「HI-END SHOW」開幕。ゼンハイザー新ヘッドフォン他

PC用DSD再生機やスタックスの携帯イヤースピーカー


東京・有楽町の東京交通会館

オーディオメーカーと輸入商社などが参加する展示・試聴イベント、秋の「HI-END SHOW TOKYO 2012」が5日、東京・有楽町の東京交通会館で開幕した。期間は10月5日~7日までの3日間。入場は無料。

 交通会館12階のダイヤモンドホールに各社が試聴コーナーを設けており、各社ローテーションで再生デモを行なうのが特徴。

 各社の参考出品や新製品を中心にレポートする。




■ゼンハイザー

「HD 25 Amperior」のシルバー(右)を参考展示

 ゼンハイザーブースでは、定番ヘッドフォン「HD 25」の派生モデルとして「HD 25 Amperior」のシルバーを参考展示。アップルストアでは既に取り扱われているが、シルバーモデルが今後、一般販売店でも購入できるようになるという。価格は29,800円。ダイナミック型のヘッドフォンで、片耳モニタリングが可能な回転機構を装備。

 ハウジングはアルミ削り出しで、ポータブルプレーヤーとの連携を意識した音質になっているという。ケーブルは通常のものと、iPhoneなどを操作できるマイク付きリモコンを備えたものを同梱。延長ケーブルとして付け替えられる。

 また、イヤーパッドも通常のものとは異なり、HD700など、高級ヘッドフォンのイヤーパッドに似た、キメの細かな素材が使われている。


ハウジングはアルミ削り出しマイクリモコン付きの延長ケーブルを同梱
イヤーパッドの素材が、通常のHD 25(右)と異なる


■フルテック

 フルテックは、「ADL(ALPHA DESIGN LABS)」ブランドの新製品として、Shureのイヤフォン、SEシリーズ向けのMMCX端子を備えた交換ケーブルを参考展示。「iHP-35M」という製品で、1.3mで9,975円、3mは12,474円で受注生産。11月上旬の発売を予定している。

 メイン導体はα-OCC素材に銀コーティングを施した線材で、コネクタは非磁性特殊合金。非磁性ロジウムメッキを施している。

Shure SEシリーズ向けのリケーブル「iHP-35M」

 他にも、AKGのヘッドフォンなどに対応するミニXLR-F端子を備えた「iHP-35X」(1.3m:7,980円/3m:10,836円)や、両端ステレオミニの「iHP-35」(1.3m:7,980円/3m:10,836円)も用意。11月下旬に向けて開発しているという、ウォークマンのWM-PORT用のケーブル「MP-S」(22ピン→ステレオミニ)、「MP-A」(22ピン→USB-A)も参考展示している。

両端ステレオミニのタイプや、AKGのヘッドフォン向けもウォークマンのWM-PORT用ケーブルも開発されている


■スタックス

 ヘッドフォン祭など、イベント毎に試作機を展示し、完成度を向上させてきた、ポータブルのイヤースピーカーシステム「SRS-002」を参考展示。11月初旬の発売が予定されており、価格は47,250円の予定。

 エレクトロスタティック型のカナル型イヤースピーカーで、ドライバーユニットの「SRM-002」とイヤースピーカー「SR-002」がセットになったシステム。ドライバーユニットが電池駆動できるのが特徴で、屋外でもスタックスならではの繊細なサウンドが楽しめるとしている。アルカリ電池使用で、エコモードの場合5時間以上、ノーマルモードで4時間以上の動作が可能。

ポータブルのイヤースピーカーシステム「SRS-002」

 イヤースピーカー用に、形状の異なる3種類のイヤーピースを同梱。装着感を高められるほか、安定した装着ができるように、専用のヘッドバンド「オーバーヘッドアーク」も同梱している。

 また、ドライバーユニットを据え置き型の「SRM-252S」にしたセット「SRS-005SMK2」も11月初旬に発売予定。価格は52,500円。イヤースピーカー部分は、「SR-002」と同等だが、プラグが5ピンPROバイアス用になった「SR-003MK2」で、26,250円で単品販売もされる。



■愛和

 同社のオーディオ製品ブランド・Love Harmonyの新製品として開発が進められているのが、DSDファイル再生用のUSB接続型アダプタ「AX-U1P」だ。発売時期や価格は未定。同社の1bit DAC「AX-D1」(69,800円)と組み合わせる製品で、合計の価格が20万円台になるイメージだという。

 使い方は、PCに専用ドライバをインストールし、「AX-U1P」をUSBで接続。foobar2000+ASIOをプレーヤーとして使い、PCからAX-U1Pへ、DSDデータをアシンクロナス伝送する。。AX-U1Pと、1bit DACの「AX-D1」は、AX-D1付属のケーブル(HDMI)で直結。AX-U1Pの内蔵クロックを使い、「AX-D1」へ、ジッタを抑えながらDSDデータを伝送。高音質に再生できるという。

 対応OSはWindows XP/7(32bit/64bit)。Macには非対応。DSDファイルは、DSFとDSDIFFに対応する。

 愛和のコーナーでは、消磁器の新製品「AX-W3 MKIII」(57,500円)も展示。システムの中のRCA端子に「AX-W3 MKIII」を接続し、使用機器に合わせたモードを選び、スイッチをONにすると様々なオーディオ機器を消磁できるというもので、ヘッドフォンやスピーカーのエージングにも使えるという。

上がDSDファイル再生用のUSB接続型アダプタ「AX-U1P」、下が1bit DAC「AX-D1」消磁器「AX-W3 MKIII」


■トライオード

 トライオードのブースでは、天面にiPod用Dock(30ピン)を備えた、小型のオーディオ「TRIDECK」を参考展示している。真空管を採用したDockスピーカーで、フロントパネルの窓から真空管が見えるのがポイント。左右にスピーカーも内蔵している。

 レトロなスタイルの製品だが、Bluetoothレシーバも内蔵。セレクタでBluetoothマークを選べば、対応のスマートフォンなどから送信した音をワイヤレスで受信できる。発売日や価格は未定。

小型のオーディオ「TRIDECK」

 女性限定というユニークなモデルとして近日登場予定なのが、プリメインの「Ruby」(63,000円)。6BQ5を使ったプリメインで、ヘッドフォン出力も備えている。

 ほかにも、新製品のUSB DAC内蔵CDプレーヤー「TRV-CD5SE」(157,500円)や、TRX-1+TRV-4SE Limitedの贅沢な構成となるプリメイン「TRX-2」のプロトタイプ、300Bパラシングルのモノラルパワーアンプ「TRX-P3M」(168,000円)などの試作機を参考展示している。

女性限定プリメイン「Ruby」「TRX-2」のプロトタイプ300Bパラシングルのモノラルパワーアンプ「TRX-P3M」
845シングルプリメインアンプ「TRV-P845SE」トライオード初の300Bシングルパワーアンプ「TRX-M300」


■その他

中央にあるのが小型・薄型の1bitパワーアンプ「X-PW1」

 Nmodeのブースでは、1bitアンプの新モデルとして、小型・薄型のパワーアンプ「X-PW1」を参考展示している。11月下旬の発売を予定しており、価格は未定だが、9万円を切る予定。価格を抑えることで、幅広い層に1bitアンプを訴求させていきたいという。20W×2ch出力の予定で、40Wモノラル仕様にも対応予定。


ブックシェルフタイプの「Xeo 3」

 DYNAUDIO JAPANのブースでは、発売を控えているワイヤレススピーカー「Xeo」(シオ)シリーズを展示。詳細は既報の通りで、単体のトランスミッタと、受信機を内蔵したスピーカーのセットで、1つのソースを柔軟なスタイルでワイヤレススピーカー再生できるのが特徴。

 初披露の製品はATOLLのセパレートアンプ400シリーズ。プリアンプ「PR400」とパワーアンプ「AM400」の組み合わせで、価格は各493,500円。2×170VA、コンデンサ総容量8,500μFの電源部を持つプリと、モノブロックとしても使え、1chあたり8個のMOS-FETを使用するパワーアンプで、高い駆動力を持つという。


ATOLLのセパレートアンプ400シリーズプリアンプ「PR400」パワーアンプ「AM400」
同じくATOLLの新製品であるCDプレーヤー「CD200se2」(写真左/241,500円)、「CD100se2」(写真右168,000円)も展示。USB DAC機能も備えている
SPECのブースでは、ステレオプリメインアンプ「RSA-V1」のバージョンアップモデルとして8月から発売している「RSA-V1 DT」(504,000円)を展示。パワーアンプ部に精度の高いPWM(パルス幅変調)スイッチングのパワーMOS FETを採用しているほか、電源部に特殊な制振対策を施しているさらに、9月から発売している新ブランド「SPEC+」のアナログレコードプレーヤー「AP-50」と「AP-30」も展示電源部を別体としたSACDプレーヤーの試作機も参考展示しているが、前回のイベントで展示したものと同じで、製品化はまだ未定だという
完実電気のブースでは、PS AUDIOのPerfectWaveシリーズ電源ユニットの新製品「Power Plant3」を参考展示。海外では2,500ドルで発売されている、下位モデルに位置付けられており、上位モデルが採用しているカラーディスプレイや一部機能を省き、低価格化している。11月頃の発売予定「Dectet」は電源タップの新モデル。内部にノイズフィルタを多数配置。コンセントがグループ分けされており、PCとオーディオでグループを分け、ノイズの混入などを防ぐ事ができる。海外では500ドル程度で、日本でも購入しやすい価格になる予定だが、発売日や価格は未定
MONITOR AUDIOのコーナーでは、デスクトップ向けスピーカー「airstream WS100」を展示。PCにUSBメモリ型の送信機を取り付け、スピーカーにワイヤレスで音声伝送できるのが特徴同じくMONITOR AUDIOのサラウンドスピーカー「MASS」。サテライトスピーカーのユニークな形状が特徴だナスペックのブースでは、Pro-Jectブランドのヘッドフォンが参考展示されていた
アファオメガのブースでは、Vienna Acousticsのスピーカー「BACH GRAND」(ペア262,500円)と「BEETHOVEN BABY GRAND」(ペア493,500円)がSYMPHONY EDITIONにブラッシュアップする事をアナウンス。どちらも若干高価になるという楽器のような独特のフォルムを持つ「MODEL-1208 OPTIMISTA」。CASセラミックアートスピーカーの製品で、筐体には陶磁器を使っている。曲線を多様した形状で定在波や共振を抑えているのが特徴。釉薬は4色から選べる
フォステクスの新スピーカーも展示されたblanco audioでは、球形スピーカーを参考展示ラトックブースの展示。ヘッドフォン祭では、DSD対応の新しいDAC搭載ヘッドフォンアンプも登場予定だという

(2012年 10月 5日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]