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弩級5ウェイ13ドライバースピーカー「Moya M1」初上陸。BAYZの360度スピーカーも

VIVID Audio「Moya M1」(ペア・7,590万円)

国内外のオーディオブランドが一堂に会する展示会「2024 東京インターナショナルオーディオショウ(TIAS)」が、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開幕した。会期は28日までで、時間は10時から19時(最終日は17時まで)。入場無料だが、事前に予約登録が必要。本稿では、ステラ、ゼファン、ティアック(エソテリック)、ヤマハミュージックジャパンなどのブースから注目製品をピックアップしてレポートする。

ステラ:4階 G409号室

ステラブースの注目製品は、国内初披露となるVIVID Audio(南アフリカ)のフラッグシップスピーカー「Moya M1」。価格はペアで7,590万円。

VIVID Audio「Moya M1」(ペア・7,590万円)

VIVID Audioのスピーカー設計者であるローレンス・ディッキー氏が50年間追求してきた理念“オリジナルの録音を可能な限りクリアで忠実に再現する、澄み切ったナチュラルなサウンド”を具現化したという、記念碑的モデル。MOYAは「空気」や「風」を意味するズールー語に由来。

1.67m高のキャビネットには、5ウェイ13ドライバーシステムを搭載。すべてのドライバーは既存ドライバーを元に開発しつつ、Moya M1向けに最適化した。

高域用ユニットは、26mm径の新開発Diamond-like Coated(DLC)ツイーター。自社で開発したパッシブハード配線フィルターを採用し、従来ではアクティブシステムでのみ可能とされていた滑らかさ、正確さ、位相の一致を可能にした。

中高域用は50mmのDLCドームユニットで、中域用は100mmのカーボンファイバーで強化したコーンユニットを採用。中低域用は175mmユニットで、2基搭載する。

低域用ドライバーは8基で、いずれも225mm。「力強さと精密さを兼ね備え、室内楽が奏でる繊細な音からロックコンサートレベルのサウンドまで、驚くべき精度と詳細さで楽しむことができる」という。

外形寸法は660×1,210×1,660mm(幅×奥行き×高さ)。組立時総重量は346kg。

WILSON AUDIO「The WATT Puppy」(ペア・902万円)

米国WILSON AUDIOからは、新スピーカー「The WATT Puppy」が展示されている。価格は902万円(ペア)。

同社を代表するスピーカー「WATT Puppy」を最新技術でリビルドしたモデル。オリジナルWATT Puppyをベースに、最新の技術と50年以上にわたって積み重ねた技術を駆使し、David Wilsonへの敬意を込めて開発したという。

上位Alexx V用に開発したCSCツイーターのほか、7インチのAlNiCoミッドレンジ、8インチのウーファー2発からなる3ウェイ4ドライバー。

外形寸法は30.5×47.5×105cm(幅×奥行き×高さ)。重量は72.5kg。

このほかにも、TechDASのターンテーブルやハイエンド真空管300Bを使ったTHRAX Audioパワーアンプ・プリアンプ、GOLDMUNDのアンプシステム、ギリシャYPSILONのアンプシステムなどが展示されていた。

独STROMTANKの新しいバッテリー駆動クリーン電源「S 4000 Pro MK-II」も初披露。バッテリー容量は2,700Wh。連続出力950VA、瞬間出力3,700VAを実現する

ゼファン:4階 G409号室

ゼファンブースの注目製品は、デンマークBAYZ Audioのスピーカー「Counterpoint 2.0」。価格は、マットブラックが1,980万円(ペア)、ピアノブラックが2,530万円(同)、カーボンが3,190万円(同)。

BAYZ Audio「Counterpoint 2.0」
筒状のBRSドライバーを2基のミッドウーファーで挟み込んでいる

“C”の文字のような、ユニークなデザインが特徴の360度無指向性スピーカー。コアになっているのが、特許取得の筒状のBRS(Bays Radial Speaker)ドライバー。軽量エジプトコーンで特別設計した2基のミッドウーファーで、直立したラジエターを上下から挟み込むことで全帯域完全無指向を実現しているという。

Counterpoint 2.0では、25cm径ダイナミックドライバーを搭載。最低域から2kHzまでカバーした後、6dB/octでBRSに引き継ぎ、50kHzまで完全にフラット再生する仕組みとのこと。

CH Precision「C10」(DAC部)

スイスCH Precisionからは、電源が別筐体の新DAコンバーター「C10」が披露された。価格は1,870万円。

ユニークなのは、同社が“扱いを最も得意”と謳うバーブラウン製DACチップ「PCM1704」を使用していること。既に生産終了しているチップではあるが、同社では同チップを大量にストックしており、それをC10では片チャンネル当たり8個、計16個ものPCM1704を使ってアナログ信号に変換するのだという。

写真一番上が、Wattson Audio「Madison LE STREAMER」。中段・下段はアナログ2chパワーアンプ「Madison LE AMPLIFIER」(151.8万円)

CH Precisionが傘下に収めたスイスWattson Audioからは、コンパクトサイズのストリーミングDAコンバーターが登場。ラインナップは「Madison STEREAMER」(85.8万円)、「Madison LE STREAMER」(121万円)、「Emerson DIGITAL」(42.9万円)、「Emerson ANALOG」(42.9万円)の全4種類。

Madison STEREAMER
Emerson DIGITAL
Emerson ANALOG

いずれも、独自開発のビットパーフェクトストリーミングエンジンを採用。さらに特許取得済みの「LEEDHロスレスボリュームコントロール」により、デジタル信号の振幅を劣化の影響や音色を変化させずに行なうことができるため、プリアンプを介すことなく、DAコンバーターをパワーアンプやアクティブスピーカーに直接接続することができるという。

ティアック(エソテリック):6階 G602号室

ティアック(エソテリック)ブースでは、5月に発表されたばかりの新SACDプレーヤー「K-01XD SE」「K-03XD SE」や、ネットワークDAC「N-01XD SE」、avantgardeのホーンスピーカー「DUO SD」などを組み合わせた試聴が楽しめる。

ESOTERIC「K-01XD SE」(231万円)

SACDプレーヤー「K-01XD SE」「K-03XD SE」は、既発モデル「K-01XD」「K-03XD」に新しいディスクリート・クロック技術とDACのアナログ部のアップグレードを加えたモデル。

K-01XD SEは、Grandioso K1X SEの流れを汲むターンテーブル・ブリッジ部の厚みが20mmの「ATLAS 01」VRDSメカニズムを搭載。Master Sound Discrete DACも「IDM-01」増幅素子とするなどプレミアムな部品を採用。また、左右のDACに専用の電源部を持たせた、合計4基の独立電源トランスを搭載している。

ESOTERIC「K-03XD SE」(159.5万円)

K-03XD SEは、ブリッジ厚18mmの「ATLAS 03」VRDSメカニズム、Master Sound Discrete DACを採用し、合計2基の独立電源トランスを搭載する。

SEモデルでは、Grandioso SEモデルで採用された「Master Sound Discrete Clock」を新たに搭載。DACのアナログ回路をブラッシュアップすることで、「更に進化した臨場感、ダイナミクス、音楽性に溢れた音色のテクスチャーをお楽しみいただける」という。

フォノアンプ「Grandioso E1」

会場の後方では、未発表のフォノアンプ「Grandioso E1」を参考出品している。

アナログ基板部分とコントロール・電源部をセパレートした2筐体構成で、入力端子から、MCヘッドアンプ、RIAAアンプ、最終出力段のバッファーアンプに至るまでの全段をフルバランス構成で設計。独自の電流伝送強化型出力バッファー回路と電流伝送「ES-LINK Analog」を実現。さらに光カートリッジの入力にも対応している。

発売は秋頃の予定しており、価格は400万円程度になる見込みだという。

タンノイの新スピーカー「Autograph 12」も参考出品されている

ヤマハミュージックジャパン:6階 G605号室

ヤマハブースの注目製品は、今年2月から発売開始している新ブックシェルフ「NS-800A」「NS-600A」。価格は800Aが27.5万円(1台)、600Aが19.8万円(同)。

YAMAHA「NS-600A」

どちらも、フロア型「NS-2000A」に使われたユニットや技術を多く取り入れた2ウェイリアバスレフのブックシェルフスピーカー。ツイーターとウーファーのどちらにも、ハーモニアスダイアフラムを採用。また内部ネットワークには、独ムンドフル製のコンデンサーであるMCap SUPREME Classicなど、業務用音響機器でも実績のある専用パーツを投入している。

カットモデル
内部パーツ

会場の後方には、ヤマハのオーディオ史70年の中からピックアップした名機を展示。ヤマハHi-Fiオーディオの礎となったレコードプレーヤー「A-I型」(1954)、エレクトーン用の巨大平面ユニットを搭載したスピーカー「NS-20」(1967)、高剛性・無共振の“GT思想”をCD再生に転用したプレーヤー「GT-CD1」(1991)などの実機を見ることができる。

レコードプレーヤー「A-I型」
プリメインアンプ「CA-1000III」
プレーヤー「GT-CD1」
スピーカー「NS-20」
LINNの50周年限定プレーヤー「LINN SONDEK LP12-50」(990万円)
フューレンコーディネートが取り扱う、スイスPIEGAの新フラッグシップスピーカー「Master Line Source 2 Gen2」(ペア1,760万円)
同軸リボンを4本使ったシンメトリカルラインソースシステム
背面には音響レンズを搭載
今井商事が取り扱うデンマークスピーカーJERN「514EH」(ペア135万円・税別)
アイレックスが取り扱うSynergistic Researchのルームチューニングデバイス「Vibration SX」(86.9万円)
太陽インターナショナルが取り扱うAVALONスピーカー「Precision Monitor 4」(ペア11,352,000円)と、NAGRAのアンプ「HD AMP」(ペア15,246,000円)