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28日開業「TOHOシネマズ 大井町」ドルビーシネマ見てきた。今後の展開も直撃

「OIMACHI TRACKS」内にオープンする「TOHOシネマズ 大井町」

Dolby Japanは、3月28日にオープンする「TOHOシネマズ 大井町」内に、東京都内のTOHOシネマズ初となる高品質シアター「Dolby Cinema(ドルビーシネマ)」のメディア向け内覧会を開催した。

TOHOシネマズ 大井町ではスクリーン8がドルビーシネマ

TOHOシネマズ 大井町は、同じく3月28日に開業する大井町駅直結の商業施設「OIMACHI TRACKS」のビジネスタワー3Fにオープン。全8スクリーン、1,205席のシネマコンプレックスで、このうちスクリーン8がドルビーシネマとなる。座席数は264席(一般252席+プレミアボックスシート10席+車椅子2席)。

鑑賞料金は、ドルビーシネマ作品の場合は通常料金+600円、3D作品の場合は+400円、アトモス作品の場合は+200円、プレミアボックスシートは+1,000円。

スクリーン8内の様子
通常のシート
プレミアボックスシート。スクリーン8では10席用意される

ドルビーシネマは、ドルビー独自の上映システムで、広色域で鮮明な色彩と幅広いコントラストを表現するDolby Visionと、立体音響技術のDolby Atmosを採用したシアター。映画鑑賞の高揚感をさらに高めるというインテリアカラーや空間デザイン、座席アレンジメントも採用。

ドルビーシネマ入口に設けられるAVP(オーディオ・ビジュアルパスウェイ)

シアターエントランスには横長のスクリーンも設置し「映画の鑑賞前から映画の鑑賞後まで、余すところなく極上の映画鑑賞体験へ導く」という。

プレミアボックスシートのH-9席からスクリーンを見たところ

28日の開業時点では、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」(字幕版)や「私がビーバーになる時」(吹替版)、「ウィキッド 永遠の約束」(字幕/吹替版)をドルビーシネマで上映する。

スクリーン2は「轟音シアター」
スクリーン4は「プレミアムシアター」

なお、TOHOシネマズ 大井町では、そのほか音の体感と迫力あるサウンドを追求した「轟音シアター」をスクリーン2(186席)に、映像・音響・座席のすべてにこだわったという「プレミアムシアター」をスクリーン4(176席)に導入している。

Dolby Japan シネマ&コンテンツソリューション部の尾崎卓也部長

内覧会では、Dolby Japan シネマ&コンテンツソリューション部の尾崎卓也部長が、ドルビーシネマの特長について説明した。

「このシアターで使われているのは、Dolby Visionという映像技術とDolby Atmosという立体音響技術です。Dolby Visionに関しては、(映像の)明るいところから暗いところまでのコントラストが通常の映写機の500倍くらいあります。そのため、暗がりの中のシーンの再現性が非常に優れています。色域、色のパレットの数も、通常の映写機よりも圧倒的に多いので、スクリーンを見ているというより、スクリーンの中に入り込んでしまうような体験ができます」

「音響に関しても、天井にあるスピーカー1個1個から音を出すことができます。通常の劇場のサラウンドスピーカーは、全部同じ音が再生されますが、(ドルビーシネマでは)1個1個、個別に駆動させて音を出すので、より繊細な音響体験ができます」

「もうひとつ重要なのは(シアターの)デザイン。ドルビーシネマは全国11カ所、あるいは世界中含めて、基本的にすべて統一したデザインになっています。そのコンセプトは『お客さまに映画のスクリーンにだけ集中してほしい』ということです」

つや消しの黒を採用したカーペット。ステップライトもブルーを採用する

「基本的には余計な装飾はせず、黒を基調としたシンプルなデザインで、映画が始まったらスクリーンに没頭できるような環境にしています。またDolby Visionは黒の再現性が高いので、ちょっとした光の反射も目立ちやすい。ですので、カーペットや座席も艶のない黒を使っていたり、ステップライトもブルーにしてスクリーンに反射しないように工夫しています」

「座席の配置も、極力どこの席で観ても同じ体験ができるように、水平の視野角、それぞれの席からスクリーンを観たときの視野角や、垂直の視野角、前のお客さまの頭がスクリーンに被って見えないということがないように、Dolbyとしてスクリーンに対する各座席の視野角を決めていて、それに基づいて設計しています。これもドルビーシネマ統一のコンセプトです」

映写システムはDolby Vision対応プロジェクターを2台採用

そのほか、シアター入口に「AVP(オーディオ・ビジュアルパスウェイ)」と名付けた横長スクリーンを設置することで、シアターの入口から作品の世界観に浸れるコンセプトにしていること、通常の映写機より倍以上明るい108nitsのDolby Vision対応プロジェクター2台を使って映写することで、高品質な映像を実現していることなどが紹介された。

TOHOシネマズ 大井町、各スクリーンへの入口
飲食売店の様子

新築シアターにドルビーシネマを導入するメリット、海外で導入進む「Dolby Vision+Atmos」の日本導入は?

AV Watchでは、尾崎氏に単独インタビューも実施。TOHOシネマズ 大井町のドルビーシネマの特長や、海外で導入が進む新ソリューションの日本導入などについて聞いた。

――既存映画館への改装導入ではなく、新規オープンする映画館にドルビーシネマを導入するのは、東京都内では今回が初めてですが、ドルビーシネマを新規に導入できるメリットはありますか?

尾崎氏:すでにできあがっている劇場の場合、例えば座席レイアウトなどはすでに決まっています。それに対し、ドルビー側にもドルビーシネマのための座席配置の考え方などもありますので、そこに完全に合わせようとすると、資金や工事期間などもかかってきてしまいます。

そういった点も踏まえると、改修よりも新築のほうが、(シアターが)出来上がる前なので対応できることが多いので、そのあたりの違いはありますね。改修の場合、(視野角などドルビーシネマとしての)スペックを満たせない座席があったりして、そこを減らしていただくこともあります。

新規の場合は、ある程度そうしたスペックも念頭に置いて座席配置の相談ができるので、そういった違いはありますね。

――今回TOHOシネマズ 大井町に導入されたドルビーシネマのスクリーンサイズは横14.0×縦5.9mのシネスコ(シネマスコープ)サイズです。フラット(ビスタ・サイズ)を選ばなかった理由は?

尾崎氏:ドルビーとしていろいろな提案をさせていただくなかで、劇場内の天井の高さをどれだけ取れるかという物理的なチャレンジがあります。国内でもフラットのスクリーンもあれば、両フォーマットに対応したハイブリットのスクリーンもあります。

スクリーンのアスペクトは、各劇場の形状を踏まえながら興行会社側と相談して決定しています。

――海外では昨年5月から光源にRGBピュアレーザーを採用した次世代のDolby Vision 4K映写システムが導入されています。TOHOシネマズ 大井町でこの映写システムは採用していますか?

尾崎氏:いいえ、TOHOシネマズ 大井町のドルビーシネマでは、今までのドルビーシネマでも採用している映写システムを採用しています。というのも、新しいRGBピュアレーザーのプロジェクターは現状2D専用なのです。

現在、日本で導入しているドルビーシネマは3Dもサポートする前提で話を進めているので、これまでも採用してきたレーザープロジェクター2台というシステムで進めています。

――今後、2D専用でも構わないという要望があれば導入を検討していくことになりますか?

尾崎氏:今後、そういったケースが出てくるかもしれませんが、現状は「最新のシステムだから即採用しよう」ということではなく、3D対応について考えた結果、従来の映写システムを採用しています。

――ドルビーシネマはDolby Vision/Atmosだけでなく、シアター内のインテリアやAVPも含めたソリューションですが、海外では既存のプレミアムシアターにDolby Vision/Atmosだけを組み込むソリューションが広がり始めています。このソリューションが日本で展開されることはありますか?

尾崎氏:我々が「Dolby Vision+Atmos」と呼んでいるものですね。今、Dolby Atmosに対応したスクリーンは全世界に9,000スクリーン近くあります。我々としては、日本も含めて、Dolby AtmosとDolby Visionを体験できる場を世界中にもっと増やしていきたい。そういう思いがあるなかで、すべてをドルビーシネマとしてやろうとすると、劇場の構造的に難しい場合、資金的に難しい場合が出てきます。

ドルビーシネマとして、その体験を追求しつつ、どれだけ早く、もっと数を増やせるかと考えた場合、ひとつは既存のDolby Atmos対応シアターにDolby Vision対応のプロジェクターを導入すること。シアター全体のデザインはドルビーシネマのスペックではないけれど、(Dolby VisionとDolby Atmosを)体験してもらおうということですね。

海外では昨年から導入が始まって、採用しているスクリーンも増えています。日本においても、同じような展開は我々も取り組んでいきたいと考えています。

――このTOHOシネマズ 大井町で、日本国内のドルビーシネマは11館目になりました。次の12館目、13館目の導入時期、またいつ頃までにどれだけ導入するかといった具体的な導入目標があれば教えてください。

尾崎氏:しっかりと申し上げられる状況ではありませんが、ドルビーシネマだけでなく、先ほど質問があったような「Dolby Vision+Atmos」も含めて、この先の12館目、13館目というものは、各興行会社と相談をしているので、私も早く次(の対応シアター)を紹介できればと思っています。

導入目標については、明確に定めているわけではありませんが、2022年に新宿バルト9にドルビーシネマを導入した際、弊社社長(大沢幸弘氏)が当時8スクリーン目で「まだまだ少ない。20、30館を目指していきたい」と話しており、その考えに基づいて私たちも取り組んでいます。

今回で11館目ですが、やはり次のステップとして20、そして30と数を増やしていけるように。いつまでという時期は公表していませんが、短いスパンで数を用意していきたいと考えています。