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クリプトン、クルトミューラーコーンのベストセラースピーカーがバイワイヤリングで進化「KX-1X」

KX-1X

クリプトンは、クルトミューラーのウーファーなど、上位モデルの要素を備えつつ、コストパフォーマンスを高めた2014年のブックシェルフスピーカー「KX-1」を復活させ、バイワイヤリング対応とし、内部配線も進化させた「KX-1X」を12月下旬に発売する。価格はペアで税抜325,000円。

サイズや搭載しているユニットなど、基本的な仕様はKX-1と同じ。エンクロージャーは密閉型で、モアビつき板にポリウレタン塗装を施し、木目の美しさと高級感のある仕上げになっている。筐体の素材は、針葉樹系高密度18mm厚のパーチクルボードとMDF(裏板)を組み合わせ、剛性を高めている。

左からKX-1X、KX-1

ツイーターは砲弾型のイコライザを備えた、35mm径ピュアシルク振動板のリング型ユニットを採用。50kHzまでの帯域を確保し、ハイレゾ音源の再生に対応する。

ウーファーの振動板はクルトミューラーコーン。低域の再生能力を高めるために、低域共振周波数(fo)を35Hzとした170mm径のユニットを採用。ボイスコイルはエッジワイズのロングトラベルボイスコイルを採用し、線積率を高めて、低域のリニアリティを向上させている。スピーカー全体の再生周波数帯域は40Hz~50kHz。クロスオーバーは3.5kHz。

磁気回路には、希少金属のアルニコではなくフェライトマグネットを採用し、コストを抑えている。一方で、大きなフェライトを使うことで磁束密度を向上。B-H曲線(磁気ヒステリシス曲線)を立てて、アルニコのような音に近づける工夫を施した。

KX-1Xの進化点として、スピーカーターミナルを従来のシングルワイヤからバイワイヤリング対応とした。内部配線材も刷新しており、単品売りしている高級スピーカーケーブル2種類を採用。ウーファー用には、絹の介在を使ったPC-Triple Cのケーブルを、ツイーター用にはマグネシウム芯線の外周に、PC-Triple Cを6本撚りした構造のケーブルを使っている。

バイワイヤリング対応になった

ケーブルを刷新すると、解像度が上昇する一方で、ハイ上がりに聴こえてしまうようになるため、そうならないように吸音材の量や入れ方を工夫するなど、改めてチューニングが行なわれている。

吸音材はウールの低密度フェルトとミスティックホワイトを採用。制動特性を調整し、ウーファーの優れた低域特性と組み合わせ、トランジェントの良い豊かで伸びやかな低音再生を可能にしたとのこと。

定格入力は50W、最大入力は150W。出力音圧レベルは88dB/W・m。インピーダンスは6Ω。外形寸法は224×319×380mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は8.2kg。

「KX-1」と「KX-1X」を聴き比べる

発表会にて、短時間だがKX-1と、KX-1Xを聴き比べた。KX-1Xの特徴を出すため、KX-1はシングルワイヤリング、KX-1Xは新たに対応したバイワイヤリング接続で鳴らしている。

KX-1X

ユニットやエンクロージャーなど、スピーカーとしての主な仕様が同じなので「そこまで違いが出るのかな?」と思いながら試聴したが、KX-1で「ダイアナ・クラール/California Dreamin」を聴いた後、KX-1Xで同じ曲を再生すると、解像度が向上したのがすぐわかる。

音がより細かく、微細な表情まで伝わるようになった事で、ダイアナ・クラールの口の動きや、吐息の生々しさが、よりリアルに感じられる。KX-1は「ここにボーカルの音像があるな」と感じるだけだったが、KX-1Xでは「ここに口が浮いている感」が強くなる。

解像度だけでなく、ユニットがより伸び伸びと動いているようで、上下のレンジも拡大したように感じる。特に低域の深さが一段と深くなった印象だ。

付帯音もより少なくなる。ブックシェルフであるため、もともと音場は広大で、音像の定位も明瞭なスピーカーだが、KX-1Xになると、“エンクロージャーの存在”がより希薄になり、スピーカーから音が出ているという感覚が少なくなっていく。ブックシェルフの良さを、より実感できるスピーカーに進化したと言えるだろう。