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クリプトン×産総研、好みのボカロ楽曲が見つかる無料検索サービス「Kiite」
2019年8月30日 17:56
クリプトン・フューチャー・メディア(クリプトン)と、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)は、音楽印象分析や音楽推薦技術を用いることで、ニコニコ動画などの動画サイトに投稿されたボカロ楽曲の中から視聴者が興味のある楽曲を見つけることができる音楽発掘サービス「Kiite(キイテ)」を開発した。8月30日から一般公開する。
「日々増え続ける膨大な楽曲の中から好みの楽曲が見つけにくい」「新たな楽曲が公開されても、潜在的に好きなはずの視聴者に気づいてもらえずに埋もれる」といった問題を解決するために開発されたWebサービス。利用者は「軽快」「激しい」などの自動分析された音楽の印象で絞り込み、自動検出されたサビ区間を効率よく試聴することで、新しい楽曲を見つけることができる。
「“楽曲を探す楽しさ”“楽曲に出会う喜び”を体験しやすくすることで、視聴者の音楽体験をより豊かにするとともに、アーティストにとっても楽曲を潜在的な視聴者に届けやすくなることを目指した」という。
Kiiteは、パソコンのウェブブラウザ上で無料で利用可能。ブラウザはFirefox(27以降)、Microsoft Edge、Chrome(30以降)、Safari(7以降)を推奨する。
なお産総研は'13年に動画サイト上にある楽曲や関係性を可視化するサービス「Songrium」(ソングリウム)を公開しているが「Kiiteはボーカロイド楽曲との出会いをより一層支援するには、ボーカロイド楽曲のファンの力・強力が大切であり、その力と技術が融合する場が新サービスのKiite」と説明している。
Kitteの楽曲検索では、音楽発掘用プレーヤー、音楽レーダー、音楽推薦エンジン選択の3機能が利用可能。
音楽発掘では、すべての楽曲のサビ区間を事前に自動検出しておくことで、音楽動画の再生を開始するとサビから聴くことができ、再生中にキーボードのボタンを一押し(あるいはマウスをクリック)するだけで手軽にプレイリストへ追加できる。
追加後は、ボタン一押しで次の楽曲に変更できるほか、5秒早送り/巻き戻し、一時停止・再開などの操作も行なえる。また名前を付けて複数のプレイリストを別々に管理する機能やお気に入りリストも備える。
音楽レーダーは、歌声合成の歌手名、投稿日、ジャンル、ソーシャルタグ、再生数などの属性をフィルター条件として組み合わせて絞り込めるほか、音楽印象分析技術によって楽曲の音響信号からその印象を自動分析し、分析結果も組み合わせながら検索を絞り込める機能。
すべての楽曲は、分析した印象に基づいて2次元平面(印象マップ)上に配置。「軽快」「激しい」「のんびり」といったエリア毎の印象語を参考に視聴者が1点をクリックすると、その周囲の楽曲群が試聴候補として選択され、聴きたい印象を絞り込んで試聴することができるという。
類似楽曲の検索機能も備えており、楽曲間の類似度をそれらの音響信号の曲調に基づいて事前に自動推定しておくことで、任意の楽曲からそれに似た楽曲一覧を表示して試聴することもできる。
音楽推薦エンジン選択は、日々蓄積される視聴履歴や「お気に入り」リスト、それらの楽曲の音響信号を自動解析して得られる曲調などに基づいて、音楽推薦エンジンが視聴者毎に異なる「お勧め楽曲のプレイリスト」を自動生成する機能。
デフォルト推薦エンジンに加えて、視聴者が自分でカスタマイズ(改造)できる「カスタム推薦エンジン」も追加できることがポイント。
カスタム推薦エンジンは、専門知識がなくても推薦の元になる楽曲を選択して追加するだけで手軽に作成可能。「明るい気分になりたいとき用」、「ゆったりしたいとき用」のように名前を付けて、気分に応じて選択して使い分けることができる。
また推薦結果をより一層自分の意図通りにするために、自動生成されたプレイリストの各楽曲に善し悪しのフィードバックを与えるか、あるいは、推薦の元になる楽曲を追加することで推薦エンジンを「育てる」こともできるという。
すべての推薦エンジンはプレイリストと同様に他の視聴者にも共有されており、誰でも他の視聴者が作成した推薦エンジンを使うことが可能。検索用のタグを付与しておくと、他の視聴者から自分の推薦エンジンを見つけてもらいやすくなる。「さまざまなカスタム推薦エンジンを視聴者自らが育て、他の視聴者が育てた推薦エンジンも利用できることで、より能動的・社会的な音楽発掘を可能にする」としている。