ミニレビュー
アニメは「ドラ丸」で録り逃さない! 可変速早見も便利なシャープ「BD-UT2200」
2018年2月16日 09:30
多数のアニメ新番組がスタートする改編期を過ぎて4週間も経つと、どの作品を見続けるかが大体固まってくる。そこで面倒なのが、入れていた予約や録画番組リストの整理。できればその作業で画面と向き合う時間は短く、手間なく済ませたい。シャープ AQUOSブルーレイの「ドラ丸」機能は、古くなったBDレコーダの買い換えを考えている筆者の目に魅力的に映った。
「ドラ丸」はテレビの新番組を自動で4週間分録画する機能。4週間後も続けて見たいものは予約確定すると全話録画でき、逆に見ない番組は古いものから順次消してくれるので、HDD容量を無駄に消費することもない。今使っているBDレコーダ(ソニーBDZ-EW500。以下、EW500)にも新番組やオススメ番組を自動録画する機能はあるが、ドラ丸は毎週続く番組の見逃し・録り逃しを防止しながら自動で整理し、見ない番組は消してくれる点が大きく異なる。
そのネーミングからドラマ専用のようにも見える「ドラ丸」だが、ジャンル設定はドラマに加えてアニメ、バラエティも用意されており、個人的には“アニ丸”として使えそうな点に興味を惹かれた。
EW500は購入から6年が経ち、以前に比べて動作も重い。新番組の季節の度に手動で予約録画をいれるのが大変で、録り漏らした作品が後で話題になって残念な気分になることも少なくない。今後新調するならチューナ数やHDD容量が多く、UHD BD再生もできるものにしたい。録画予約や番組管理の手間が省けるなら、なお良い。
そこでシャープからトリプルチューナ/2TB HDD搭載の最新AQUOSブルーレイ「BD-UT2200」(以下、UT2200)を借り、1月期のアニメ新番組を中心に「ドラ丸」で録って、手持ちのレコーダとの使い勝手の違いを試した。2月15日現在の実売価格は72,000円前後。
設置後の初期設定を終え、電源を入れた時に驚いたのが、画面に番組が流れ始めるまでの早さ。[クイック起動]を設定したためだが、レコーダのリモコンで電源ボタンを押した次の瞬間にはもうテレビ画面が映る。筆者のEW500は番組が映るまでだいたい5〜10秒程度かかるが、UT2200はストップウォッチをかける隙も与えないほど。ホームボタンを押した際もすぐに画面が切り替わり、操作がキビキビしていて気持ちが良い。
番組表は地デジ/BS/CSを個別に切り替えるのでは無く、横続きでシームレスに繋がっている。個人的には、BSチャンネルはBS11かNHKくらいしか使わないのであまり必要ではなく、地デジ表示のみに絞っているが、BS/CSも多用するユーザーは切り替えの手間いらずで便利だろう。
ちょっと変わっていたのが、番組情報の出演者一覧が顔写真入りで表示される点で、本人のプロフィールと出演番組が一目で分かるのが面白い。
文字表示やジャンル毎の色分けなど、好みで表示をカスタマイズできるのは便利だ。特に、文字サイズと文字の濃さを各3段階、文字背景色も2種類から選べる点はアニメだけをチェックする時など、ぱっと眺めて確認しやすいのでありがたい。
なお、付属のリモコンは中央部に十字キー、上部に数字キーを配置したオーソドックスなもの。下部には特徴である「ドラ丸」ボタンがあるが、よく使うボタンなので個人的には指が届きやすい中央部に配置されていた方が良かったと思う。
ドラ丸を“アニ丸”にしてみた
ドラ丸は、地デジ/BSの番組表で「新」マークが付く連続ドラマやアニメ、バラエティを対象に、初回から4週間分(4話分)を自動で録り続ける。利用するにはあらかじめ設定が必要だ。リモコンの[ドラ丸]ボタンを押してリスト画面を表示し、□ボタンを押すと設定画面に入れる。ここでドラ丸のオン/オフや対象チャンネル、[ドラマ][アニメ][バラエティ]のジャンル選択、録画時間帯、録画画質を選ぶ。録画先は内蔵HDDのみで変更はできないが、チャンネルや時間帯、画質(初期設定は5倍)などは好みで変えられる。
今回はアニメで、全ての地デジチャンネルとNHK BSプレミアム・BS11、録画時間帯は午前0時から翌日の午前0時まで1日中、DR画質でドラ丸録画を試した。筆者の場合、特にアニメは改編期の初回放送はできる限り1クール全作品を網羅しており、画質を重視してDR録画することがほとんどだ。
設定が終わるとリストが更新され、自動録画の対象番組が1画面につき6番組リストアップされる。実際に録画された後は、各番組毎にサムネイルが付いて、番組冒頭のプレビュー映像を音声とともにチェックできるようになった。リストから番組を選ぶと、放送回の数だけ録画番組がまとめてサムネイルと共に表示されるので、今何話分録れているのかが分かりやすい。
ドラ丸でドラマとアニメ両方を、といったジャンルの併用はできないが、番組表からの予約でドラ丸の自動予約リストに個別に編入させることも可能だ。今回はアニメ以外にも、「アンナチュラル」や「海月姫」などいくつかのドラマをドラ丸リストに追加した。なお、UT2200のドラ丸では同じ時間帯に最大3番組録画できるということで、基本的に録り逃しの心配はしなくて済みそうだ。
視聴継続を決めた番組は、リモコンでカーソルを合わせて緑ボタンを押せば、番組サムネイルの上に緑色の「予約確定」のタグが付く。これが最終話まで全話残してくれることを表わす印だ。このタグは後で外すこともでき、外すと自動録画状態に戻って、5話以降の放送時に1話から順次消されていく。また録画の優先度が下がり、他の番組予約が重複した時に自動録画されない可能性もあるので、タグを外す際は気をつけたい。
今回は機材の都合で4週間の試用はできなかったが、各作品第2話まで(一部作品は第3話まで)放送されたタイミングで、30作品/計65番組がドラ丸で録画できていた。この時点でいくつかの作品は既にドラ丸リストから外していたが、今期であれば個人的には「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」、「ハクメイとミコチ」、「宇宙よりも遠い場所」あたりに“予約確定”タグを付け続けただろう。
普段は放送が2〜4回と回を重ねる毎に予約リストを整理していき、最終的には20作品程度まで絞り込むが、HDD容量はかなり占有する。ドラ丸録画ではUSB HDDを録画先にして逃がせないので、都度Blu-rayに書き出すなどして内蔵HDDを空けておく必要がありそうだ。
なお、ドラ丸リストから見ない作品を消去すると、ドラ丸による自動録画は行なわれなくなる。この時、録画済みのタイトルがあれば一緒に消去可能だ。「今期はこの作品は見ない」と決めてHDD内を整理する時、番組予約リストと録画番組リストから探してそれぞれ消す手間がかからず、かゆいところに手が届く作りだと感じた。
ちなみに、EW500の自動録画機能「x-おまかせ・まる録」はHDD残量が少なくなると自動消去される仕様で、残す場合は個別に指定しないといけない。常に空き容量が少ない状況でやりくりしている筆者はこれまで積極的には使ってこなかった。もちろん、ドラ丸のように4週間録りおいてくれる機能もない。
放っておいても見たいジャンルの番組を録画しておいてくれて、作品毎に残すかどうかも決められるドラ丸の便利さは、一度体験してしまうと、元のレコーダに戻った時にもどかしい気分になる。
可変速早見で時短再生
UT2200の番組視聴に関する売りのひとつが、業界初の「可変速早見・早聞き」機能。HDD内の録画番組に限られるが、従来は1.5倍固定だった早見・早聞きが1.1〜2.0倍の10段階で自由に調節でき、好みの速度で時間をかけずに楽しめるという。字幕表示しながらの早見再生にも対応する。EW500にも早見機能が備わっているが、これは1.5倍固定で、映像がカクつくこともありあまり使っていなかった。
実際に使ってみると、台詞を聞き取れる早さとしては、1.3〜1.6倍あたりまでが実用的と感じた。再生中も速度をリモコンの左右キーで変更できる。最も早い2.0倍速になると、人物の台詞が多い場合はかなり早口になってよく分からなくなるが、逆にギャグテイストのアニメだと妙な面白さが加わるという発見もあった。今期でいうと、30分アニメなのに“同じ15分アニメを声優だけ入れ替えて2回も見せられる”ことで話題の「ポプテピピック」がそれで、30分見続けることなく実質7分半でおおよその内容が掴めた。
この可変速早見・早聞き再生は、Ultra HD Blu-ray再生対応のための再生処理能力向上によるものだが、BDソフトの読み込み速度も改善されたという。確かに、手持ちの「オデッセイ」UHD BD版をローディングして時間を図ると、20世紀FOXのスタジオロゴが出るまで30秒かからず、1分以内にはチャプター選択の画面を操作できた。
内蔵HDDからBlu-rayへの書き出し機能も試した。50GB(1〜2倍速)のBD-REにDR画質の30分アニメを目一杯(47〜48GBでおよそ十数タイトル)入れて書き出すと、ダビング完了までの時間を5回計ったところ、およそ1時間30分程かかった。画面上部の細長いバーと[選択容量]の表示で、ダビングしようとしている番組がBlu-rayの空き容量に占める割合を示してくれる。表示領域が横に細長くあまり目立たないが、あとどれくらいBlu-rayに移せるか、おおよその見当は付けられる。
実行中のダビングや録画のステータスをテレビ画面上部に表示して確認できる点は、別の作業をしながらテレビも見たい時に重宝した。番組録画中はHDDの残容量を、ダビング中は何%進んだかを横棒と%で表示する。もちろん番組をじっくり見たい時は消しておける。
気になったのは、iOS/Android用の録画予約アプリ「AQUOS リモート予約」。筆者のスマートフォン(iPhone SE/Xperia X Compact)が大画面ではないせいかもしれないが、特に番組表のデフォルトの文字サイズが小さく、番組毎の空白も広いため、都度ピンチインしないと見えづらい。番組表/キーワード検索/予約リストとメニュー毎に文字サイズが大きく変わる点も戸惑った。また、ホーム画面の[予約リスト]アイコンは個人的によく使うので、できれば画面上部に持ってきたいのだが、項目の並べ替えはできなかった。ホーム画面の項目順はユーザーがカスタマイズできるようになると便利なのだが。
予想以上に便利だった“アニ丸”
ここ最近、BDレコーダの買い換えに備えてEW500のHDD整理を夜毎しているものの、毎日増え続けるアニメ番組との攻防で空きがなかなか確保できていない。録画番組の保存にこだわらなくても、同じ番組を加入している映像配信サービスで見放題で楽しめるのだから「思い切って消してもいいのでは?」とも考えるが、お気に入りの作品が配信終了で見られなくなると辛いものがあり、手元に番組を残しておけるレコーダはやはり必要だ。とはいえ、次の新番組の季節こそは録画管理の手間を省いて楽になりたい。
今回試したUT2200のドラ丸は、怒濤のように始まる多数のアニメ新番組をリモコンでポチポチと予約録画をいれる必要も無く、自動的に録って見やすく整理してくれて大変便利だった。1クールで20作品程度録りためる筆者にとって、ドラ丸が“アニ丸”として使える点は、買い換えを決める大きな理由になる。値頃感も高まっており、4月期の新番組が始まるまでには購入できればと思っている。