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「スパイダーバース」には宮崎駿やAKIRAが大きな影響。監督ら語る
2019年5月14日 12:29
映画「スパイダーマン:スパイダーバース」のUHD BD/BD/DVDが8月7日に発売される。リリースに先駆け、監督のボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマンと、製作(プロデューサー)を務めたクリストファー・ミラーが、日本のアニメから受けた影響や続編の展開について語ったインタビューが届いた。
第91回アカデミー賞 長編アニメ映画賞をはじめとする主要映画賞を受賞した本作は、従来の映画版のピーター・パーカーではなく、ニューヨーク・ブルックリンの名門私立校に通う中学生マイルス・モラレスが主人公。スパイダーマンではあるが、その力をまだうまくコントロールできないマイルスの成長、そして異次元からやってきた様々なスパイダーマンたちとマイルスの交流を描く。
8月7日のUHD BD/BD/DVD発売に先がけ、6月26日からデジタル先行配信されることも決定している。
スパイダーマン:スパイダーバースはアメリカのアニメやクレイアニメ、日本のアニメなど様々な要素が取り入れられている。ビジュアルの方向性を決めた要因、影響を受けた日本のアニメ作品について、監督のボブ・ペルシケッティは「日本のたくさんの作品からインスピレーションを受けたよ。僕たちはみんな宮崎駿のファンだと思う。僕らの作品は彼(宮崎駿)にインスパイアされているんだ。彼の作品からは、全体的な映画のトーンとビジュアルが大きく反映されたね。彼は“詩人”なんだ。たくさんの要素が詰まっている彼のストーリーテリングには、僕がこれまで手がけてきた作品は、影響を受けてきたと言えるね。だから、彼のDNAは本作にも継承されていると思うよ」と、宮崎駿が本作と自身に与えた影響の大きさを語る。
もう1人の監督であるピーター・ラムジーは、「多大な影響を受けた作品は、大友克洋監督の『AKIRA』だね。『AKIRA』の要素は絶対あるし、彼のスタイルは演出におけるまさにナチュラリズムだね」とコメント。日本アニメの要素が多く詰め込まれているのがうかがえる。
監督たちは、今敏(映画「東京ゴッドファーザーズ」、「パプリカ」)をはじめ、従来のアニメ製作の手法の枠を突き破り、斬新な映像を作り上げてきたクリエイター達から影響を受けたという。ボブは「様々な手法で斬新な映像を作ることは日本ではずっと前からやってきたことだけど、僕たちは今、まさに追いつこうとしているんだ。僕たちが目指している楽しみなことの一つが、スパイダーマンの新しくて面白いストーリーを新しくて斬新な映像スタイルで見せていくことなんだ。そして、僕らが参考にしている芸術的なアプローチのほとんどが日本から来ているんだ」と、日本アニメの製作手法に多大な影響を受けたことを明かしている。
登場キャラクターのなかでも注目を集めているのがペニー・パーカー。彼女は日本の学生服を着こなし、スパイダーマン並みの力を持ったロボット「SP//DR」を操って敵と戦うが、彼女についてピーターは「ペニーのアイデアは、『セーラームーン』をはじめ、本当に色々な漫画やアニメから影響を受けたよ」とコメント。ロドニー・ロスマンも「ペニーの元のアイデアとなった色々なキャラクターから、僕たちのスタイルで僕たちのバージョンのペニー・パーカーを作り上げようとしたんだ」と話した。
スパイダーバースの見どころのひとつが、「スパイダーマン」の生みの親、スタン・リーのカメオ出演のシーン。主人公マイルスがスパイダーマンのマスクとスーツを買う店(Stan’s Merch Shop)のオーナーとしてスタン・リーが登場するのは有名な話だが、監督たちはそれだけでなく、電車のシーンや、マイルスとピーター・パーカーが歩道を歩いていてピーターが「ありがとうニューヨーク」と言うときに横を通り過ぎる人物など、ニューヨークのいたるところでスタン・リーが登場していることを明かした。本編に彼を何回登場させたか、監督たちも正確には分からないという。
今後の展開については、「この映画は、“Into the Spider-Verse”って内側にってサブタイトルが付いているけど、実際は外側の話だったよね(笑)。もし、もっとスパイダーマンの内面的な部分を描いていたら、クールだったかもしれない。まあ、今後どういう展開になるか期待していてよ。(スタン・リーがスパイダーマンになった)スパイダー・スタンが登場するかもしれないしね(笑)」とファンの期待を煽るコメントをしている。