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新Adobe CCは16日提供。キャラのアニメ化など
ストックフォト「Stock」開始。動画素材は年内提供予定
(2015/6/16 13:12)
アドビシステムズは、映像編集/制作ソフトの「Premiere Pro CC」や「After Effects CC」を含む「Adobe Creative Cloud」のメジャーアップデートを6月16日から提供開始する。この中には、カラーグレーディング用のiOS用アプリ「Adobe Hue CC」やCreative Cloudと連携する新しいフォトストックサービス「Adobe Stock」への対応などが含まれる。
なお、「Premiere Pro CC」や「After Effects CC」(単体プランはそれぞれ月額2,180円)などに関するアップデート内容は、米ラスベガスで開催された放送機器展「NAB Show 2015」において先行公開されていたもの。
ソフト名 | 主な追加・変更点 |
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Premiere Pro CC | 新機能(Morph Cut/Lumetri カラーパネル/Time Tuner)の追加 |
After Effects | 新機能(Face Tracker/ Character Animator)の追加 |
名称 | サービス内容・機能 |
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Adobe Hue CC | 映像編集用の色情報を取得 ※iOS専用 |
Adobe Stock | ストックフォトサービス |
Premiere Pro CCはインタビュー映像向けの「Morph Cut」など
Premiere Pro CCに追加される主な新機能は3つ。1つ目は、「Morph Cut(モーフカット)」と呼ばれる機能で、映像編集で複数のクリップをつなぎ合わせる際、切れ目を目立たないように自然に仕上げるというもの。背景が大きく変化しないインタビュー映像などにおいて、質問を受けて話者がしばらく考えている時間など、不要な映像をカットした後、顔などの動きが不自然にならないように編集できる。
これまでは通常のディゾルブエフェクトなどでも編集できたが、特定のポイント(目、鼻、口などの位置)を事前に指定する必要があった。これをモーフィング技術を使って自動認識し、自然につなぐことができるようになるという。
2つ目は色調補正用のカラーパネルの機能を強化した「Lumetriカラーパネル」で、動画を任意の箇所で止め、空や人物などの色をより細かく調整できるもの。スペシャリスト向けで操作が難しいが、詳細な編集が行なえる「SpeedGrade CC」のカラーグレーディング機能と、「Photoshop Lightroom」の使いやすさを備えた。より素早い操作で色調補正を簡単に行なえるようにし、Premiere Pro CCのみで手の込んだデザインに仕上げられるという。
サイドパネルに表示されたホイールやトーンカーブの調整で、特定の色だけ彩度を上下することなどが可能。映像業界で使用されるフィルムの再現や、周辺光量落ちの再現(ビネット)なども行なえ、編集前後のチェックも可能。
3つ目は、映像全体の長さを調整する「Time Tuner」機能。制作し終えた映像のクオリティを損なわず、指定の尺にコンテンツの長さを自動調整できるという。
After Effects CCは2次元キャラを思い通りに動かせる新機能を搭載
After Effects CCには、注目の新機能として、2次元キャラクターをアニメのように自在に動かせる「Character Animator(Preview)」を搭載する。これはプレビュー版としての提供になるが、PhotoshopやIllustratorで作成した複数レイヤーの静止画(psd/aiファイル)を、アニメーションのように連続した動画にできるというもの。After Effects CCが備える顔認識技術(Face Tracker)と、パソコンのWebカメラを用いて、キャラクターを思い通りに動かすことができる。
Webカメラに向かってウインクすると、キャラクターもウインクするというように、目や鼻、口、眉毛の各パーツに連動した動作が可能。また、Webカメラに近づいたり離れたりすることで、キャラも大きくなったり小さくなったりする。この動きを録画し、PNGシーケンスの動画として書き出せる。
Face Trackerを活用した例として、人の目の部分だけにエフェクトをかけることが可能。人物の目の部分に仮面を合成し、人(顔) が動いてもその部分にマスクが追従するといった編集もできる。
自然風景などの色情報を手軽に活用できる新アプリ「Hue CC」
iPhoneなどのiOS端末で撮影した写真から色調を解析し、映像作品などの色合いに活かせるという新アプリ「Hue CC」(無料)も登場。これはNAB Show 2015において「Project Candy」の名前で発表されていたもの。映画監督や映像クリエイターが旅先などで見つけた印象的な風景の色合いを、自身の映像制作に反映できるという。
撮影した写真をアプリに読み込むと、色のついた球状のオブジェクト(バブル)が複数表示される。バブルの上下の位置は彩度を示しており、動画に反映したい色のバブルを選ぶと、動画全体に反映される仕組み。スライダーで効果の強弱も調整できる。作成したデータをCreative Cloud経由でPremiere ProやAfter Effectsに渡して、より細かい編集を行なうこともできる。
CC連携のフォトストック「Adobe Stock」提供開始。動画素材は年内提供予定
今回のアップデートでは、新しいフォトストックサービス「Adobe Stock」が追加される。世界中から提供された4,000万点もの高品質な写真・イラスト・ベクター形式の画像を、Creative Cloud経由で各アプリケーションと連携させて使用できる。画像のプレビューから購入までのフローをシンプルにしたことも特徴だという。
個人・法人・エンタープライズ(公的機関・教育機関)向けに提供され、価格は単品1,180円。サブスクリプション型(定額制)での提供も用意され、月10点の画像で5,980円。Creatibve Cloudメンバー向けには3,480円で提供される。月750点の画像を利用する場合は29,980円(Creatibve Cloudメンバーは24,980円)となる。
サービス開始当初は動画素材は用意されないが、2015年中に提供開始予定。なお、アドビでは同様のストックコンテンツサービス「Fotolia」を運営しているが、Adobe Stockと並行して事業継続するという。