【CEATEC 2011】ソニー、4Kプロジェクタを投写デモ

-Sony TabletがDTCP対応予定。HMDやVitaも人気


大勢の人で賑わう、ソニーブースのヘッドマウントディスプレイ(HMD)「HMZ-T1」、3DのフルHD動画撮影も可能なデジタル双眼鏡「DEV-3」体験コーナー

 映像、情報、通信の総合展示会「CEATEC JAPAN 2011」が4日、幕張メッセで開幕した。期間は10月8日まで。4日は特別招待日で、一般公開日は10月5日~8日。最終日となる土曜日の8日は入場無料の公開日となる。5~7日の入場料は一般1,000円/学生500円だが、事前登録を行なうことで入場無料となる。

 ここでは、ソニーブースをレポートする。




■家庭用初の4Kプロジェクタを体験

 開幕前日に日本発表されたのが、家庭用初となる4K SXRDプロジェクタ「VPL-VW1000ES」(12月下旬発売/168万円)。ブースでは製品の展示だけでなく、投写デモも行なわれており、デジタルカメラで撮影した4Kの静止画や、4Kのデジタルシネマをソースとした投写を実施。さらに、フルHDのBDビデオ映像を入力し、プロジェクタ側でアップコンバートした4K映像も体験できる。

 いずれの映像も4Kならではの、細かなディテールまで確認できる精細さと、「アドバンスドアイリス3」による高コントラストな表示が印象に残る展示だが、特に静止画の隅に入ったαマーク(デジタルカメラのαシリーズで撮影された素材であるため)や、映画の字幕の文字のエッジの滑らかさや、洋服の黒い部分の階調表現力などが注目ポイントだ。

家庭用初となる4K SXRDプロジェクタ「VPL-VW1000ES」「VPL-VW1000ES」の投写デモブース

 4Kディスプレイデバイスとしては世界最小の0.74型4K SXRDパネルを搭載した事で、業務用4Kプロジェクタよりも大幅な小型化を実現。フルHDなどの入力ソースは、新開発の「4K映像表示デバイス向けデータベース型超解像処理LSI」で4Kにアップコンバートする。LSIの特徴はデータベース型超解像技術のパターン分類を、学習型へ進化させた事。

 なお、HDMIの入力は2系統備えており、どちらもHDMI 1.4に準拠。同規格では4K(4,096×2,160ドット)の30p映像までが伝送できるが、「VPL-VW1000ES」は4,096×2,160ドット/24pの入力までサポートしている。東芝のREGZA「55X3」では4K/60pを入力するためにHDMIを4本使用するが、プロジェクタの場合はソースが24pの映画が多いため、このような仕様になっているという。

 しかしながら、HDMIで4K/24pが出力可能な機器はほとんど存在しない。そこでソニーでは、PlayStation 3用として、デジタルカメラで撮影した4K解像度の静止画を、そのままのネイティブ解像度で「VPL-VW1000ES」にHDMI出力するアプリを開発中。2012年初頭に提供するとしている。



■Sony TabletがDTCP-IP対応予定

 Sシリーズの発売が発売が開始された「Sony Tablet」も多数用意。9.4型ディスプレイ採用のSシリーズと、5.5型ディスプレイを2基搭載した折りたたみ型のPシリーズを、どちらも実際に触れて操作する事ができる。また、独自の「サクサク・エクスペリエンス」や、DLNA機器にタブレットからコンテンツを“Throw”する機能などもアピールされている。

9.4型ディスプレイ採用のSシリーズ5.5型ディスプレイを2基搭載した折りたたみ型のPシリーズ

 さらに、今後の展開についての参考展示も用意。Sony Tabletには、DLNAで共有されたコンテンツを視聴するためのアプリ「DLNA」が既にプリインストールされているが、将来的にこのアプリと、タブレットのファームウェアをアップデートし、DTCP-IPに対応予定だという。

 これにより、DLNAサーバー機能を備えた同社BDレコーダから、録画番組の無線LAN転送が可能になり、タブレットで視聴できるようになる。さらに、レコーダで受信した番組をリアルタイムにタブレットへ配信する機能にも対応予定。タブレット側からチャンネルを切り替える事もできるという。

 配信時には、レコーダ側でトランスコードしてから配信しており、デモ機ではVGA解像度での配信だが、「720pまではいけるようにしたい」という。配信レートは1Mbps、1.5Mbps、2Mbpsなどを想定しているが、確定はしていない。

 アップデートの時期は未定だが、「来年頃を考えている」とのこと。また、録画番組を端末にダビングしての「持ち出し」機能については「検討している段階」だという。

若干のタイムラグはあるが、レコーダで受信した映像が、9.4型ディスプレイのSシリーズで動作しているDLNAアプリから、レコーダのチャンネル選択をしているところ。選択したチャンネルがリアルタイム転送される下段にあるBDレコーダとタブレットがDTCPで連携していた


■HMDや3D双眼鏡、Vitaも人気

 多くの人が列を作っていたのは、有機ELパネルを使ったヘッドマウントディスプレイ(HMD)の「HMZ-T1」や、3DのフルHD動画撮影も可能なデジタル双眼鏡「DEV-3」、そして、新ポータブルゲーム機のPlayStation Vitaのコーナー。

 デジタル双眼鏡の「DEV-3」は、0.8倍~10倍(2D表示時)のズームが可能な双眼鏡で、見ている対象物をフルHD動画として撮影できることが特徴。2基のCMOSセンサーを備え、3D動画撮影も可能。バードウォッチングやアウトドアなどに加え、スポーツ、競馬観戦などの利用シーンも想定されている。動画記録は1,920×1,080ドットのAVCHD Ver.2.0に対応し、3D(60i)または2D(60p/60i)で記録可能。

デジタル双眼鏡の「DEV-3」ヘッドマウントディスプレイの「HMZ-T1」

 ブースではほかにも、OSにAndroid 2.3を搭載したウォークマンの「NW-Z1000」シリーズや、レコーダとPlayStation 3用地デジチューナ「torne」の連携機能「レコ×トルネ」の紹介などが行なわれている。

OSにAndroid 2.3を搭載したウォークマンの「NW-Z1000」シリーズPlayStation VitaPS3用の24型/4倍速、3D対応液晶ディスプレイ「CECH-ZED1J」

(2011年 10月 4日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]