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キヤノン製超高感度センサー搭載の天体望遠鏡が稼働
2021年5月12日 16:00
キヤノンの超高感度CMOSセンサー「LI3030SAM」と「35MMFHDXSMA」を採用した、京都大学岡山天文台のせいめい望遠鏡による新観測システム「TriCCS(トリックス)」が、8月2日より本格稼働する。
2018年に開設された京都大学岡山天文台は、可視光から近赤外領域を観測するせいめい望遠鏡の稼働を2019年2月から開始し、国内外の天文学者が同望遠鏡を研究活動に活用。新観測システム「TriCCS」は、高速で複数の波長の光を検出可能で、遠く離れた宇宙空間で発生した暗い天体や、光度が急激に変化する天体を観測することを目的としている。
「TriCCS」は、可視光から近赤外領域の3色を同時に撮像することができる装置。キヤノンの35mmフルサイズ超高感度CMOSセンサー「LI3030SAM」「35MMFHDXSMA」が採用されている。
「LI3030SAM」は一辺19µmの大きな画素により、0.0005luxの低照度環境下でも撮影可能な超高感度を実現しながら、画素が大型化すると増える傾向のあるノイズを低減するほか、最大98fpsの高速での撮影が可能。
このセンサーを搭載することで、遠く暗い超新星や、明るさの変化が速く撮影が難しい中性子星やブラックホールなどの天体が発する複数の波長の光を同時に観測できる。
また、キヤノンの超高感度CMOSセンサーを採用している東京大学木曽観測所の観測システム「トモエゴゼン」との連携により、発見された超新星に対して、数日以内に追究観測を行なえる。
キヤノンは今後も、イメージングのリーディングカンパニーとして培ってきた技術力を生かして、科学技術の発展に寄与していくとしている。
宇宙の天体は暗いものがほとんどで、観測には高感度で低ノイズのセンサーが必要です。キヤノンのセンサー「LI3030SAM」は高感度・低ノイズでありながら最大98fpsでの撮影も可能なため、「TriCCS」の検出器として採用しました。
一般的なCMOSセンサーでは感度が低くなる、波長800nm付近でも「LI3030SAM」は高い感度を有することも採用した理由の一つです。キヤノンのセンサーの特長を生かして新たな天体現象を捉え、人類にとって未知の多い宇宙の解明にまい進していきたいと考えています。キヤノンには、今後もセンサーのさらなる高感度化・多画素化を進めていただきたいです。