NHK、小型化したスーパーハイビジョンプロジェクタ

-実用化に向け小型化。新画素ずらし方式を採用


新開発の小型SHVプロジェクタ

 NHKは、解像度7,680×4,320ドットの次世代テレビ放送サービス「スーハイビジョン(SHV)」の実用化に向け、小型のSHVプロジェクタをJVC・ケンウッド・ホールディングスや、NHKエンジニアリングサービスと共同で開発した。

 SHV用プロジェクタのは2方式あり、これまでのNHK技研公開などでも展示されていた。1つは4Kデジタルシネマ用の800万画素の表示素子を用いて、SHVの3,300万画素相当の解像度を得る「デュアルグリーン方式」、もう一つは3,300万画素素子をRGBの3枚使った方式。前者は安価に実現できるが、プロジェクタ2台で構成するため装置が大型化してしまう。一方、後者は素子製造が困難で低コスト化が難しいという課題がある。

 今回のプロジェクタは、800万画素の素子をR、G、Bで各1枚採用。すでに発売されている4Kプロジェクタに新開発のe-Shiftデバイスを用いることで、R、G、Bのすべてにおいて画素ずらしを行ない、SHVをフル解像度画質相当で実現。これにより、低コストでコンパクトなSHVプロジェクタを実現できたという。輝度は3,000ルーメンで、コントラストは1万:1、光源ランプは330W×2、消費電力は1,100W。

 具体的には画像シフト切り替え電気信号により、e-Shiftデバイスの屈折率を変化。光源からの光が、屈折率の変化で進む道が変わることで、1画素が斜めにシフト。屈折率を断続的に切り替えてひとつ光原で2つの画素を表示し、縦横解像度が実質2倍になるという。

 今回制作したプロジェクタは、外形寸法が660×783×342mm(幅×奥行き×高さ)、重量50.5kgと、従来のデュアルグリーン方式プロジェクタ(750×950×370mm/92kg×2台)や、3,300万画素表示素子を用いた試作機(1,080×1,250×456mm/168kg)より大幅に小型/軽量化できたという。

 NHKでは、2020年のSHV試験放送の実現に向け、より実用的なSHV機器の研究開発を進めていくとしている。

e-Shiftデバイスe-Shift方法による画素ずらし

(2011年 1月 13日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]