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パナソニック、HDMI 2.0/4K 60p対応プレミアムDIGA

4Kをより高画質に。実売40万円の「DMR-BZT9600」

DMR-BZT9600

 パナソニックは、ブルーレイDIGAの最上位モデル「DMR-BZT9600」を11月20日より発売する。実売価格40万円前後の“プレミアムモデル”として、他のDIGAとは別格の高画質/高音質機能を搭載。4K/60p伝送に対応したHDMI 2.0の搭載も「DMR-BZT9600」のみとなるほか、ネットワーク/ハイレゾオーディオの強化にも取り組んでいる。

 “画質”については、2系統のHDMI出力端子を装備し、4K(3,840×2,160ドット)へのアップコンバートに対応。HDMIバージョン2.0対応で、4K/60p/36bit/4:2:2、4K/24p/36bit/4:4:4出力が可能となり、ジブリのBDビデオなど最高各色12bit収録の「マスターグレードビデオコーディング(MGVC)」対応ソフトの映像を伝送できる。

2系統のHDMI出力やバランスアナログ音声出力端子を装備する

 “音”についても、DLNAのDMR(デジタルメディアレンダラー)機能を搭載し、ネットワークオーディオプレーヤーとして高音質を追求。FLACの24it/192kHz 5.1chタイトルも再生が可能で、新たに電源部の強化や、付属のUSBパワーコンディショナなどで音質強化を図っている。

 レコーダとしての基本機能も、新ブルーレイDIGAの各モデルと同等。新ユニフィエ(Uniphier)による動作の高速化や、地上/BS/110度CSトリプルチューナと3TB HDDの搭載など、DIGAのフラッグシップ機としての機能も充実している。新ブルーレイDIGAの詳細については、別記事でまとめているため、ここでは主に音質や画質関連の特徴を紹介する。

4Kも高画質化。MGVC対応も強化

 他のブルーレイDIGAとは異なる3層ベースの高剛性/低重心筐体を採用し、インシュレータも専用設計。重量バランスを低重心化し、振動の低減と安定化を図っている。システムLSIには新ユニフィエを搭載し、4Kアップコンバート処理性能を高めている。

DMR-BZT9600。専用の低重心シャーシを採用する

 BDレコーダとして世界で初めてHDMI 2.0の出力端子を装備。HDMI 2.0の18Gbpsという広帯域を活かして、4K/60pのクロマフォーマット4:2:2、ビット階調36bit伝送に対応した。また、4K/24p、30pでも、クロマフォーマット4:4:4、ビット階調36bitの映像伝送を可能にした(従来は4:2:2/36bit)。

規格周波数解像度/
フレームレート
クロマ
フォーマット
ビット階調BZT9600BZT9300
(2012年発売)
HDMI 2.018GHz4K/24p
4K/30p
4:4:436bit-
4K/60p4:2:236bit-
4K/60p4:4:424bit-
HDMI 1.410.2GHz4K/24p4:2:236bit
4:4:424bit
4K/30p4:2:236bit-
4:4:424bit-

 4Kアップコンバートには、従来モデルのBZT9300でも対応していたが、新たに4K/60pなどのHDMI 2.0の上位フォーマットに対応。さらに輝度や色のマルチタップ性能をBZT9300比で1.3倍以上に向上し、自然な4K処理を実現可能な「4KダイレクトクロマアップコンバートPlus」に強化した。

 4Kディスプレイでも2Kから4Kのアップコンバートを行なうが、BZT9600の4Kダイレクトクロマアップコンバート Plusでは、オリジナルの色信号(2K/4:2:0)から、4K信号(4K/4:4:4)に一回のクロマ処理でアップコンバートすることで、記録情報を最大限に活かして4K映像を生成できるとする。

 パナソニックでは、DIGAのように「4Kへのアップコンバート処理をプレーヤー側で行なうことでより高画質な処理が行なえる」と説明する。その根拠は、HDMIの伝送時に2K信号は4:2:2もしくは4:4:4で扱われるため、テレビ側ではダイレクトに2K(4:2:0)から4K(4:4:4)への処理が行なえず、プレーヤー(4:2:0)から2K/HDMI(4:2:2 or 4:4:4)にクロマアップサンプリングしたあと、4Kへのスケーリングを行なうなど複数回の処理が発生する。プレーヤー側で一度に4K/4:4:4などに処理するほうが劣化が少なく、映像の鮮度が高いとする。また、BD、放送、ネットなど映像素材に応じて、4Kアップコンバートや超解像特性などを最適化できる点もプレーヤー側で処理を行なうメリットとしている。

 また、新たに1080iのHD放送だけでなく、1080iのBDビデオも4K/24p変換に対応。1080iの4K/30p変換にも新対応し、より幅広い映像素材の4Kアップコンバートが可能になった。

MGVCタイトルについては常にビット階調を優先して出力

 さらに、同社の4K VIERA「TH-L65WT600」などHDMI 2.0/4Kテレビに対しては、HDMI 2.0で接続できる。ジブリのBDビデオなど各色最大12bit(最大36bit)のマスターグレードビデオコーディング(MGVC)映像素材に対しては、常に36bit階調出力を選択し、常にMGVCの良さを最大限に引き出せるとする。

 画質モードも強化し、4Kマスター素材を鮮明に見せる「ハイレゾ」、4Kマスター映画を鮮明/滑らかに表現する「ハイレゾシネマ」、旧作映画をクリアにする「レトロシネマ」などを搭載。また、細かな画質調整も可能で、自分で調整した設定値を3つまで保存できる。

24bit/192kHz FLAC対応のDMR。USBパワコンも付属

 音質の改善もBZT9600の特徴。BZT9300シリーズで搭載したバランスアナログ音声出力回路やDLNAレンダラー(DMR)機能などの、ネットワークオーディオプレーヤーとしての機能を継承しながら、BZT9600では電源などの強化により基本音質の工場を図った。

 DLNAレンダラーとしては、最高24bit/192kHzまでのハイレゾオーディオに対応。ファイル形式は、24bit/192kHzのWAVとFLAC(2ch)、24bit/96kHzのFLAC(5.1ch)のほか、AAC、MP3、WMAなどをサポート。ホームネットワーク内のNAS(LAN HDD)やパソコンに蓄積した楽曲をスマートフォンなどのDMC(コントローラ)から再生指示し、出力できる。

 新たにスイッチング電源を強化し、従来比約2.5倍の大容量電解コンデンサや従来比約3倍(20A)のMOSFETなどを搭載。電源回路の余裕度を従来比約2.5倍に強化することで、低音の力強さを高めたという。

 また、HDMI伝送時のジッタを抑制するために、低クロックジッタシステムも強化。オーディオクロックスタビライザーを改善し、伝送パラメータの変動を長周期化することで、音質に悪影響を与えるジッタを低減した。

 ユニフィエを細かく制御し、使用していない機能を停止させることでノイズ源を無くす「インテリジェントローノイズシステム」も強化。レコーダとして動作している場合は、ファンやチューナ、デジタルAV処理など全ての機能を動作させるが、BDビデオ再生時には、チューナやアナログ音声系などの回路をカットし、ノイズ源を抑制するもの。新たにBDの通常再生時にデジタル前処理やDACなどを停止する他、DDRメモリへのアクセスを抑えることで、デジタルノイズの発生を抑制し、音質への影響を排除したとする。

背面。バランス音声出力などを装備

 なお、インテリジェント ローノイズシステムで一部システムを停止する場合、例えばHDDやチューナをカットした場合は、レコーダとしての動作はせずBD/音楽プレーヤーとして動作する。

 入力信号を192kHzまでアップサンプリングして出力する「192kHzリマスター」や、同精度演算し、真空管風サウンドを実現する「192kHz真空管サウンド」なども搭載する。
 32bit

 アナログ音声出力系統は、32bit/192kHzのL/Rチャンネル独立完全バランス伝送回路で構成。DACは、32bit/192kHz対応の「AK4390」を、オペアンプは左右独立で搭載。バランス出力端子はNEUTRIK製のものを採用する。また、音質に定評ある銀入りはんだの採用などで、音域の拡大や音の透明度向上を実現したという。

 バランス(XLR)出力のほか、2系統のアナログ音声(RCA)や、光デジタル/同軸デジタル出力を装備。アナログ音声出力端子は、L/R間の距離を14mmから20mmに拡大し、太いケーブルも接続可能にした。また、光/同軸デジタル出力は24bit/192kHzまでの出力に対応する。

USBパワーコンディショナ

 また、付属品として「USBパワーコンディショナ」を用意。これはBZT9600の未使用USB端子に装着することで本体内部の電源ノイズを低減し、音質を高めるというもの。コンディショナは樹脂ケースとアルミプレートの組み合わせで高剛性化。プラグ部の金メッキ処理や、インドビハール州、ギリディ地方のルビーマイカや、非磁性炭素皮膜抵抗、銀入りはんだなどを採用。特にノイズ源になりやすいUSB 3.0端子に接続すると、効果が高いという。

USBパワーコンディショナの内部。ギリディ地方のルビーマイカなどを搭載
背面に接続。USB 3.0端子に接続すると特に効果が大きいとのこと

「おまかせ録画」などレコーダとしての基本機能も強化

 HDD容量は3TB。地上/BS/110度CSデジタルトリプルチューナを搭載し、ネットワーク経由のスカパー! プレミアム録画とあわせて4番組の同時録画に対応する。別売のUSB HDDにも対応。USB 3.0をサポートしており、USB 3.0接続時には、USB HDDへの3番組同時録画やAVC長時間録画も行なえる。USB HDDの複数台同時接続はできないが、最大8台まで登録可能。

 MPEG-4 AVC/H.264エンコードによる長時間録画は、BSデジタル放送で最大15倍(1.6Mbps)で録画可能。AVC長時間録画時の画質も向上し、ジャンル最適処理を改善。EPGの情報が「ドラマ」の場合、量子化マトリクスを改善し、低レート時のボケやノイズを改善、「音楽ライブ」の場合、デブロックフィルタを改善し、ブロックノイズやモスキートノイズを低減した。

 BZT860シリーズなどと同様におまかせ録画関連機能の強化も図り、放送種別やカテゴリ/サブカテゴリ、フリーワードなどの条件を組み合わせた録画設定が可能。おまかせ録画番組はユーザーが操作して消去するだけでなく、10日後か20日後に自動消去できる。0.8倍速再生の「ゆっくり再生」も搭載。聞きづらい番組や語学学習などで利用できる。

ディーガモニター「UN-DM10C1」

 ネットサービス「ディモーラ」による遠隔録画予約や、「ミモーラ」による録画番組検索/シーン頭出しにも対応する(月額315円)。

 無線LANとEthernetを装備し、DTCP-IP/DLNA対応のVIERAに番組をストリーミング配信する「お部屋ジャンプリンク」に対応。お部屋ジャンプリンクは、2番組の同時番組配信に対応。放送中の番組を対応機器に転送する「放送転送」にも対応している。

 また、別売の防水対応ワイヤレスモニター「ディーガモニター」(UN-DM15C1/UN-DM10C1)と無線接続することで、DIGA内の録画番組をストリーミング視聴できるほか、ディーガモニターをDIGAの無線リモコンとして利用できる。タッチパネル操作で、DIGAの録画や再生、チャンネル切り替えなどが行なえるという。

リモコン

 リモコンは無線方式でタッチパッドを採用。スマート検索用の[検索]ボタンを追加したほか、タッチパッド部の外周をくるくるとなぞることで高速に上下スクロールでき、パッド部のフリックでページ切り替えなどが行なえる。

 出力端子はHDMI×2、アナログ音声×2(RCA×1、XLR×1)、光デジタル音声×1、同軸デジタル音声×1。i.LINK×1やUSB×3(USB 3.0×1、USB 2.0×2)、SDカードスロットを備えている。

 消費電力は28Wで、クイックスタート「切」/時刻表示消灯時約0.02W、クイックスタート「入」/時刻表示点灯時約4.9W。外形寸法は438×239×77mm(幅×奥行き×高さ)、重量は7.7kg。

(臼田勤哉)