ニュース

NTT、世界初RExt対応で圧縮速度や圧縮率を高めたHEVCエンコーダ

RExt対応HEVCエンコーダのメリット

 日本電信電話(NTT)は、映像コーデック「HEVC」の圧縮時間短縮や圧縮率向上を実現する「Range Extensions」(RExt)に対応したソフトウェアエンコードエンジンを世界で初めて開発した。7日から米国ラスベガスで開催される「NAB 2014」に出展し、IPTVなどの映像配信サービスなどに向け、2014年後半の製品提供を目指す。

 RExtは、HEVCの素材映像を効率的に扱うために規格策定作業が進められている技術。素材映像はデータ量が増えるため、圧縮時間の短縮や圧縮率の向上が求められてきたが、HEVCのRExtに対応したエンコードエンジンを開発したことで、4K映像をより少ないデータ量に圧縮して伝送できるとする。

 RExt対応のHEVCソフトウェアエンコードエンジンは、色差フォーマット4:2:0と4:2:2に対応し、最大ビット深度は12bit、解像度は8Kまで対応する。従来の同社ソフトウェアエンコーダは、主に放送局やコンテンツプロバイダからの配信向けとしていたが、RExt対応により「素材映像」の伝送も含めた幅広い領域で適用可能になるという。

RExt対応HEVCエンコーダで適応領域を拡大

 より高速な圧縮のために、NTTでは独自のイントラ予測方向高速判定技術を開発するとともに、エンコードプログラムを最適化し、昨年開発したエンジンに比べて約40%の速度向上を実現。さらに、映像の前景と後景で境界部分が適切に分割されるように、符号化に用いるブロックサイズを最適化する技術を開発し、主観画質の向上を図るとともに、最大で圧縮率を18%向上した。

イントラ予測方向高速判定技術
ブロック予測を最適化し、画質向上

(臼田勤哉)