パイオニア、AirPlay/DLNA対応の低価格AVアンプ2種

-5.1chでも仮想11.2ch再生。低域遅れも自動補正


7.2chアンプの「VSA-922」

 パイオニアは、AVアンプのエントリーモデルとして、価格を抑えながらも24bit/192kHzのハイレゾリューション音源や、ネットワークプレーヤー機能に対応した2機種を5月下旬に発売する。価格は7.2chアンプの「VSA-922」が84,000円、5.1chの「VSA-822」が56,000円。

 エントリーながら、どちらもAirPlayに対応し、ネットワークプレーヤー機能も搭載しているのが特徴。USB端子も備え、iPod/iPad/iPhoneとDockケーブルで接続し、デジタル再生する事もできる。

 AirPlayに対応することで、PCのiTunesライブラリや、iPhone/iPod touch/iPad内の楽曲をワイヤレスで再生する事が可能。オプションのBluetoothアダプタ「AS-BT200」(オープン/実売9,800円前後)を使い、Bluetooth経由での楽曲再生にも対応できる。Bluetooth用には、iPod touch/iPhone/iPad向けに、音楽コミュニケーションを実現するというアプリ「Air Jam」も無償で提供する。なお、Android版もGoogle Play(旧Androidマーケット)から無償ダウンロード可能。

5.1chの「VSA-822」7.2chアンプの「VSA-922」5.1chの「VSA-822」

 ネットワークプレーヤー機能はDLNA 1.5に準拠。PCやネットワークHDDから音楽再生が可能。対応フォーマットはMP3/WAV/FLAC/AAC/WMAで、24bit/192kHzのFLAC/WAVにも対応。インターネットラジオの「vTuner」にも対応する。Ethernet端子を備えるほか、オプションの無線LANコンバーター「AS-WL300」(オープン/実売10,800円前後)も用意する。

 前面のUSB端子にiPod/iPhone/iPadを接続し、デジタル再生も可能。iPhone内の楽曲をAVアンプのDACやアンプを使い、高音質に再生できる。iPadの充電もUSB経由で可能。また、USBメモリなどに保存したFLAC/WAVの24bit/192kHzファイルの再生も可能。

内部上から見たところ

 iPhone/iPad/iPod touchのアプリから、AVアンプの制御をする機能も引き続き用意。VSA-922では、アプリが新しく「iControlAV 2012」になる。Android版もGoogle Playから無償ダウンロード可能。イコライザのカーブを指で直接描けるなど、直感的な操作を導入してきたアプリだが、新アプリでは「Sound Explorer」という機能を新たに搭載。

 これは、AVアンプの様々な設定を行なうメニューだが、機能のアイコンが上から落ちてきて、iPadの画面に“積もる”ような動きをする。iPadを傾けると、アイコンもその向きに寄る。

「iControlAV 2012」新機能「Sound Explorer」。iPadを動かすと、丸い機能アイコンがそれに合わせて動く

 操作したいアイコンにタッチすると、それ以外のアイコンが避けるように広がり、アイコンに指を触れたまま、ダイヤルを回すように動かすと、その機能のON/OFFや段階操作をする事ができる。なお、アイコンを綺麗に整列させたり、アイコンではなく、リストで機能を表示するモードも用意している。

操作したい機能をタッチすると周囲のアイコンが避け、ダイヤルのように回すと、その機能が操作できる
アイコンを綺麗に整列させる事も可能機能のリスト表示にも対応している

 なお「VSA-822」もアプリからの操作に対応しているが、音量調整や電源ON/OFF、入力切替、音場機能のON/OFFなど、基本的な機能に絞ったアプリ「Control App」のみ対応となる。こちらもAndroidとiOS版の両方を用意。どちらも無償でダウンロードできる。



■アンプとしての機能

 「VSA-922」では新たに、「オートフェイズコントロールプラス」を搭載。BDなど、コンテンツに収録されている低域効果音(LFE)のズレをAVアンプ側で補正する事で、キレのある低域や、クリアな中高域を実現する機能。従来はユーザーが音を聴きながら設定するものだったが、「オートフェイズコントロールプラス」では、AVアンプがリアリタイムにソース内の遅延を判別し、補正してくれるようになった。

 これにより、ソースを変更しても再調整せずに利用できるようになり、細かな設定が難しいという人でも利用できるようになった。音楽のライブBDなどで効果的な機能だが、製作時に低域を後付けしている事で、LFEとメインの低音に相関が無いケース(映画に多い)では、あえてこの機能を働かせないという。

 また、遅延だけでなく、LFEの極性が、メインチャンネルに対して反転しているケースにも対応でき、その場合はLFEの極性反転補正をして再生してくれる。

 なお、「VSA-822」は、手動で設定する「フェイズコントロール」となる。また、「VSA-922」も手動設定は引き続き可能。

 バーチャルスピーカー機能も強化。同社AVアンプでは、2009年モデルでサラウンドバックをバーチャル化、2010年はフロントハイトスピーカーをバーチャル化しているが、「VSA-922」ではフロントワイドスピーカーもバーチャル化して再生できるようになった。

 従来のバーチャルハイト、バーチャルサラウンドバックと組み合わせ、同時に利用できるため、例えば「VSA-922」に5.2chスピーカーを接続した状態で、仮想的に、最大11.2chの再生ができる。

背面。左から「VSA-922」、「VSA-822」

 「VSA-922」には他にも、対応するBDプレーヤーなどと接続した場合に使用できる、ジッタ低減技術PQLSに対応。音楽CD、DVD/BDのマルチチャンネル音声をビットストリーム出力した場合のジッタも低減する「PQLS ビットストリーム」機能となっている。

 MP3などの圧縮音楽や、デジタル放送、ネットラジオなど、圧縮された音楽データに対し、最適な音質補正をかけて再生する「オートサウンドレトリバー」も備えている。マルチチャンネル音声にも適用可能。映像面では、プラズマテレビや液晶テレビ、プロジェクタなど、機器に合わせた画質をプリセットした「アドバンスド ビデオアジャスト」を用意。

 自動音場補正機能は、付属のマイクを使って計測する「Advanced MCACC」を採用。測定された視聴距離のデータは、前述の「アドバンスド ビデオアジャスト」でも活用され、距離に合わせた映像に微調整される。

 他にも、ビデオコンバータ機能、I/P変換機能、ビデオスケーラー、画質調整機能も「VSA-922」のみ搭載。

 「VSA-822」は、圧縮音楽の高音質再生機能として、2ch対応の「A.S.R(アドバンスド・サウンドレトリバー)」を搭載。自動音場補正機能はベーシックな「MCACC」となる。

 どちらのモデルもHDMI入力は6系統、出力は1系統装備。3D映像やARCにも対応する。主な仕様は下表の通り。

型番VSA-922VSA-822
価格84,000円56,000円
定格出力100W×7ch
(8Ω時)
95W×5ch
(8Ω時)
最大出力180W×7ch
(6Ω時)
160W×5ch
(6Ω時)
HDMI出力1系統
HDMI入力6系統
音声入力同軸デジタル×1
光デジタル×1
アナログ音声×4
同軸デジタル×1
光デジタル×1
アナログ音声×3
映像入力コンポーネント×1
コンポジット×3
コンポジット×2
音声出力サブウーファ×2サラウンドバック×1
フロントハイト×1
サブウーファ×1
映像出力コンポジット×1
消費電力
(待機時消費電力
 HDMIコントロールOFF時)
550W
(0.2W)
450W
(0.4W)
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
435×362.5×168mm435×342.5×168mm
重量9.8kg8.9kg

(2012年 4月 26日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]