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Acoustune新ブランド「MADOO」、Micro PM採用次世代イヤフォン

Typ711

ピクセルは、Acoustuneより、マルチドライバー構成を採用した新ブランド「MADOO(マドゥー)」を発表。第一弾製品としてマイクロプラナードライバー3基とバランスドアーマチュアドライバー2基を搭載したユニバーサルタイプの「Typ711」を4月29日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は149,800円前後。

MADOOは、2021年に設立された主にマルチドライバー構成を採用した日本のイヤフォン専業ブランド。Acoutune製イヤフォンや高級イヤフォンのOEM/ODM開発を手掛けてきた日本人エンジニアが、“次世代のドライバや新しい素材を使ったイヤフォンを作る”という研究テーマをもとに立ち上がったプロジェクトが、正式にブランド化されたもの。

「イヤフォンの40年の歴史の中に未だかつて無く、次の10年に向けて戦えるイヤフォンであり、機械式のカメラや時計のように数十年使用することが出来る製品づくり」をコンセプトにしたという。

ファーストモデルの「Typ711」は、約2年の開発期間を費やしたもので、様々なスピーカーユニットについて駆動方式をアナログ/デジタル問わずに検討し、開発された。その成果として、「Micro Square PMドライバ“Planar”」と、カスタムされたBAドライバ「Summba」を採用している。

Micro Square Planar Magneticは、原理的にはプラナーダイナミックの技術を用いたドライバ。高度に薄板を加工した金属製の箱の内部に、メンブレン形状の軽量金属合金とスーパーエンプラを組み合わせた高い剛性を持つ複合材料の振動板を配置。そこに平面上のコイルが接合されており、強力なマグネットで振動板を駆動する。

コイルで振動板を直接駆動するため、「ダイナミックのような迫力ある音色でありながら、高い剛性を持つ複合材料振動板を使用することで締りのあるクリアな音を生み出すユニークな音色を持つドライバ」だという。低域用、中低域用、高域にそれぞれ3種類のカスタムされたドライバを使用。

さらに、Micro PMドライバの音色をより引き出すために、AVX製の高容量のキャパシタを用いた2次のクロスオーバーネットワーク、カスタムしたBAであるSummbaを組み合わせている。各ユニットの特徴は以下の通り。

  • Planar -PSM30101-
    低域と高域を担当。Planarシリーズの中で非常に小型なドライバで、音響的に緩やかなバンドストップフィルタを持つユニークな特性で突き抜けるような高音と制動の効いた低音が特徴
  • Planar -PCM90202
    中低域を担当。Planarシリーズの中では量感がありつつ、芯の効いた低音を持ちながら声のウェット感を引き出す中域が特徴
  • Planar -PAM80303
    低域を担当。非常にキック感のある芯の効いた低音が特徴。サブベースのような深い低音が得意
  • Summba -SBA50201
    中高域を担当。アーマチュアには細かな振動に優れるε(イプシロン)型アーマチュアを採用し、極薄で軽量化を図りながらも高剛性は失われないように最適化されたBA。非常に広帯域に低歪みで再生することができ、透明度の高い音を兼ね備えている

3種類のMicro PMドライバの組み合わせで、中低域に複数の音色を持たせながら、カスタムBAを使用することで音に適度なウェット感とクリア感のバランスを調整。Micro PMの音色を引き立たせたという。周波数帯域は20Hz~20kHz。インピーダンスは16Ω、最大入力は15mW。

ハウジングは、スイス製や日本製の高級時計やドイツ製自動車などの切削工具を手掛けた金属加工を熟知したエンジニアが設計。これを高精度なCNC加工により、SUSブロックを削り出すことで製造。

ハウジング表面には、硬さを持たせるためのサンドブラスト処理を施し、シェル厚を一般的なイヤフォンに対して十分に厚みを持たせた設計にするなど、音質のための妥協をしない仕上げを行なっている。

さらに、ハウジングアーキテクチャ“MIAA”(MADOO In-ear Acoustic Architecture)を開発。すべての製品はこのアーキテクチャに基づいて開発される。

ドライバをまとめる部品を「アコースティックボックス」と名付け、これを3Dプリントプロセスにより製造。スキマティックデザインと呼ばれる複雑な音響回路を備えている。

市場にある多くのマルチドライバイヤフォンは、ビニルチューブによるサウンドチューブを採用しており、その素材が軟質で、湾曲による潰れによる音のロスも大きいため、イヤフォンのサウンドに個体差が生まれているという。

そこで、ハウジングアーキテクチャ“MIAA”により、各ドライバを強固かつ正確な位置に固定。音響工学に基づいたサウンドチューブによって音を導き、スキマティックデザインにより、サウンドチューブは、穴径や長さ、フィルタ機能やボア機能を持たせるなど音響的に最適化。

「素晴らしいサウンドを届けられる」としているほか、3Dプリント部品は0.01mmレベルで管理され、プリントされるため、製造時の個体差を低減。「ユーザーは設計された音質をそのまま楽しむことが出来る」という。

日本、香港、中国、韓国などを中心としたアジア地域に着目し、これらの地域から約3年間で300人分の男性の耳型を収集。これを基に、最適な形状を導いたとする。

デザインコンセプトは“潜水艦や時計の窓をイメージした”とのこと。窓にふさわしい材料として、モース硬度が9と非常に傷がつきにくく、耐熱性も優れるサファイアクリスタルを採用した。ガラスやプラスチックに比べて透明性が高く、高級時計の部品や高級オーディオアクセサリーを手掛けるアダマンド並木精密宝石により、日本国内で製造されている。

イヤフォンケーブルは、兄弟ブランドであるAcoustuneカスタムによるシルバーコートされた銅線の2芯×2の4芯ケーブルを採用。イヤフォンとの接続部分にはPentaconn Earを採用。入力端子として、3.5mm 3極L字金メッキプラグの「MRC011」と、4.4mm 5極L字金メッキプラグ「MRC023」の2本のケーブルが用意されている。

3.5mm 3極L字金メッキプラグの「MRC011」
4.4mm 5極L字金メッキプラグの「MRC023」