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1億円超ソナス・ファベール「Suprema」降臨。約85万円のブックシェルフ「Concertino G4」も
2024年7月26日 17:12
7月26日、東京国際フォーラムで41回目の「2024東京インターナショナルオーディオショウ」が開幕した。会期は28日までで時間は10時~19時(最終日は17時終了)。入場無料で事前予約制となっているが、当日の入場登録もできる。
ここでは、ガラス棟4階にブースを構えるノアやラックスマンなどのブースを中心に紹介する。
ノア(ガラス棟4階/G402)
4階で多くの来場者が足を運んでいたのがノアブース。なかでも、ソナス・ファベールの創業40周年を記念する新フラッグシップモデル「Suprema(シュプレーマ)」が大きな注目を集めていた。
2筐体のメインキャビネット、2筐体のサブウーファー、1筐体のアクティブクロスオーバーネットワークで構成する2.2chシステム。サブウーファーがシングルのモデルも用意しており、価格はシングルサブウーファーが1億5,400万円、デュアルが1億7,050万円。会場ではデュアルサブウーファーモデルが展示され、試聴イベントが行なわれていた。
なお、混雑が予想されるため、Supremaの演奏時は整理券を持っている人のみ入場可能。整理券は各日にG402ノアブース前で配布される。
会期初日の26日には同社のチーフデザインオフィサー(CDO)を務めるLivio Cucuzza氏も来日。関係者向けにSupremaのプレゼンテーションも行なわれ、“Camelia Midrange(カメリア・ミッドレンジ)”と名付けられた、ダイヤフラムの周りの合計5箇所がカットされ、エッジ部を凹型にした165mm径ミッドドライバーを搭載していることや、専用クロスオーバーネットワークはデュアルモノ構成でDSPなどを搭載していないことが紹介された。
またSupremaのチェンバーには、ソナス・ファベールとして初めて天然素材のコルクを採用していることも紹介。「コルクは天然素材で造形しやすく、(チェンバーを)理想的な形状にすることができた。そしても音も良く、ダンピングマテリアルも不要になった」と語った。
さらにCucuzza氏は、Suprema開発で培われた技術は今後のソナス・ファベール製品にも活かされていくとコメント。その例として、ブースに参考展示されているフロア型「Sonetto VIII G2」とブックシェルフ型「Concertino G4」を紹介した。
フロア型のSonetto VIII G2はSupremaと同じく、独自形状のCamelia Midrangeを採用しており、予定価格は154万円/ペア。ブックシェルフ型のConcertino G4は、キャビネットをすべてコルクで仕上げたというモデルで、こちらも筐体を理想的なデザインにできたため、ダンピングマテリアル不使用だという。またConcertino G4については初回300ユニットを“マエストロ・エディション”として販売するとのこと。予定価格は85万円/ペア。
ソナス・ファベールからは、創業40周年を記念する2023年に登場したアニバーサリーモデルの一部意匠を変更したレギュラーモデル「Stradivari G2」や、ブックシェルフ型スピーカーのさらなる可能性を追求したという「Guarneri G5」なども初出展されている。
そのほかノアブースではクラウディオのアナログ・ターンテーブル「Magnezar(マグネザー)」も展示・試聴が行なわれている。ダイレクトドライブ式とマグネットフローティング式を採用したターンテーブルで、本体とプラッターの両方に内蔵されたマグネットの反発力によって、約20kgの高重量プラッターをフロートさせている。回転時のプラッターの揺れについては、トップ・プラッター内部に独自配合の液体を封入して軽減しているとのこと。
ラックスマン(ガラス棟4階/G408)
ラックスマンブースでは、今秋発売となるフォノイコライザー「E-07」や、FOCALのベストセラースピーカーの改良進化版「ARIA EVO X」などが展示され、試聴プログラムにも組み込まれている。
E-07は生産を終了した全段真空管回路による無帰還回路構成の「EQ-500」や、音質と使いやすさを高次元で両立したコンパクトな定番モデル「E-250」に次ぐ、半導体構成の本格的なフルサイズ・フォノイコライザーアンプ。2024年秋発売で、価格は55万円。
ARIA EVO Xは、約10年にわたり、FOCALのミドルクラススピーカーとして、多くのユーザーから高い評価を受けたARIAシリーズの改良進化版。3ウェイ・バスレフ型のフロアスタンド型「Aria Evo X N゜2」(55万円/ペア)、2ウェイ・バスレフ型のブックシェルフ型「Aria Evo X N゜1」(27.5万円/ペア)、2ウェイ・バスレフ型のセンタースピーカー「Aria Evo X Center」(16.5万円)の3バリエーションで展開する。
中低域は、フランス国内産の亜麻を使用した天然素材のFLAXをグラスファイバーでサンドイッチした独自のFLAXコーンにより、軽さと強度、ダンピング性能に優れたユニットを採用することで、ダイナミックで力感あふれる自然な音色を実現したという。
ミッドウーファーには高層建築の耐震技術を応用したTMD(Tuned Mass Damper)を採用。エッジ部のサスペンション効果を高め、中域のリニアリティ向上と歪の低減を図っている。
高域は、アルミとマグネシウムの合金による独自のM字型インバーテッド・ドームユニットを進化させた最新のTAM(Tweeter Aluminum/magnesium M shaped)ツイーターを搭載。帯域の拡大と優れたインパルス応答性能により、正確で歪みの少ない サウンドを実現した。
エンクロージャーは、レザー調の模様を施したブラックのバッフルを共通とし、サイドカラーに光沢仕上げのブラックハイグロスと天然木突板仕上げのプライムウォールナットの2種類を用意する。
TAD(ガラス棟4階/G401)やナスペック(ガラス棟4階/G405)など
TADブースではプリアンプ「TAD-C700」を中心としたReferenceシリーズや、スピーカー「TAD-CE1TX」を使用したEvolutionシリーズでのデモンストレーションを開催。
TAD-C700は6月下旬に発売されたモデルで、価格は572万円。高性能な1段増幅電流帰還形アンプを、フラットアンプ部に搭載。増幅素子を必要最小限とすることで、音源の持つ情報量を余すことなく伝達するという。
正負、左右の対称性を徹底的に追求した“デュアルモノコンストラクション”を採用することで、電気的、メカニカル的に回路の信号増幅環境を同一にし、優れた“ステレオフォニック”を実現するという。
電源部が別筐体になっており、メカニカル部やオーディオ回路に悪影響を及ぼすトランスの不要振動と漏洩磁束を排除。電源トランスの内部巻線を直出しすることで引き出し線との接点を極力削減し、電源回路の高純度化を図るとともに、直出し線のターミナル、基板マウントターミナル、締結ビスに非磁性のメッキとOFC純銅を採用。磁性歪も排除した。
TAD-CE1TXは2022年11月登場のブックシェルフ型スピーカー。2014年に発売した「TAD-CE1」の後継機種。独自のBi-directional ADSポートを引き続き採用しながら、新開発のウーファーおよびミッドレンジユニットを搭載。「Reference TXシリーズの音質コンセプトを継承し、TADのサウンドコンセプトである“音場と音像の高次元での融合”を実現した」モデルになっているという。
ナスペックブースでは、Monitor Audioの新スピーカー「Studio 89」や昨年のインターナショナルオーディオショウで披露したフラッグシップモデル「HYPHN」を中心とに展開。2月発売のPlayback Design初のネットワークトランスポート「MPS-X」や、DAC「MPD-6」も、東京では今回が初展示となっている。