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シャープ、テレビ向けの液晶パネル生産停止。'23年1499億円の最終赤字

堺ディスプレイプロダクト

シャープは14日、子会社の堺ディスプレイプロダクト(SDP)が運営する堺工場でのディスプレイパネルの生産停止を決定した。「パネル市況の低迷が想定外に長期化しており、パネル生産を安定的に継続していくことが難しい状況」が理由。生産停止時期は2024年度上期中を予定。SDPは、保有する大型液晶パネルに関する技術資産等の他企業への供与や、建屋等を活用したビジネス等へ事業転換を進める。

堺ディスプレイプロダクト(旧シャープディスプレイプロダクト)は、液晶パネル・モジュールの生産や販売を行なうシャープの子会社として2009年に設立。堺工場は、当時世界最大とされたマザーガラスから超大型液晶パネルを作り出せる“世界唯一のG10工場”として稼働、テレビ等の液晶パネルを供給してきた。

シャープは、既存のディスプレイ搭載製品に加え、自動車やメタバース等の需要の増大が見込まれること、そして、米中貿易摩擦下における中国以外の大型液晶パネル工場であるという優位性が認められるなどの事業環境・機会を捉え、「高品位な大型液晶パネルの安定的且つ優位性のある調達、ディスプレイデバイス事業のアプリケーション拡大や生産能力向上」等を目的に、2022年6月にSDPを子会社化した。しかし、足元のパネル市況の低迷が想定外に長期化。SDPは業績・財務状況が悪化し、パネル生産を安定的に継続していくことが難しい状況となった。

シャープとしても、「SDPの子会社化決定時に想定していたような事業環境・機会は依然として中長期的には存在する」と見るが、中小型ディスプレイデバイスの需要が急激に悪化するなどの状況を踏まえ、SDPに対し、現在の事業環境・機会に対応するための投資を直ちに行なうことは非常に困難と判断。

SDPでも堺工場におけるパネル生産の見通しを精査した結果、「継続により収益改善が図れる余地は認められるものの、パネルの需要・価格変動のリスク、ガラス等の部材や人件費の高騰の状況等を考慮すると、かえって損失が拡大するおそれもある」とし、堺工場における生産停止を決定したという。

生産停止に伴う連結業績への影響については、2024年3月期において事業構造改革費用として87億500万円を計上。2025年3月期業績への影響は精査中。

なおシャープは同日、2023年度決算および中期経営方針を発表。

2023年度の売上高は、ディスプレイデバイスやエレクトロニックデバイスが大幅な減収となったことなどから、前年度を下回る2兆3,219億円。営業利益・経常利益は、ディスプレイデバイスの不振により、赤字となったものの、ブランド事業の収益改善が進んでおり、赤字幅は減少。最終利益は、ディスプレイデバイスに関連する減損損失を計上したことから、1,499億円の赤字となったことを明らかにした。