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Alexaが音楽の好みに応える新しい体験。Amazon Musicの音声操作が進化

Amazon Musicは14日、再生中の音楽に“いいね”、“好きじゃない”などとAlexaに好みを伝えることで、ユーザーの嗜好に応じた音楽を再生する「いいね」機能を追加した。新機能の提供開始に合わせ、'18年から実施してきた日本での音声機能と、新機能を紹介する説明会がアマゾンジャパンで開催された。

Amazon Echo

Amazonプライム会員特典の「Prime Music」と、6,500万曲以上の楽曲が聴ける「Amazon Music Unlimited」の2種類のサービスを用意するAmazon Music。

スマートフォンやPCに加え、Fire TVやFireタブレットなどで利用できるほか、同社スマートスピーカーのAmazon Echoや、Amazon Musicアプリで利用できる音声サービス“Alexa”を活用することで、音声機能を使った様々な音楽再生が楽しめるようになっている。

説明会には、アマゾンジャパンのデジタル音楽事業本部・事業本部長のレネ・ファスコ氏と、同事業本部・シニアプロダクトマネージャーの清水志野氏が登壇。同事業部が“注力していることの1つ”と話す「音声機能」の現状説明や新機能デモを行なった。

アマゾンジャパン デジタル音楽事業本部・事業本部長 レネ・ファスコ氏(写真左)、同事業本部・シニアプロダクトマネージャー 清水志野氏(右)

ファスコ氏は音声機能(音声アシスタント)について「市場規模は年々増加傾向にあり、'19年には対応デバイスの販売台数は33億台、'23年には80億台にまで拡大する。先行して音声機能が始まった米国などの諸外国に比べ、日本のスマートスピーカー市場はまだ導入期。しかし、対応デバイスが増えることで、国内での音声機能を利用するユーザーは拡大していくはず」と述べた。

その上で「我々は、音声サービスであるAlexaを“ユーザーが音楽を楽しむための親友”だと考えている。実際、音声機能で先行する米国市場においては、音声機能で最も利用するのが“音楽再生”というデータがある。それによれば、利用者の52%が自宅のリビングルームでデバイスを使用し、65%が以前よりも音楽を聴くようになり、53%が新しい音楽を見つけた、と回答している。このことからも“音声機能”という新しいテクノロジーが、リスナーの音楽の楽しみ方や視聴スタイルを広げ、今まで出会わなかった音楽やアーティストとの繋がりを生みだしている。これはリスナーだけでなく、音楽を作るアーティストにも刺激的な循環ではないか」と話す。

こうした利用傾向は、Amazon Musicユーザーにも同じことが言えるようで、米国では既に2/3、日本でも1/3のユーザーが音声機能を用いた音楽再生を行なっているという。

音声機能の利用が伸びている要因としてファスコ氏は「アプリやパソコン操作に比べ、音声機能には圧倒的な手軽さがある。例えば、90年代のMr.Childrenの曲を聴きたいと思っても、音声機能であれば“90年代のミスチルの曲が聴きたい”と一言発話するだけで、該当の音楽が再生される。これがもし携帯アプリやパソコンとなると、プレイリストの作成から始まり、検索、選択、収集、保存、そして再生などと工程が一気に増え、その作業がひどく面倒に感じるだろう」と分析する。

さらにファスコ氏は「音声機能がユーザーの音楽再生傾向までも変えつつある」として、'18年3月にローンチした日本での音声機能サービスにおける3つの事例を紹介。

ファスコ氏は「音声リクエストの第3位に“アンパンマン”が挙がるなど、非常に若い子供の世代が音声機能に触れ、音楽を聴くようになっている。それから、アプリ検索では“J-POP”が人気ジャンルの上位に挙がるのに対し、音声検索では夕方からJAZZのリクエストが増加するなど、単に聴くでは無く、ユーザーの気分に応じた再生方法として利用されていることが分かる。そして“朝に合う音楽”といったようなプレイリストが、既存のジャンルには当てはまらない新しいジャンルとして確立され、音声機能が音楽再生に大きな変化をもたらしている」という。

清水氏は、現在日本で提供されている音声機能をAmazon Echoを用いて実演。'19年5月に追加された「Song ID」(楽曲が流れる前にAlexaがアーティスト名と曲名を紹介)、「新譜お知らせ」(アーティストの最新楽曲入荷を通知)、そして14日リリースされた新機能「いいね」など、AlexaとAmazon Echoの組み合わせによる様々な音楽機能の魅力を紹介した。

5月に追加された「新譜お知らせ」は、フォロー中のアーティストが新曲を配信開始した際に通知してくれる

清水氏は「特に日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字などが混在する複雑な言語体系。例えばAlexaが好みの音楽を再生する場合、ユーザーの発話内容(音)を認識し文字に変換した後、文章や単語から意味を理解してコマンドを実行し、検索結果から好みに合う音楽を抽出し再生する、といった一連の動作が裏側で行なわれている。日本語の場合は前段の2つ、発話内容を正しく認識、その意味を理解、が難しい。我々は日々、その精度と技術を磨くことで、ユーザーが自然な会話で音声機能を楽しめるよう、努力を重ねている」という。

ファスコ氏は今後の展望について「中長期的な取り組み・展望になるが、音楽ストリーミングサービスの次の大きな波は“自動車との融合”になってくるだろう。ただ現時点で我々が注力するのは、カタログの更なる充実と音声機能の強化だ。音声機能で出来ることはまだあると考えている。もっと直感的な操作を目指していきたい。また日本の音楽ファンは、アーティストとの繋がりを重要視しており、それを踏まえた展開やサービス、コラボなどを充実していく予定だ」と語った。