小寺信良の週刊 Electric Zooma!
第1217回

あのベストセラーが帰ってきた! DJI「Osmo Pocket 4」はどこが新しい?
2026年4月23日 08:00
バカ売れした「オズポケ3」
ジンバル搭載の極小カメラなど、登場した時はキワモノ中のキワモノだったわけだが、気がつけば「オズポケ」などと軽く呼ばれるようになったDJI「Osmo Pocket 3」。テレビ番組でも街ロケでは大抵タレントが持たされているカメラであり、VloggerやTikTokerの必需品でもある。小型カメラ部門では長らく1位の座に君臨した名機だが、気がつけば発売から2年半が経過している。
毎年カメラは新モデルを登場させるDJIとしては、かなり息が長い製品となった。ロングセラーとして売れている間はそっとしておいたということかもしれない。
さてそんな「オズポケ3」から進化したのが、「DJI Osmo Pocket 4」である。4月16日発表、22日には発売開始で、価格は標準キットとも言えるスタンダードコンボが79,200円、アクセサリー同梱のクリエイターコンボが99,880円となった。前作から1万5,000円程度の値上がりである。
オズポケ4の進化は、この値上がりに見合うものなのだろうか。今回は事前にクリエイターコンボをお借りすることができた。早速テストしてみよう。
ボディサイズはほぼ変わらず
2から3への進化点は、小さかったディスプレイを大型化し、縦に搭載したことである。これを90度回転すると起動するというアクションも楽しかった。ディスプレイの大型化により、ほとんどの機能はスマホアプリに依存することなく、本体だけで完結できるようになった。
4は基本的な構造は3を継承しており、ディスプレイを回転させるという構造は同じだ。ただ今回は、ディスプレイを回転させることで、2つのボタンが現れるという作りになっている。ワンプッシュで2倍のロスレスズームができたり、センタリングなどの機能割付ができるようになっている。
もう一つハードウェア的な進化点としては、カメラ背後に電子接点が設けられ、アクセサリーが付けられるようになった。クリエイターコンボではここに装着できるLEDライトが付属している。
カメラセンサーも刷新されている。3では4K/120pが最高フレームレートだったが、4では4K/240pまで対応する。また感度も向上しており、3がISO 6400までだったのに対し、4ではISO 12800まで対応する。ダイナミックレンジはノーマルでもD-Logでも10bitが標準となり、ハイスピード撮影時を除いて14ストップとなった。
効果については、3はアプリ内で美肌効果が使えたが、4ではそれに加えてカメラ内で美肌効果とフィルムトーンが使えるようになっている。
オーディオはDJI Micを併用することで、内部マイクと合わせて4チャンネル集音が可能になった。クリエイターコンボにはDJI Mic 3が1つ付属するが、ワイヤレスマイクは最大2台まで直接接続できる。
内蔵ストレージは107GBとなっている。3は内蔵ストレージなしだったが、昨今のDJI製品はドローンもアクションカメラもストレージ内蔵が標準になっている。価格上昇はこの要因が大きいのかもしれない。
そのほか付属品として新しいのは、「ジンバルクランプ」が標準添付になったことだ。これはカメラ収納時に、ジンバルを固定するための治具である。電源OFFにするとカメラレンズが内向きになるようにジンバルが設定されるが、力が加わると動いてしまっていた。これを固定したいというニーズが強かったのだろう。
ただ3にはオプションレンズなども一緒に収納できるハードケースが付属していたが、今回は付属しない。そう考えるとここは合理化なのかコストダウンなのか、判断に迷うところだ。
使い勝手が向上した本体機能
では実際に撮影してみよう。
2倍までのロスレスズーム、すなわちセンサークロップによる拡大ができるのは前作同様だ。操作はジョイスティックの上下に割り当てることもできるが、2倍にするための専用ボタンがあるので、画角をパッと切り替えたい際には便利だ。
バリアブルで4倍までズームできるが、2倍以上はデジタルズームとなる。4倍となるとさすがに画質劣化を感じるところだが、3倍まではあまりわからない。瞬時に画角バリエーションが作れるのは、なかなか便利である。
オブジェクトトラッキングは、ズーム時でも動作するようになっている。このあたりもズーム利用の制限をなくした点で評価できる。ただズーム機能は、カメラ設定がPROモードになっていると機能しないので、PRO機能と併用できないのが残念だ。
今回はちょうど中国・深圳への出張が入っていたので、深圳の街を歩きながら撮影してみた。こうした街歩きの撮影は当然手持ちとなるが、かなり安定している。レンズ画角は35mm換算で20mmとかなり広角だが、ボタン一つで拡大できるので、撮りたいものに「ポン寄り」できるのは表現力が上がる。
カスタムボタンへの機能割り当ては、長押しすることで設定画面に入る。設定可能な機能は以下のようになっている。
- 1回押す/2回押す
クイックキャプチャ、C1クイックキャプチャ、ジンバルセンタリング、ジンバル回転(セルフィー切り替え)、C1/C2切り替え、写真/動画、ジョイスティックモード切り替え、補助光 - 3回押す
カメラ方向をロック/アンロック、フォロー/FPVモード切り替え
C1/C2とはカスタムモードのことで、現在の撮影設定を保存しておける機能である。なおジンバルセンタリングはジョイスティックの2回プッシュ、ジンバル回転はジョイスティックの3回プッシュでも可能なので、うまく使い分ければかなりの機能がメニューに入らずに設定変更できる。
本体だけで利用できる機能としては、「フィルムトーン」がある。Vlog用カメラではよく搭載されている機能だったが、昨年発売のアクションカメラ、「DJI Osmo Action 6」にも搭載されたのは記憶に新しいところだ。
搭載されている効果は、CCとNCはOsmo Action 6と共通だが、それ以外はオリジナルだ。
音声集音としては、「ボーカルブースト」という機能が搭載された。人の声を強調することで、Vlogなどのしゃべりコンテンツに向くという。
確かにONにすると音声領域が持ち上がり、バックグラウンドノイズと分離された感じになる。ただしゃべりの輪郭に沿うように、若干ゴソゴソとしたノイズが乗ってしまう。
これは完全ワイヤレスイヤフォンの音声通話におけるAI系ノイズリダクションではよくある現象だ。もう少し改善してファームアップで提供してほしいところである。
音声チャンネルモードとしては、従来同様モノラルとステレオがあるが、もう一つ「空間オーディオ」が追加された。ステレオのように強い分離感がなく、全体的にふわっと広がっているような音像が得られる。イヤフォンやヘッドフォンで聴くことが推奨されているが、より周囲の音を立体的に拾いやすくなるので、ヒーリング系・チル系の作品などにおいて、自然環境音の集音には向くだろう。
ワイヤレスマイクは、3では「DJI Mic 2」が付属していたので若干大きかったが、今回は「DJI Mic 3」なので、かなり小型である。
ちょうどテストしているときに周囲の草むらで草刈りが始まってしまったが、専用マイクによる集音性能は高く、周囲の音をカットしてしゃべり音だけがうまく集音できている。室内撮影では内蔵マイクでも対応できるだろうが、外ロケではワイヤレスマイクがあったほうがいいだろう。
進化を感じさせる新センサー
センサーサイズは前作同様1インチだが、フレームレートおよび感度が向上している。まずはスロー撮影から試してみた。
解像度は1080pと4Kが選択できるが、1080pではスピードが120fpsと240fpsしか選べないのに対し、4Kでは100、120、200、400fpsが選択できる。
30fps換算で3倍、4倍、6倍、8倍といったところだが、4K/240fps撮影でもS/Nや輝度が低下することもなく、良好に撮影できる。このあたりは1インチという小型センサーならではのメリットだろう。
ナイトシーンも試してみた。特にD-Logではなく、ノーマル撮影である。ISO感度が12800まであるので、前作の2倍ということになる。
また今回は「低照度映像最適化」という機能が搭載されている。これは低照度時のS/Nを向上させる機能だが、30fps以下でないと動作しない。おそらく画像処理プロセッサのリアルタイム性能がそこまで、ということだろう。
基本的には30fps以下では自動的にONになるが、手動でOFFにもできるといった格好だ。最後にOFFのカットも付けてみたが、奥の夜空のあたりにかなりノイズが乗っているのがわかる。こうしたランダムノイズを消し込んでいく機能ということだろう。
夜景はそこそこ光源がある場所では結構明るく撮影できる。一方照明がない本当に真っ暗な場所では、やはり映らないものは映らないといった割り切りが見える。
とはいえ今回からはクリエイターコンボに小型ライトも付属する。色温度が3段階、輝度も3段階設定できるので、夜間の人物撮影にも対応できるようになった。ライト上部のボタンでも切り替えられるが、本体メニューでも切り替え可能だ。
また本体メニューでは「低照度で有効にする」、「セルフィーで有効にする」といった条件で自動点灯させることもできる。ただ自動で「点灯」はできるが、自動で「消灯」はしないので、消す時は手動である。ここは自動で消灯もできるようにしてほしいところだ。
また照明は前方にしか向けられないため、撮影者の手元明かりとして使うことができないのが残念だ。ただこうしたアクセサリーポートが新たにできたことで、サードパーティが対応アクセサリーを作ってくる可能性もある。少なくともマグネットで装着でき、電源が取れるので、照明以外のアクセサリーも期待したい。
総論
大ヒットカメラの進化モデルということで、3から4へ買い替えるべきか気になっている人も多いだろう。進化点は多いが、実際に撮影して感じたポイントは3つだ。
1つ目は2つの物理ボタンの追加で設定変更が高速にできること。これまでは設定変更が面倒で使い倒せなかった機能が、楽に引き出せる。撮影のバリエーションが増やせるだろう。
2つ目は暗部に強くなったこと。センサー感度も上がり、ライトも付けられるので、ソロキャンプなど夜の撮影が多いYouTuberには荷物が減らせるというメリットがある。
3つ目は内蔵ストレージ搭載。107GBあれば、よほど長回ししない限り、まず1回分の撮影には十分だろう。SDカードを忘れて撮影できないという痛い目にあったことがある人には、ありがたいはずである。逆に言えば転送はスマホ経由かUSB-C経由になるので、カードを取り出して編集者に渡し、次の撮影へみたいなワークフローには馴染まない。
上記のポイントに納得できるのであれば、3から4への買い替えは妥当である。そこはあまり響かないというのであれば、3でも十分ということである。
2年半前にはあまり評価されなかった機能が、縦動画への対応である。解像度は3Kに下がるが、液晶画面を縦にすることで縦動画の撮影が可能だ。
DJIのドローンは2022年の「DJI Mini 3 Pro」から、ジンバルでカメラを90度倒しての縦動画撮影に対応した。これは解像度を下げずに縦動画を撮影するという工夫だったわけだが、縦動画のニーズはせいぜいHD解像度だということがわかってきたので、センサー内での対応で十分になったということだろう。
価格的には随分とアップしたことで、10万円近いカメラとなった。ただそれでもまだ、「映像で食っている人」のカメラとしては破格に安い。取材で使っている程度のライターからすれば「ちょっと高えな」と言う価格設定だが、他に変わるカメラがないのも事実だ。
「オズポケ」の独壇場はまだしばらくは続きそうである。





















