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MADOO初、マイクロプラナードライバ1基のイヤフォン「Type821」

「Type821」

ピクセルは、MADOOブランドの第3弾製品として、新開発のプッシュプル型マイクロプラナードライバー「Ortho」1基を搭載したユニバーサルタイプの有線イヤフォン「Typ821」を、8月4日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は244,800円前後。予約受付と試聴機展示は7月21日11時から開始する。

MADOOは2021年に設立された日本のイヤフォン専業ブランド。Acoustune製イヤフォンや高級イヤフォンのOEM/ODM開発を手掛けてきた日本人エンジニアが、次世代のドライバーや新しい素材を使ったイヤフォンを作るという研究テーマをもとに立ち上げた。

これまでMADOOは、マルチドライバー構成の製品をラインナップしてきたが、今回のTyp821は新型ドライバーのOrthoを採用したシングルドライバー構成となる。これは、同ドライバーを採用した初のモデルとして、シングルドライバーでの音質チューニングを極限まで突き詰めることで、今後のMADOO製品のベンチマークとする目的もあるという。

プッシュプル型マイクロプラナードライバー「Ortho」を新開発

プラナードライバー(平面駆動ドライバー)には、プッシュプルドライブ型とシングルドライブ型の2種類があるなかで、Orthoでは前者を採用。μmオーダーでコイルがプリントされた極薄かつ軽量な振動板に5個ずつの磁石を前後に対抗で挟み込むプッシュプルドライブ方式で配置することで、バランスの良い駆動とレスポンスの良いサウンドを実現したという。

プッシュプルドライブ型のドライバーは、きらびやかで繊細な高域と力強い低域を表現する音のキャラクター性に富んでいるものの、小型で強力な磁石を多数使用するため組み込みの難易度が高く、イヤフォンサイズに収める小型軽量化を実現するのは困難だったとのこと。

そのため、これまでは主にハイエンドヘッドフォンのような大型製品に搭載されるのが主流だったが、今回開発したOrthoでは多数のダイナミックドライバーの開発実績を持つ熟練のエンジニアが試行錯誤を重ね、イヤフォンサイズでありながら高品質なプッシュプル型プラナードライバーを生み出した。

サウンドチューニングは中高域に重きを置き、ボーカルの柔らかな表情やハイハットのシャープで金属的な響きと音抜け感など、音像の細かなニュアンスまで丁寧かつエネルギッシュに再生。「スケール感の大きい音楽も情感豊かに描き、アカペラや音数の少ない楽器にもしっかりとフォーカスする瑞々しいサウンドをお楽しみいただける」という。

ハウジングには切削加工が困難とされるチタン素材を採用。チタンは優れた剛性を持ちながら比較的軽量かつ生体適合性が高い金属のためイヤフォンに適した素材だが、一方で非常に加工が難しいことでも知られている。

スイス・日本製の高級時計やドイツ製自動車製造に用いられる切削工具などを手掛け、金属加工を熟知したエンジニアがハウジングを設計。強力かつ高精度な多軸CNC加工機でチタンブロックから削り出すことで製造されている。

またMADOOでは「ハウジングの剛性は音質に影響を与える」という設計思想があるため、ハウジング表面にサンドブラスト処理を施して硬度を持たせるとともに、一般的なイヤフォンと比較してシェルに十分な厚みを持たせるなど、音質のために妥協をしない仕上げを施した。その結果、Typ821のハウジングは歴代MADOO製品の中でも特に優れた剛性を誇り、“Ortho”のポテンシャルを最大限発揮できるハウジングに仕上がったとのこと。

MADOO独自技術のハウジングアーキテクチャ「MIAA(MADOO In-ear Acoustic Architecture)」に基づいて開発されている。ドライバーをまとめる部品を「アコースティックボックス」と呼び、これらは3Dプリントで製造。スキマティックデザインと呼ばれる複雑な音響回路も有している。

3Dプリント部品にはプレシジョンレジンを採用し、製造工程におけるプレキュア、ポストキュアの硬化プロセスを徹底することにより、5μmレベルで管理された限りなく精密な部品を製造している。厳密に管理された品質によって製造時の個体差が減ることで、ユーザーは設計された音質のありのままを楽しめる。

Type821は従来モデルと同様に楕円形状ステムを採用。イヤフォン形状は、アジア地域で約3年の歳月をかけ、300人分の耳型データを採取。これらのデータをもとに設計されており、上質なフィット感とデザイン性を両立している。

ハウジングには、潜水艦や時計の窓をイメージしたデザインも採用。モース硬度9度のサファイアクリスタルを使っており、外観上だけでなく、機能面でも空隙によりスピーカーユニット群の背圧を制御することで、スピーカーユニット群のパフォーマンスを引き出せる構造になっている。

MADOOイヤフォンを象徴する“窓”はデザインを一新

窓自体のデザインも、既存モデルに対する第2世代的な位置づけとして一新し、800シリーズの型番に準じて8個のネジをあしらうことで、コンセプトである潜水艦の窓を彷彿とさせるような、MADOOの新しい顔となるデザインとなった。

Pentaconn EARを採用

再生周波数帯域は20Hz~40kHz、インピーダンスは15Ω、最大入力は5mW(0.4V)。イヤフォン側コネクターにはPentaconn EARを採用している。

2種類のケーブルが付属する

付属ケーブルには、兄弟ブランド「Acoustune」監修のもと、シルバーコート銅線の4芯ケーブルを採用している。製品には標準で3.5mm 3極L字金メッキプラグの「MRC011」と、4.4mm 5極L字金メッキプラグの「MRC023」の2本のケーブルが付属する。長さはどちらも約1.2m。

ケーブルを含めた重さは約45g。シリコンイヤーピース(S/M/L)各1セットやフリーフォームチップ1セット、イヤーピースケース、イヤフォンケースなどが付属する。