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日本で設立した新ブランド・SGENE、第1弾イヤフォン「Kaimei」。音質レビュー付き

オリジナルIEM「Kaimei」

伊藤屋国際は、ポータブルオーディオブランド・SGENE(シーン)を設立。第一弾製品として、オリジナルIEM「Kaimei」と、オリジナルケーブル「Ame」を7月9日に発売する。価格はオープンで、市場想定価格は、ダイナミック×1 + BA×2の3ドライバーハイブリッド構成のKaimeiが19,800円前後、ケーブルのAmeが8,800円前後。

「繊細なこだわりや大胆なアイデアを用いて独自の世界観を表現するブランド」として、2026年に日本で設立されたSGENE。「SG」は伊藤屋国際が展開するケーブルブランドSoundsGoodに由来する。

製品は高度な技術力を持つ工場で厳選した材料・部品をもとに製造され、サウンド面では「記憶や感情を呼び起こすような体験を目指している」という。

SGENEのイメージキャラクター、伊藤屋 霧(いとうや・きり)も誕生。ブランド/プロダクトの世界観を伝える存在として、時にはSGENE開発チームの想いに声を貸す存在として、製品パッケージのアートワークなどで活躍するという。

第一弾製品も、製品名である「晦冥」「雨」をコンセプトに、このキャラクターを起用したアートワークが水彩画で描かれ、パッケージに活用されている。

SGENEのイメージキャラクター伊藤屋 霧(いとうや きり)を起用した、アートワーク。上が「Kaimei」、下が「Ame」のもの。誕生日10月6日、身長155cm、体重49kg、血液型はO型。虹彩はアンバー、好きなことは昼寝

Kaimei

オリジナルIEM「Kaimei」

Kaimei(晦冥)は、月の無い夜、光明の途絶えた深い暗闇を意味する。SGENEが掲げるコンセプトにおいて、無の情景に等しい暗闇は「無地のキャンバス」として、ブランドの始まりを告げる製品に相応しいテーマとして選ばれた。

そのため、シェルは最低限の文字表記のみに留め、フェイスプレートにはカーボンファイバー素材を使用し、自然の中にある僅かな光の揺れを表現。極めて無に近い「情景の受け皿」としての引き算の機能美を体現したとする。

低域用に10mm径のPU + PEEKコンポジット振動板のダイナミック型ドライバー、中域にBA×1基、高域にBA×1基を搭載。理論的ターゲットカーブをベースにしながら、エンジニアが主観的リスニング評価と測定評価を繰り返すことで、ボーカルのディテール表現や聴き心地に優れた音色を実現。音楽や動画コンテンツを長時間楽しむのに最適なIEMに仕上がったという。

再生周波数帯域は20Hz~20kHz、感度は104dB/mW(@1kHz)、インピーダンスは7Ω(@1kHz)。

ケーブルは着脱可能で、2Pinを採用。8芯構造の銀メッキ単結晶銅ハイグレードケーブルが付属する。入力プラグはステレオミニ。シリコンイヤーピース(S/M/L)×1ペアや、セミハードケースが付属する。

シリコンイヤーピース(S/M/L)×1ペアや、セミハードケースが付属

オリジナルケーブル「Ame」

オリジナルケーブル「Ame」

ブランド初のオリジナルケーブル「Ame(雨)」は、ビル群の狭間、雑踏に降る雨のムードを演出。

単結晶銅と銀メッキ銅銀合金を組み合わせた4芯ハイブリッド構造を採用。緻密な編み込みと柔らかな被膜を採用したことで、高音質と取り回しの良さを両立したとする。

音質は「肌で感じる湿度を含んだ空気、ペトリコールの香りを思わせる少し暗くスモーキーなサウンドを実現。青とも黒とも異なる、混色による独特な“都会に降る雨”をイメージした色に仕上げた」という。

一般的に銅製ケーブルは、OFCなどの高純度銅を用いても、短い距離の間に数多くの結晶粒界(金属などの多結晶体において原子が規則正しく並ぶ領域同士が接する面)が存在するため、電気信号がこの結晶粒界を通過すると、信号のロスがわずかな抵抗や歪みという形で現れるという。

単結晶銅(OCC)は1つの結晶が数百メートルという長さで続くため、1本のケーブル内に結晶粒界が現れることは極めて稀となる。そのため、信号ロスの極小化と信号の位相ズレ・歪みがないクリアな伝送が可能という。

Ameでは、その単結晶銅に電気伝導率が高く高域特性に優れた銀を含む銀メッキ銅銀合金を組み合わせることで、高域の明瞭度や煌めき感といった独自のテイストを追及した。

ケーブル長は約1.2m、入力プラグは4.4mm 5極バランス。イヤフォン側は2PinとMMCXコネクタのバリエーションを展開する。

音を聴いてみる

Kaimeiを、1週間ほど使ってみた。結論から先に言うと、ブランド第1弾かつ、実売約19,800円という価格が信じられないほど、完成度が高く、コストパフォーマンスに優れたイヤフォンだ。

音のバランスは、ほぼニュートラル。低域はタイトで、無駄に膨らませず、アコースティックベースの音を細かく描写する解像感を備える。低い音の沈み込みも深く、しっかりとした低音が、音楽全体を下支えしている。

こうした低域に負けず、高域もクリアで解像度が高い。全体としてカッチリとしたサウンドで、音色はわずかにクール系。聴いていると確かに、夜の街が思い浮かんでくる。

特筆すべきは、クールでシャープなサウンドでありながら、1つ1つの音が広がっていく響きや、その余韻といった部分もしっかり描いてくれる事。例えば、「グレゴリー・ポーター/ホエン・ラブ・ワズ・キング」を聴くと、ベースの深さ、声の表情といった細かな情報が直接的に、しっかり描写される一方で、ゆったりとした声の響きが広がっていく様子も味わえる。

直接的な音は鋭く、響いていく音は柔らかく、異なる質感の音の描きわけがしっかりできているので、テクノなどの打ち込み系のソリッドな曲から、ジャズやクラシックなどのアコースティックな曲まで、柔軟に対応できる。通常は両立がなかなか難しい要素を、高い次元でパランスさせている。

サウンドの方向性としては、情報量の多さや空間表現の上手さを求める人にマッチするイヤフォンと思われ、ややマニア向けな印象。低音の派手さや、パワフルさを求める人にはマッチしないだろう。そういった意味では、第一弾にして、かなり成熟した、大人な印象のイヤフォンだ。

前述のような特徴があるため、付属のステレオミニケーブルでも魅力は楽しめるが、予算が許せばオリジナルケーブル・Ameと組み合わせ、バランスケーブルで聴くと、立体感や、音像のシャープさにさらに磨きがかかり、Kaimeiの実力をより発揮できる。イヤフォンとバランスケーブルを購入しても、3万円ほどで収まるのはコストパフォーマンスが高い。

また、音を聴きながら、パッケージにも使われて伊藤屋霧のイラストを見ると、「なるほど確かに」と、サウンドの印象を見事にとらえていると感じる。SGENEの今後の製品と共に、キャラクターの展開にも注目していきたい。