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NHK BS8Kドラマ「スパイの妻」6月放送、黒沢清×蒼井優

BS8Kドラマ「スパイの妻」
(C)NHK

NHKは、映画監督の黒沢清が演出を手掛けた8Kドラマ「スパイの妻」を、6月6日14時からBS8Kで放送する。

「スパイの妻」は、戦争という時代のうねりに翻弄されながらも、自らの信念と愛を貫く女性の姿を描いたラブ・サスペンス。出演は、神戸の貿易商・福原優作の妻聡子役を蒼井優、福原優作役を高橋一生、聡子の幼なじみで神戸憲兵分隊の隊長役を東出昌大、優作の甥・文推雄役を坂東龍汰が演じる。

BS8Kドラマ「スパイの妻」
(C)NHK

演出は「トウキョウソナタ」「岸辺の旅」など数々の映画を手掛けてきた黒沢清監督。作は濱口竜介、野原位、黒沢清。音楽は長岡亮介。再放送は6月12日19時30分ほか。作品時間は114分。

あらすじ

1940年、太平洋戦争前夜の神戸。福原聡子(蒼井優)は、満州へ赴いていた夫・優作(高橋一生)の帰りを待ちわびていた。ところが帰国後、幼なじみの憲兵・津森泰治(東出昌大)から呼び出され、夫が満州から連れ帰った女の死を告げられる。嫉妬心に駆られた聡子は、夫の行動を疑うなかで、彼が持ち帰った重大な秘密を目にしてしまう。かの地で一体、何があったのか。真実を知ってしまった聡子は驚きの行動に出る。

BS8Kドラマ「スパイの妻」
(C)NHK
黒沢清

福原聡子を演じた蒼井優コメント

この時代の女性を演じるのは今回が初めてだったのですが、思い描いたところに自分が行けているのか、どこか感覚が凝り固まっているのではないか、と常に自分を疑いながらの撮影でした。

また、黒沢監督は、立ち位置と動きを決めてくださって、そこからどうするかは、演じる側の俳優に委ねられるため、終始「正解は何だろう?」と思いながら演じていました。正解を当てに行くというよりは、不正解を知っていくことで役を形作っていくことができたように思います。

福原優作を演じた高橋一生コメント

黒沢監督作品に初めての参加でしたが、監督の世界観は非常に明確でしたので、動きの指示や細かな機微において、提示されたものの中でどれだけの事が出来るか、楽しみながら取り組むことができました。特に、この時代の人間を演じるならではの、現代的な口調ではない台詞群を、どう解釈して出力するかという作業は、個人的にも面白い体験でした。

また、撮影終盤には、大掛かりでクラシックなオープンセットを前に、百人以上のエキストラの皆さんが行き交う中で、1カットの非常に長いお芝居をやらせていただきましたが、各部署のスタッフの方々が動いていることを感じてここに参加させていただいていることの感謝と興奮がありました。そして、蒼井さんはお芝居で会話が出来る方なので、とても安心して刺激的な経験が出来たと思っています。

演出を手掛けた黒沢清コメント

過ぎ去った時代がまとう抽象性と、カメラが切り取る生身の人間の実在感とをどうやって両立させるのか、それは最初至難の技に思えました。しかし結果は素晴らしかった。

何より主演俳優二人が渾身の演技でこの時代のリアリティを体現してくれたこと、そして各スタッフたちがそれを支え、超濃密でどこか神秘的な8K映像が見る者をたちまち1940年代の日本へといざなってくれたこと、全てが最高のかたちで結びつきました。このような幸運な経験は、私の長いキャリアの中でも初めてのことです。