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NHKのラジコ配信、'18年度は訪問者数が倍増。年間最多聴取は甲子園

NHKは28日、インターネット配信サービスradiko(ラジコ)におけるNHKのラジオ番組の利用動向について、2018年度の成果を発表。配信地域を全国に拡大した2018年度は、2017年度下半期に比べて訪問者数が約1.7~2.1倍に増加した。

ラジコを通じたNHKラジオの訪問者数(ユニークユーザー)
(ラジコのログ解析システムを使用して計測)

既報の通り、NHKは民間放送連盟(民放連)との協力により、ラジコのWebサイトやアプリを通じてNHKのラジオ番組を実験的に配信している。2017年度の実験では、関東広域の1都6県(東京都、群馬県、栃木県、茨城県、千葉県、埼玉県、神奈川県)、宮城県、広島県、愛媛県、福岡県の5地域(1都10県)に限定していたが、2018年度は提供地域や期間を拡大し、年間を通じた利用の変化や、台風や地震などの自然災害時の利用動向を調査した。

ラジコで配信している番組は、NHKが自ら配信する「らじる★らじる」と同一の内容で、放送と同時に番組を提供した。なお、ラジコのタイムフリー(聴き逃し配信)」や、エリアフリー(放送対象地域外の有料配信)」は実施していない。また、7月の全国高校野球選手権大会 地方大会や、3月の統一地方選挙の政権・経歴放送は配信していない。

提供対象が一部地域だった'17年度下半期の実験では、ユニークユーザー(UU)数が20万強だったが、全国に拡大した'18年度は40万UU前後で推移。'17年度の約1.7~2.1倍に増加した。

ラジコ経由のラジオ第1の提供で、年間を通じて最もよく聴かれた番組は、8月21日の「第100回全国高校野球選手権大会決勝」で、ピーク時の訪問者数は番組が始まる前の約10倍。次いで、12月31日「第69回NHK紅白歌合戦『夢を歌おう』」がよく聴かれ、番組が始まる前の約4倍の訪問者数となった。

第100回全国高校野球選手権大会決勝の訪問者(UU)数
(ラジコのログ解析システムで集計)

また、7月の西日本豪雨や、8月から9月にかけての台風到来時に、訪問者数が大きく増加。6月18日の大阪北部地震、9月6日の北海道胆振東部地震でも、地震発災直後に訪問者数が増加した。北海道内では、発生前の深夜の時間帯は、ラジオ第1の聴取は少なかったが、地震発生と同時に、ラジコでラジオ第1を聴く人が急増。訪問者数が約1万UUに達した。

語学学習の番組を多く編成しているラジオ第2は、ラジオ第1やFMに比べて訪問者数が少なく、'18年度1年間を通じてラジオ第1の半分に満たなかった。既存の「らじる★らじる」や、オンデマンドサービス「NHKゴガク」の利用者が定着しているため、ラジコを通じたラジオ第2の利用者は、ラジオ第1やFMに比べてあまり増えなかったのではないかとNHKは見ている。

様々な音楽/芸能ジャンルの番組を編成するステレオ放送のNHK FMは、ラジオ第1に次いで訪問者数が多かった。日別の訪問者数を見てみると、FMの特性を活かした番組を編成した日(週末、祝日に編成の「今日は一日○○三昧」など)、一日あたりの訪問者数が大きく増加し、ラジオ第1の訪問者数を超える日もあった。

2018年度のラジコを通じた提供の訪問者数と、らじる★らじるの訪問者数の相互関係について分析した結果では、両方を通じて、第2四半期の聴取者数が増加。これは、台風・地震等の災害時や、夏の高校野球などが良く聴かれたためと推定している。

NHKは、実験の結果を総括して「ラジコを通じた提供がNHKラジオ番組の聴取機会の拡大と、インターネットラジオの訪問者全体の増加につながっている。ラジオ放送に加え、放送を補完するものとしてインターネットでらじる★らじる、ラジコを通じた提供によって、より多くの方々がNHKのラジオ番組を享受できる状態とすることで、接触機会の裾野を広げることにつながる」とまとめている。

既報の通り、2019年度からは正式なサービスとして、ラジオ第1とFMをラジコを通じて提供することを決定。今後も利用促進を図るための周知や、利用者の意見も参考にした、ラジオ番組のインターネット提供のあり方の検討を行なうとしている。