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JASRAC、フィンガープリント技術で店で流れる曲を自動特定するトライアル

日本音楽著作権協会(JASRAC)は、フィンガープリント技術を用いて利用楽曲を自動的に特定するデバイス(Audoo Audio Meter)を店舗等に設置して、楽曲特定における精度の検証と運用面の課題等を把握するためのトライアルを、2021年12月から実施する。JASRACが演奏権分野において、フィンガープリント技術を用いて利用曲目の収集を行なうのは、これが初めて。

トライアル実施にあたっては、一般社団法人JDDAの協力を得て、東京都渋谷区のDJバー「Shibuya CLUB BALL」と「THE ROOM」にデバイスを設置するとともに、JDDAが行なうDJプレイ配信「Japan DJ.net-ONLINE-」の収録会場でも検証が行なわれる予定。

デバイスは、イギリス・ロンドンのスタートアップ企業Audoo Limitedが開発・提供するもので、店舗などで再生される楽曲のフィンガープリントを常時取得し、データベースとの照合によって特定できた楽曲タイトルを自動的にリスト化する。

同社はMidemが主催する音楽関連テクノロジーのスタートアップ・コンペティション「Midemlab」の2020年「マーケティング/データ/分析」部門でWinnerを受賞している。

JASRACは「今後もテクノロジーの活用を通じて、音楽利用者からお支払いいただく著作物使用料を、より正確に、より低コストで、権利者に分配する取り組みを推進してまいります」とコメント。

JDDA代表理事の角田敦(Watusi)氏は「あの時、あのクラブでDJがプレイしていた自分の曲。嬉しい反面その権利がそのまま自身に返ってくると想像する音楽家は少ないと思う。トライアルに名乗りを挙げてくれた老舗の音箱に感謝しつつ、一刻も早く具体性のある未来を感じたいと思っている。ブロックチェーンの時代にサンプリングは似合わないから」と語っている。

トライアルに寄せられたコメント

角田敦(Watusi/一般社団法人JDDA代表理事、COLDFEET)

あの時、あのクラブでDJがプレイしていた自分の曲。嬉しい反面その権利がそのまま自身に返ってくると想像する音楽家は少ないと思う。その理由でもある包括の裏側で実際どのように曲目が収集されているのか、問題点も様々語られてきたが、具体的な未来は見えてこなかった。今、JASRACが新たなデバイスを使ってそんな未来を切り開こうとしている。トライアルに名乗りを挙げてくれた老舗の音箱に感謝しつつ、一刻も早く具体性のある未来を感じたいと思っている。ブロックチェーンの時代にサンプリングは似合わないから。

鈴木貴歩(エンターテック・アクセラレーター、Midem日本アンバサダー、Midemlab審査員)

世界の音楽テクノロジーは業界が抱えていた課題を解決し、クリエイターの表現と可能性を解放しています。私が審査員を務めているグローバル音楽テクノロジーのスタートアップイベント「Midemlab」では未来を担う若い音楽テクノロジー企業が続々と輩出されています。JASRACがその中の1社である「Audoo」とパートナーシップを組み、データから日本のクリエイターや権利者の課題を解決する取り組みを行うことは、とても素晴らしい取り組みです。

Ryan Edwards(Audoo Limited founder and CEO)

我々はJASRACとのパートナーシップの発表を心より喜んでおり、JASRAC、そして世界中の演奏権管理団体に最も正確なデータを提供することにコミットしております。緊密に連携し、最新のテクノロジーソリューションを提案することで、我々はアーティストへのより正確な報酬の支払いを実現します。このミッションこそが我々のすべてなのです。