットワークレス。「低域から高域までバランスの良い、立体感のあるサウンド。各楽器、ボーカルの解像度が非常に高く、一音一音がしっかりと表現されるため、ライブステージの中央に立ったような、圧倒的な臨場感と躍動感を体感できる」という。

B2は、フルレンジBA×1でネットワークレス。「全帯域に強調感が少なく、自然で滑らかなサウンド。ボーカルは、その息遣いが感じられるほどに近く、また、音の立ち上がりと立ち下がりを正確に表現するため、各楽器の細かな音のバランスや抑揚もお楽しみいただける」とする。

B3は、低域用のBA×1、高域BA×1でネットワークレス。「タイトな低域と、クリアで伸びやかなサウンド。全帯域で解像感が高く、特に鮮やかな高域表現に優れており、繊細なピアノのタッチや、ギターのピッキングの表現までじっくりと楽しめる」と、表現している。

いずれもネットワークレスなのは、コンデンサーによる帯域分割によって、音が不自然になるとの考えからで、複数ドライバーを搭載した機種も、あえてコンデンサーによる帯域分割はしていない。

ケーブルは自社開発のMMCX端子で、リケーブルに対応。B2はブラックのOFCケーブル、B1、B3はシルバーコートケーブルが標準で付属する。

イヤーピースは、音導管部分と耳に触れる部分とで硬度が異なる2種類のシリコン素材を採用。音導管部分には、耳に触れる部分に比べて硬度が高めのシリコンに溝加工を施し、強度と柔軟性を両立させた。耳に触れる部分には柔らかいシリコンを採用している。

イヤーフックも付属。従来のフックよりも小さなサイズになっており、かつ金属や樹脂のワイヤを使う事もなく、より多くの方の耳に容易にフィットする形状を発見したとのこと。

また、「D8000」の派生モデルとして、プロの録音家からの、「モニターとしてより大音量での聴取がしたい」という要望を受けて、大きな入力信号に対しても最適化された「D8000 Pro Edition」の試作機も展示した。「等ラウドネス曲線を考慮した音質チューニングを施し、D8000とは異なるチューニングになっている」という。

D8000 Pro Edition
右はD8000のシルバーモデル

DITA新製品の開発情報も

発表会では、取り扱うDITAのフラッグシップイヤフォン「Dream XLS」についても最新情報を公開。2019年夏を目指して、開発/製造が進められているとのことで、店頭想定売価25万円前後。

フラッグシップイヤフォン「Dream XLS」

チタン製筐体で、10mmドライバーを搭載した「Dream」の後継機と位置づけられている。「XLS」とは「エクストラ ラージ サウンドステージ」の意味。

筐体はチタン切削で、イオンプレーティング加工を施している。「快適なフィット感と仕上のクオリティを担保するためにも、どの工程においても、細心の注意を払って製作している」とのこと。筐体のフェイスプレートには、DITA製品で初めて、傷のつきにくいサファイアガラスを採用した。

内部構成

ドライバーは、Dream Gen.1ドライバをベースにした全く新しい「XLSドライバー」を開発。「先代モデルのDream経て、パーツ一つ一つまでこだわりぬいてさらなる進化を遂げた」という。

OSLOケーブルが標準で付属。Awesomeコネクターを搭載し、3.5mm、2.5mmに加えて、4.4mmのプラグも同梱する。幅広い試聴環境に対応でき、OSLOケーブル単品での発売も予定されている。OSLOケーブルに使用される特別なオイルには、高級化粧品にも使用される深海鮫の油、スクワランを使用。さらに金属のナノ粒子もブレンドしている。

OSLOケーブル