ミニレビュー
お手頃価格で機能充実のスマートリモコン「sRemo-R」。EchoもGoogle Homeも対応
2018年2月26日 00:00
スマートスピーカーの流行に伴い人気が高まりつつあるスマートリモコンに、新たな注目の製品としてSOCINNOの「sRemo-R(エスリモアール)」が登場した。Google HomeとAmazon Echoという2大スマートスピーカーに対応し、温度や湿度、照度といったセンサーを備えながら、6,800円という1万円を大幅に切る価格設定が特徴だ。
Google HomeとAmazon Echoの両対応としてはNature Japanの「Nature Remo」がすでに販売されており、本誌でもレビューしている。今回はNature Remoとの比較も交えて、sRemo-Rの特徴や使い勝手を紹介する。
温度/湿度/照度センサーやマクロなど多彩な機能を搭載
3色のカラーバリエーションを用意したsRemo-R。本体は小さく、手のひらに収まるサイズ。
ほぼ正方形のNature Remoに対し、sRemo-Rは縦に長い直方体で、Nature Remoよりも一回り程度小さい。sRemo-Rは背面に壁掛け用の穴が空いており、壁面に設置することもできるようになっている。
sRemo-RとNature Remoの機能面を比較すると、どちらもMicro USB経由のUSBバスパワーで駆動し、無線LANは2.4GHz帯のIEEE 802.11b/g/nのみをサポートする。赤外線LEDについてはNature Remoは特に個数を公表していないが、sRemo-Rは7個の赤外線LEDを搭載しており、どちらも本体周囲の複数方向へ赤外線を送信可能だ。
機能面ではsRemo-Rは温度/湿度/照度センサーを搭載しており、部屋の状況に合わせて家電を操作する、といった連携が可能。また、マクロ機能も備えており、sRemo-Rに登録した複数のリモコン操作をまとめて実行できる。
スマートフォンは両製品ともにiOS/Androidに対応しているが、対応バージョンはNature RemoがiOS 10.0以降、Android 5.0以降なのに対し、sRemo-RはiOS 9.0以降、Android 4.1以降と、やや古めのOSバージョンでもサポート。ただし、Android対応アプリは正式公開が2月下旬予定で、2月22日時点では基本的な設定はできるもののAlexa関連の機能は提供されていないベータ版アプリが公開されている。本稿では正式版として公開されているiOSアプリを利用してレビューを進めていく。
初期設定はWPSと手動の2種類
初期設定は対応アプリから実施。設定には「sCloud」へのユーザー登録が必要だが、新規登録はメールアドレスのほかGoogleまたはFacebookのアカウントでも新規登録が可能だ。
続いてsRemo-Rの無線LAN設定を行なう。無線LAN設定は手動設定とWPSに対応。工場出荷時の設定では初回起動時にWPSモードで動作するようになっており、ルータやアクセスポイントをWPSモードにした状態でsRemo-RのMicro USBケーブルを接続して電源をオンにするとsRemo-Rが30秒間程度WPSモードになり、自動で接続する。
WPSモードから約30秒経過するとsRemo-Rのモードがアクセスポイントモードへ変更され、手動設定が可能になる。アプリに表示された情報に従ってsRemo-Rへ接続し、自宅の無線LAN情報を入力して反映する。
なお、sRemo-Rには末尾251のIPアドレスが初期設定として割り当てられている。手動の場合は自由に変更できるが、WPSの場合はIPアドレスを変更できないため、すでに家庭で使っているIPアドレスと重複しないか確認しておこう。
sRemo-Rの初回設定は2.4GHz帯の無線LANで行なうが、設定完了後にsRemo-Rにアクセスするためには設定時と同じ無線LANのSSIDに接続する必要がある。1つの無線LANルータで5GHzと2.4GHzの複数のSSIDを利用している場合などは、アプリの「SSID設定(自宅)」から、初期設定に利用したSSID以外のSSIDを選択しておくと、次回以降は他のSSIDでも接続できるようになる。
宅外からのアクセスはルータのポート開放設定が必要
sRemo-Rの無線LAN設定が完了すれば宅内での家電制御は可能だが、自宅の外からインターネット経由で制御したり、IFTTT経由で操作するにはさらにルータのポート設定が必要だ。
この手順はsRemo-RのWebサイトでも開設されているが、特定のポートに対してのアクセスがsRemo-Rへ接続できるよう、静的IPマスカレード(※ルータの機種によって名称は異なる)をルータの管理画面から行なう。
ポート開放というとセキュリティ面が心配になるかもしれないが、SOCINNOによれば不正アクセス対策は注力しているとのことで、ワンタイムトークンを初めとしたセキュリティ対策の詳細をWebで公開している。また、開放ポートは初期設定から変更もできる。
参考:セキュリティ対策について
なお、sRemo-Rの仕様上インターネット経由での利用はグローバルIPアドレスが必要なため、マンションなどでプライベートIPアドレスが割り当てられている場合は、別途グローバルIPアドレスを利用できるサービスなどを申し込む必要がある。
リモコンは番号で管理。操作できるのは電源オンオフのみ
ネットワーク設定が終わったら操作したい機器をsRemo-Rに登録する。アプリには1から141までの設定枠が用意されており、この数だけリモコンの操作の登録が可能だ。画面上部には「エアコン」「テレビ」といったカテゴリが用意されているが、これは「63から94まではテレビ」といったように数字の範囲で便宜的に分けられているだけで、好きな番号に好きなカテゴリを割り当てられるわけではない。
リモコンの登録は画面上部一番右の「MENU」から「リモコン設定」を選択、好きな番号を選んで名前を入力、「設定」を押してから登録したいリモコンの操作を行なう。なお、登録画面ではカテゴリ名ではなく数字で表示されるため、「テレビのカテゴリに登録したければメニュー4」という紐付けを覚えておかなければならない。
sRemo-Rで操作できるのは機器のオンオフやチャンネル変更などシンプルな操作のみで、エアコンの温度などは管理できない。また、エアコンは機種によって電源オンとオフの信号が別で管理されていたり、電源オンオフ時に正しいエアコンの温度設定を合わせて送信しないと反応しないといった製品もあるので、リモコンの完全な代替とはならない可能性がある。
参考:エアコンのリモコン設定
スマートスピーカーはAmazon Echoに対応。Google HomeはIFTTT経由で操作
スマートスピーカー連携はAlexaおよびIFTTTに対応。Actions on Googleには対応していないため、Google Homeとの連携はIFTTT経由で行なうことになる。
続いてAlexaアプリの「スマートホーム」から「sRemo」スキルを検索、sRemoのアカウントと連携して有効化すると、先ほど設定したデバイス名称でスマートホームへの登録が完了する。うまく登録されていない場合は「デバイスを追加」から検索して再登録が可能だ。デバイスに「テレビ」という名前をつけていれば「Alexa テレビつけて/消して」でテレビの電源をコントロールできる。
なお、sRemo-RのAlexa対応スキルはスマートホームスキルのため、機器のオンオフやチャンネル変更などシンプルな操作のみ。一方、Nature RemoのAlexa対応スキルはカスタムスキルのため、「Alexa リモで〇〇」というように製品名を呼ぶ必要はあるものの、テレビのチャンネルや音量などもコントロールできるという違いがある。
Alexaスキルの関係
説明:照明のオンオフ、明るさ変更が可能。照明の設定を使ってテレビやエアコンの操作も登録が可能
呼びかけは「Alexa、○○をつけて/消して」とシンプル
電源オンオフのほかテレビのチャンネル変更やエアコンの温度変更なども対応が可能
呼びかけは「Alexa、○○で××して」と機器名の呼びかけが必要になる(定型アクションを登録することで好きな呼び方に変更できる)
※sRemo-Rでは1つの機器に登録できる定型アクションは1つまで
Amazon Echoでチャンネルや音量も変更したい、またはGoogle Homeで利用したい場合は、IFTTTとの連携が必要だ。
Googleアシスタントの連携種類
Google Homeのオフィシャル対応
呼び出しは「OK Google ○○を使って××して」と機器名を含めて呼びかける必要がある(ショートカット設定で好きな呼び方にカスタマイズ可能)
機器の操作ごとに登録が必要だが、Actions on Googleでサポートされていない機能も設定可能
呼びかけ方はGoogle Homeの場合自由に設定できるが、Amazon Echoは「〇〇をトリガー」と呼びかける必要がある
Amazon Echo連携の場合はsRemo-RアプリのMENUから「Alexa設定」を選択、操作したい機器の名前と操作対象となるsRemoの指定、リモコンボタンの割り当てを行なう。ここでもリモコンは名前ではなく番号で管理することになるので、操作したい番号を覚えておこう。
IFTTT連携はスマートフォンのIFTTTアプリからsRemoのアカウントに連携したのち、Google Homeは「Google Assistant」、Amazon Echoは「Amazon Alexa」を「this」に設定し、「that」には「sRemo」の「Send set number to sRemo」から操作したいsRemo-Rとリモコン番号を割り当てることで設定できる。
複数設定を同時に行なえるマクロやセンサー連携も可能
sRemo-Rの特徴であるマクロは、リモコン登録と同様に「リモコン設定」から好きな番号を選んで登録。マクロもリモコンと同じ141の設定枠の中で割り当てることにになる。
マクロは動作するボタンの順番と、次のボタンが動作するまでの時間を指定できるシンプルな仕組み。なお、マクロ登録は自分で指定したボタンの名前でなく番号で指定する必要があるため、マクロに割り当てたいボタンの番号はメモを取っておくなどの必要がある。
また、sRemo-Rでは本体に搭載された温度/湿度/照度センサーと連携して家電を操作することも可能だ。これらセンサーとの連携はWebhookという仕組みを利用してIFTTTから設定する。
まずはIFTTTの「this」に「Webhooks」を選んで名前を設定。thatの動作は通知したいアプリとして「Gmail」を設定し、通知したいアドレスを入力しておく。
アプレットの作成が終わったら、SearchからWebhooksを検索し、「Documentation」から自分のKeyを取得。このKeyと先ほど設定した名前を、sRemo-Rアプリの「IFTTT設定」に入力する。
最後に通知制御設定から利用したいセンサーの動作と利用したいIFTTT設定やリモコンボタンを割り当てれば設定完了だ。初期設定では指定した条件が5分継続すると動作するようになっているが、時間の長さは設定から3~127分の間で変更できる。
また、温度や湿度などの情報が宅内と異なる場合はオフセット設定を使って調整が可能だ。しかし、精度を重視した仕様ではそもそもないため、ある程度誤差が発生することは理解しておこう。また、アプリの設定から誤差を調整するオフセットも可能だ。
このほかにも登録したリモコン操作をユーザー間で共有できる機能、IFTTTと組み合わせることでスケジュールに従ってsRemo-Rを動作させる機能なども搭載。スケジュール機能は祝日などはサポートしていないため、動作しない日をピンポイントで指定しておく必要があるのがやや手間だが、2018年の祝日については初期設定で用意されているので、2018年については手軽に導入できそうだ。
低価格ながら機能は充実。課題はアプリの操作性
税別で7,000円を切る安価な価格ながら充実した機能を搭載したsRemo-Rだが、家電の操作に加えて複数の操作をまとめられるマクロ、センサーで取得した情報に合わせて家電を操作するなど機能は充実。IFTTT経由とはなるもののGoogle HomeとAmazon Echoの両方に対応しているという点も魅力的だ。
課題はアプリの操作性。指定したい操作をすべて番号で覚えなければいけない、リモコンの登録はボタン一覧からではなく必ずメニューから行なう必要があるなど直感的とは言いがたく、IFTTT連携や宅外からの操作にポート開放が必要な点も、ネットワーク系の機器に不慣れな人にはハードルが高い。
低価格と多機能というメリットに対し、設定の煩雑さや基本的なネットワークの知識が必要であるという点はデメリットといえる。そこが気にならない、あるいは使いこなせるユーザーであればsRemo-Rは非常に魅力的な製品だろう。また、設定関連はアプリのUI次第で改善できるため、今後のアップデートにも期待したい。