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ヤマハ、Atmos対応で新ESS製DAC搭載のAVアンプ「AVENTAGE」3機種

 ヤマハは、ハイクラスAVアンプ「AVENTAGE」(アベンタージュ)の新モデル3機種を発売する。いずれもDolby Atmosに対応するほか、後日のファームアップによりDTS:Xにも対応予定。価格と発売時期は、「RX-A1050」が9月上旬で14万円、「RX-A2050」が9月中旬で20万円、「RX-A3050」が9月下旬で27万円。

左から「RX-A1050」、「RX-A2050」、「RX-A3050」

 「RX-A1050」は最大出力170W×7ch(6Ω)、「RX-A2050」は220W×9ch(6Ω)、「RX-A3050」は230W×9ch(6Ω)。A1050とA3050はチタンとブラックの2色、A2050はチタンカラーのみとなる。

RX-A1050

 Dolby Atmosは、オーディオ信号にハイト(高さ)成分とメタデータ(位置・時間情報)を付加することで、リアルな音の移動を再現し、臨場感のある豊かなサラウンド空間を実現する最新の多次元サラウンドフォーマット。制作者が自在に配置し、縦横無尽に動かせる独立した音響要素「オブジェクト」を重ね合わせることで、リアルな音響体験を実現する。

 A3050は、プレゼンススピーカーはフロントスピーカー上方壁に設置する「フロントハイト」、天井に設置する「オーバーヘッド」、天井に音を反射させる「ドルビーイネーブルドスピーカー」が利用可能。5.1.2ch、5.1.4ch、7.1.2ch、7.1.4chの構成に対応する。なお、7.1.4ch利用時は外部パワーアンプが必要。

 なお、Dolby Atmos利用時は、音声はストレートにデコードするのみ。ヤマハ独自のシネマDSPなどの効果を重ねる事はできない。Atmos非対応ソフトを再生する場合は、アップミックス再生ができる。

RX-A1050
RX-A1050の背面

 HDMI端子はHDCP 2.2に対応。8入力、2出力を備えており、その内7入力/2出力で対応する。前面端子のみ非対応。4K/60p/4:4:4の伝送が可能。後日のファームアップにより、HDR(ハイダイナミックレンジ)映像の伝送にも対応する。

 DACには、ESSの新しい「SABRE9006A」を採用。より滑らかで、高解像度なサウンドになったという。A1050はこのDACを1枚、A2050は2枚、A3050はES9016とSABRE9006Aを搭載している。さらにウルトラロージッターPLL回路も全モデルに搭載し、さらなるジッタ低減も行なっている。

 6.1ch以上の信号入力時には、バーチャル・サラウンドバックスピーカー機能も利用可能。バーチャルプレゼンススピーカーと組み合わせる事もでき、5.1chスピーカー構成で仮想9.1chの再生ができる。

RX-A2050
RX-A3050

 付属マイクを使った設置環境の初期反射音の計測結果に基づき、高音と低音のバランスを音量に応じてコントロールする「YPAO Volume」機能も利用できる。

 部屋の初期反射音を計測してスピーカーの設置位置の違いなどによるチャンネル間の音質・音場偏差を補正する「YPAO-R.S.C.」、残響特性に応じてシネマDSP効果を最適化する「DSPエフェクトノーマライズ」、最大8地点のマルチポイント計測機能を全機種に搭載。RX-A3050では、視聴位置から見たメイン(フロント)/サラウンドの方角と高さを測定して、より効果的な3D音場が再現されるようシネマDSP処理の補正を行う「YPAO 3D測定」にも対応する。付属のYPAO用マイクは3機種とも測定性能を高めた改良型で、RX-A3050には3D測定専用マイクベースも付属している。

 筐体には制振・高剛性なシャーシを採用。左右対称コンストラクション構造になっているほか、H型クロスフレームも採用。RX-A3050には、底板を二重にしたダブルボトム構造と鋳鉄製レッグも追加している。電源供給は、オーディオ、映像、デジタル、EL表示の4回路に分離して供給。干渉を防いでいる。

RX-A2050

 パワーアンプは、高速熱帰還トランジスタと大容量制振ヒートシンクを採用した左右独立構成のディスクリート構成。「D.O.P.G.コンセプト」などの基本構成は3機種共通となっている。音質対策パーツは各モデルで異なる。電源用カーボンシース・ブロックケミコン容量はRX-A3050が18,000μF×2、RX-A2050が12,000μF×2、RX-A1050が9,800μF×2。

 無線LAN機能も内蔵。新たにIEEE 802.11b/gに加え、802.11nにも対応。Ethernet端子も備えているが、LANもケーブルを使わずにネットワークオーディオ機能や、スマートフォン/タブレットからの操作が可能。ルータに接続し、LAN内のNAS(ネットワークHDD)などに保存した音楽ファイルも再生できる。

 Bluetoothにも対応。ルータを使わずに機器と直接ワイヤレス接続する「Wireless Direct」機能も用意。AirPlayにも対応し、AVアンプ制御用アプリの「AV CONTROLLER」によるワイヤレス再生もサポートする。

 ネットワークオーディオプレーヤー機能では、192kHz/24bitまでのWAV/FLAC、96kHz/24bitまでのApple Lossless再生に加え、192kHz/24bitのAIFF再生にも新たに対応。DSDの再生も可能になり、2.8MHz/5.6MHzのデータをネットワーク経由で、もしくはUSBメモリから再生できる。なお、A3050のみDSDダイレクト再生で、その他のモデルはPCMへの変換再生となる。

 ネットワークモジュールも刷新。ネットワーク/USB/Bluetooth再生時に有効なもので、高精細かつロージッタのクロックを搭載し、ノイズレベルを大幅に低減している。

RX-A3050

 「ハイレゾリューション・ミュージックエンハンサー」も用意。MP3などの圧縮音楽ファイル再生時や、Bluetooth音楽再生時などに利用できる。失われた高域の情報などを補って再生する「ミュージックエンハンサー」を強化したもので、ロスレスの音源も高音質で再生する。16bit、44.1/48kHzのPCM(WAV)/FLAC音声を再生する場合、「ハイレゾリューション・ミュージックエンハンサー」で、2倍にアップサンプリングすると共に、量子化ビット数を24bit化。24bit、88.2/96kHzの音楽データとして再生する。これにより、より繊細な表現ができるようになる。

RX-A3050の背面
RX-A2050の背面
RX-A1050の背面

 アナログ音声入力は9系統(Phono入力含む)。光デジタル×3、同軸デジタル×3も搭載。映像入力はHDMI×8、コンポジット×5、コンポーネント×3。ヘッドフォン出力、サブウーファ出力×2も搭載。A3050は11.2chのプリアウト、A2050/1050は7.2chプリアウトも各1系統装備する。

 GUIも強化。文字フォントをHD対応のものに変更し、よりメニュー表示などが見やすくなっている。

 アプリ「AV CONTROLLER」も利用可能。シネマDSPの音場効果をピンチ&スワイプ操作で直感的にカスタマイズできる「DSP調整」や、操作感・視認性にこだわったというロータリー型音量調整、音楽ファイルへのアクセス改善、フラットデザインの採用などが特徴となる。

 AM/FMラジオも搭載。FMラジオは、補完放送にも対応する。消費電力はA3050/2050が490W(待機時最小0.1W)、A1050は400W(待機時最小0.1W)。外形寸法と重量は、A3050/2050が435×474×192mm(幅×奥行き×高さ)で、A3050が19.6kg、A2050が17kg。A1050は435×439×182mm(同)で14.9kg。

(山崎健太郎)