ニュース

NHK、ネット配信や8K放送、4K配信に向けた新経営計画

公共メディアNHKへ。受信料制度は「改定検討すべき」

 日本放送協会(NHK)は15日、2015年-2017年度の経営計画を公表した。国際放送「NHKワールドTV」の強化や、放送の同時再送信などインターネット配信の強化などを盛り込み、東京オリンピック/パラリンピック開催の2020年に向け、「世界最高水準の放送/サービスの実現を目指す」とする。

NHKワールドTVによる国際放送強化

 5つの重点方針として掲げるのが、「正確な報道と、多彩なコンテンツ」、「日本を世界に積極的に配信」、「新たな放送/サービスの創造」、「受信料公平負担徹底に向けた努力」、「組織改革」。ここでは新サービスを中心にした経営計画や経営委員長、会長記者会見の要旨をまとめた。

 新しい放送/サービスについては、インターネットを活用したサービスや、スーパーハイビジョン(SHV)などへの取り組みを加速。放送法の改正を踏まえ、テレビだけでなく、パソコンやスマートフォン、タブレットなどへのネット配信を実施していく。放送の同時再送信についても、「一定の条件のもとで実験を行ない、課題を解決していく(NHK籾井会長)」とした。

 NHKオンデマンドでは4Kの動画配信を実施。HybridCastは24時間運用やより魅力的なサービスの展開を図るとする。なお、NHKオンラインや、NHKオンデマンド(NOD)との連携も強化する。

 SHVについては、2016年の試験放送、2020年の東京五輪などを見据え、設備や実施体制の整備、コンテンツ開発、ノウハウの蓄積などをNHKグループで連携して推進。「8Kの開発/活用で先導的な役割を果たしていきたい(籾井会長)」とする。

 また、医療や防災、芸術など8Kの特性が発揮される分野の開拓など、放送外を含めた多様な活用法を研究/開発していく。

 NHKコンテンツの接触を把握する評価手法「トータルリーチ」も導入。これは、放送やインターネット、録画視聴など、さまざまメディアにおけるNHKコンテンツへの接触や、質的/量的評価を総合的に把握する手法とのこと。

コンテンツ接触把握のためトータルリーチを導入へ

 また、今回の経営計画で、これまでの「公共放送NHK」から「公共メディアNHK」となることを強調している。その理由について、籾井会長は、「ラジオテレビでやってきたが、インターネットをはじめ、新しい技術を使った伝達方式が出てくる。それを踏まえ『公共メディア』とつけた」と説明。「8K/4Kを含め『第一級のコンテンツ創造集団であり続けたい』と強調している。加えて、どういった形で8K/4Kを届けていくか。衛星もあるし、通信回線やCATVもある。我々はコンテンツを届ける義務もあり、合わせて考えていく」(井上理事)としている。

 なお、受信料制度については、「新たな受信料制度について研究を鋭意進める」としている。籾井会長は、その狙いについて「放送法はインターネットの活用について、全面的に許す段階になっていない。法にのっとって実験などを行なうが、全部自由にできる段階になったときには、可及的速やかにやらねばならない。3カ年の中では見えないが、いずれはできる。その時は料金体系を考え直さなければならない。放送と通信の融合が進み、特に2020年には放送環境の大幅な転換期になる。それまでに目標として、受信料制度の改定は検討されるべき」と述べている。

(臼田勤哉)