アイ・オー、AVC/15倍の長時間録画に対応したPC用チューナ
-ハードウェアトランスコーダ搭載。Wチューナなど2製品
アイ・オー・データは、ハードウェアトランスコード対応の3波デジタル放送対応テレビチューナカード2モデルを6月中旬に発売する。価格は、Wチューナ搭載の「GV-MVP/XSW」が22,050円、シングルチューナの「GV-MVP/XS」が16,485円。
地上/BS/110度CSデジタル放送対応のチューナカード。接続はPCI Express x1で、対応OSはWindows XP/Vista/7。Windows 7は64bit版もサポート。特徴は、MPEG-4 AVC/H.264形式での長時間録画に対応し、フルHDで最長15倍(BSデジタル換算)の録画モードを採用したこと。BShiの1時間番組を録画した場合、従来はファイルサイズが約10.5GBだったが、15倍モードでは約720MBに抑えられるという。
両機種の違いは、チューナの数がGV-MVP/XSWがダブル、GV-MVP/XSがシングルとなっているほか、GV-MVP/XSはアンテナ端子が1系統で、BS/CSアンテナへの給電が行なえない。そのほか、B-CASカードスロットの位置も異なる。
ダブルチューナ搭載のGV-MVP/XSW。内部でB-CASカードを装着する | シングルチューナのGV-MVP/XS | GV-MVP/XSは、装着するとB-CASカードがブラケット部からはみ出す |
録画モードの選択画面 |
Wチューナモデルは、DRモード(MPEG-2 TS)やAVCでの2番組同時録画にも対応する。また、GV-MVP/XSWやGV-MVP/XSのDRモードで録画した後に、AVC形式にトランスコードすることも可能。さらに、複数枚のカードの同時利用も可能で、最大8チューナに対応。従来モデルのGV-MVP/VS・VZなどとの併用も可能となっている。ただし、AVCトランスコード非対応モデルで録画した番組はトランスコードできない。
録画モードは、MPEG-2 TS録画の「DR」や、フルHD(最大)のMPEG-4 AVC/H.264で記録するHR2~15、720×480ドット/AVC記録のSR4~24のほか、720×480ドットのMPEG-2 TSで記録することによりPCの負荷を抑える「Netbook SDモード」としてXP/SP/LPを加えた計15モードから選べる。なお、AVCRECには非対応で、DVD書き出し時はSD画質となる。
なお、一度DRモードで録画した番組をAVC形式に変換することは可能だが、AVC録画した番組は変換できない。各モードの解像度やビットレートなどは下表の通り。
録画モード | フォーマット | 解像度 | ビットレート | 備考 |
DR | MPEG-2 TS | 1,920×1,080 1,440×1,080 1,280×720 720×480 (放送解像度に依存) | 24Mbps(BSデジタル) 14Mbps(地上デジタル) | 放送画質 |
HR2 | MPEG-4 AVC/H.264 | 12Mbps | フルHD 2倍録画 | |
HR3 | 8Mbps | フルHD 3倍録画 | ||
HR5 | 4.8Mbps | フルHD 5倍録画 | ||
HR7 | 3.4Mbps | フルHD 7倍録画 | ||
HR10 | 2.4Mbps | フルHD 10倍録画 | ||
HR12 | 2Mbps | フルHD 12倍録画 | ||
HR15 | 1.6Mbps | フルHD 15倍録画 | ||
SR4 | 720×480 | 6Mbps | SD 4倍録画 | |
SR8 | 3Mbps | SD 8倍録画 | ||
SR16 | 1.5Mbps | SD 16倍録画 | ||
SR24 | 1Mbps | SD 24倍録画 | ||
XP | MPEG-2 TS | 9.8Mbps | 高画質 | |
SP | 5.2Mbps | 標準 | ||
LP | 2.8Mbps | 長時間 |
トランスコーダ部 |
トランスコーダは、富士通セミコンダクタの「MB86H58」を搭載。人間の視覚特性や映像の内容に最適化したVBR記録が行なえるという「新VBRアルゴリズム」を搭載するほか、ブロックノイズフィルタやエッジ補正フィルタにより、長時間録画時でも高画質化を図っている。
視聴/録画ソフトは「mAgicTV Digital」を使用。EPGや字幕放送、データ放送、双方向放送に対応する。なお、録画時に番組情報/データ放送/字幕を省くことでファイルサイズを抑える「Netbookモード」も引き続き利用可能で、前述の「Netbook SDモード」と併用することにより、さらにデータ量を削減できる。
録画番組の編集機能では、チャプタを打つことで再生時にCMなどを飛ばすことは可能だが、従来バージョンで対応していた、BD/DVD書き出し時に不要 部分を削って出力する機能は搭載されていない。同社は8月に行なうアップデートで、BD/DVD書き出し時の編集に対応予定としている。
また、録画した番組を、同日に発表した録画用LAN HDD「RECBOX」や、既存のLAN HDD「LAN DISK AVシリーズ」などにダビング/ムーブ可能。さらに、デジオンのDTCP-IP対応プレーヤーソフト「DiXiM Digital TV plus」をインストールしたパソコンを利用して、LAN経由で再生することもできる。ネットワークメディアプレーヤー「AVeL LinkPlayer」などへの配信も可能。
Netbook SDモードとNetbookモードの設定画面 | Netbook SDモードで録画中のCPU負荷表示 | 録画番組の右クリックメニューで「編集してダビング」の項目も用意されていたが、実際に使えるのは8月予定のアップデート後となる |
(2010年 6月 2日)
[AV Watch編集部 中林暁]