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「CEATEC 2023」17日開幕。ソニーブースに文字起こしスマートグラス

会話支援に使われる参考展示のスマートグラス。相手の戦闘力が測れそうな形状

幕張メッセにて、10月17日より「CEATEC 2023」が開催。開催期間は20日までで、入場料は無料だが、来場事前登録が必要となる。開催に先駆けて16日に報道機関向けに一部ブース展示が公開。ここでは、ソニーグループのブースをレポートをお届けする。

ソニーグループのブースのテーマは「誰もが自分らしく、感動を分かち合える未来のために。」で、網膜投影カメラキット「DSC-HX99 RNV kit」や、αシリーズのミラーレスカメラの最新機種「α7C II」「α7CR」に搭載された画面表示拡大機能、仮想のボールを使用する「XRキャッチボール」の体験展示などを行なっている。

VLOGCAMから搭載されている音声読み上げ機能に加えて、α7C II/α7CRには画面拡大機能が新たに搭載された

ソニーグループの考え方として、身体障害などの制約を持った人がそうでない人達に合わせて生活できるようにするのではなく、制約のある人達のニーズから、そうでない人たちにとっても有用になる価値を作り出す「インクルーシブデザイン」を採用していることが、根底にあるという。今回のブース展示では、そういったインクルーシブデザインに基づいた機能やプロジェクトの紹介が行なわれている。

“スカウター”のようなスマートグラスが参考展示

参考展示として、スマートグラスによる会話支援プロジェクトが紹介されており、片目用のスマートグラスとヘッドバンドが一体化したようなデバイスが展示。「聴覚障がいの有無に関わらず、大切な相手とお互いの顔を見ながら行う自然なコミュニケーションの実現を目指した」という。

このデバイスには、正面に居る人の声を収音するためのビームフォーミングマイクを搭載しており、マイクで収音された音声データはスマホを経由してクラウドに送信。クラウド上で文字起こしされ、発話から1秒程度でディスプレイに表示される仕組みとなっている。

また、このスマートグラスのディスプレイは使用時の快適性を追求して、フレームレスを実現するために、従来のスマートグラスに使用されるガラスではなく、薄型の樹脂導光板を採用。ソニーの光学ディスクの技術を使って成形されており、ブースにはそのディスプレイ部の原型となっているディスクも合わせて展示されている。

視界に邪魔にならないようフレームレスを採用
メガネにも干渉しないようになっている
隣にディスプレイ部の原型となっているディスク状の樹脂導光板も展示されている

このスマートグラスは会話支援のみならず、翻訳での使用も想定。翻訳用途でも文字起こしと同じようにクラウド上で処理されて、リアルタイムで翻訳された文章が表示される。なお、展示されている映像は、実際にこのデバイスを通してカメラで撮影されたものとのこと。また、画面に表示されている文字などは相手からは見えず、眼を見て会話できる。

PS5「Access コントローラー」が一般向け初展示

PlayStation 5用の「Access コントローラー」が一般向けに初展示。このコントローラーも身体に障害のある人でも使うことのできるデザインを採用したもので、複数の形状のパネルを用意し、全てのボタン配置の変更、スティックまでの感覚なども調整できる。

Access コントローラー

パネルは例えば指先を動かせる人向けには反りのあるパネル、手のひらや甲を使わなければいけない人向けにはフラットなもの、といった形でカスタマイズできる。また、コントローラーには3.5mmの接続用端子を4系統備えており、フットペダルなどの拡張コントローラーなども使用可能となっている。

拡張用の端子を備えている

弱視の人も使える網膜投影カメラ

網膜投影カメラキットは、ソニーのデジタルカメラCyber-shot「DSC-HX99」とQDレーザの網膜投影型ビューファインダー「RETISSA NEOVIEWER」を組み合わせたセット。網膜投影されるため、ユーザーの視力に左右されず、弱視の人も利用できる。近視の人がメガネを外した状態でもピントの合った映像を見ることができるほか、ブースにてボケて見えるレンズを間に挟んで疑似体験することもできる。

網膜投影カメラキット「DSC-HX99 RNV kit」

弱視の人も写真を撮るニーズが多く、見えないものを撮影して、撮れた画像を見て周囲の状況を確認するといった用途のほか、外出時にはよく見えていない風景を写真として残しておくことで、帰宅した後にその景色をじっくりと確認するといった楽しみ方をしているとのこと。

ファインダー側

今回の網膜投影カメラキットでは、ファインダーを覗いた段階で鮮明な風景が確認できるため、周囲の確認や写真撮影のほか、例えば家族と動物園などに言った際に、動物がどこにいるという会話が弱視の人でもリアルタイムで楽しめるようになるといったメリットがあるという。

なお、網膜投影カメラキットは既発売で、ソニーストアにて109,800円で購入できる。

ファインダー側にはHDMIで出力している

誰でも簡単に楽器の演奏が楽しめるウルトラライトサックスも展示。マスク状になっている部分を口元に当てて、鼻歌を歌うことでサックスの音色を鳴らすことができるもので、言葉や年齢に関係なく自由に演奏を楽しめるという。

ウルトラライトサックス

今回はサックスの形状での展示だが、本体部分の基板はそのまま外装を変えることでサックスのみならず、様々な形状、音色にすることができるのも特徴となっている。

本体部分に使われている基板
ソニーグループの展示の様子