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もうやった?「ファイナルファンタジーVII リメイク」体験版。HDR設定で魅力倍増!
2020年3月9日 08:00
4月10日の発売が間近に迫った「FINAL FANTASY VII REMAKE」。現在その体験版(PS4版)が公開されており、冒頭部分をプレイできる。すでにいくつかのムービーが公開されているが、原作の世界観はそのままに、より美麗になったグラフィックがオリジナル版のファンだけでなく多くのゲームファンは魅了しているはずだ。
筆者はそのオリジナル版をプレイするためにPLAYSTATIONを買ったといっても過言ではないほどで、映画に匹敵するビジュアルでゲームの世界に没入できることに感激していた。
3DCGがもたらした今までにないグラフィックは、剣と魔法に科学も加わったFFシリーズならではの異世界によくマッチしており、その世界観がダイレクトに伝わってきた。ゲーム内の異世界を舞台に、自由自在に動き回って冒険をする。そんなRPGの面白さが視覚的に大幅に拡大した。もちろん、大ヒットしたことは誰もが知っている通りで、現在ナンバリングタイトルとしては第15作まで発売されているシリーズは、新作が出るたびにさらに美しいグラフィックと臨場感豊かなサウンドでプレイヤーを冒険の世界に誘ってきた。
そして、FFシリーズらしい奥深いストーリーも魅力は満点。振り返ってみれば、発売された1997年という年は、バブル景気がはじけて先の見えない不況のムードが蔓延しはじめた時期。「新世紀エヴァンゲリオン」のTVシリーズが放映され、大きな盛り上がりとともに結末を描く旧劇場版が公開されたのもこの時期だ(TVシリーズは1995年放映開始、劇場版は1997年7月公開)。こうした作品が大ヒットを記録したのは、まさに時代の空気を反映したものと言える。ゲームやアニメといったジャンルだけでなく、“1999年7の月”がすぐそこに迫った終末感と、新世紀への期待が入り交じった混沌とした時代だった。
FF VIIも、そんな終末を迎えた世界が舞台だった。それだけにとどまらず、星を救う戦いに挑む一方で、主人公自身の内面に潜っていく。主人公が途中で一時的にリタイアしてしまう衝撃の展開もあり、不安な時代に生きる人々の心をがっちりと掴んだ。主人公に感情移入しすぎて自ら“自分探しの旅”に出掛けてしまう若者(当時の筆者を含む)が続出したはず。
今も飽きずにゲームやアニメを楽しんでいる筆者は、その後もさまざまなゲームやアニメを楽しんできたが、あそこまで夢中だった時代はあの頃だけだ。こうして昔を思い出すと、甘酸っぱいどころか、醜悪な腐臭を放つほどの忌まわしい暗黒時代だったが、それでいて、あの時が自分の転換点だったと思うほど、大事な時期だったとも思う。
自分語りが長くて恐縮だが、ともかく筆者にとって「FF VII」はゲームとしての出来の良さ、グラフィックや音楽の素晴らしさ以上に、自分の中に印象強く残っている作品なのだ。
そして、「FF VII」がリメイクされるというニュースを見たときには驚喜した。リメイク作の不安も少なからずあったが、その内容が明かされていくとともに、不安は払拭されていった。
グラフィックとサウンドが最新のハードで刷新されるというのは大歓迎だ。オリジナル版のグラフィックはポリゴンによる3DCGの黎明期のもの。キャラクターこそ3DCGだが、ポリゴン数も少なくテクスチャーマッピングもシェーディングも行なわないソリッドなものだった。背景はプリレンダのCGの静止画主体で、今見てみればチープなグラフィックだと思ってしまう。いかにFF VIIと言えども、ハイレゾのグラフィックに慣れてしまった筆者は、今さらオリジナル版を再プレイしようという気にはなれない。
キャラクターの造形は、その後に映像作品として制作された「FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN」を踏襲したもので、さらにクオリティアップは果たしているものの、イメージ通りだ。そして、もちろん舞台となるミッドガルはより精密に再現されているはずだ。
4Kテレビユーザーは気付いているか? 「FFVII REMAKE」はHDR対応である
当然ながら発売を頸を長くして待ちわびていた筆者は、体験版もすぐにダウンロードしてプレイしてみた。タイトルグラフィックはミッドガルの壱番魔晄炉の前に立つクラウドの姿。大剣を背負った姿が懐かしい。
さっさとゲームをプレイしたいところだが、身についた習性で映像信号の詳細を確認。期待通り、HDR対応だ。ご存じのPS4ユーザーも多いと思うが、PS4はHDR(HDR10方式)表示に対応しており、最新のゲームの多くはHDR表示が可能だ。プレイに使用しているプロジェクター、JVCの「DLA-V9R」で確認してみると、3,840×2,160/60p出力(PS4 Proを使用)で、HDR10方式のHDR表示となっていることがわかる。誤解している人もいるかもしれないが、HDR表示自体はPS4 ProだけでなくPS4(スタンダードモデル)でも対応している。だから、HDRに対応した4Kテレビを接続すれば、HDR表示が可能だ。
HDR対応のゲームを初めてHDR対応の4Kテレビでプレイするには準備が必要だ。PS4の設定から、映像出力設定を選び、そこからHDRに関する設定を行なう必要がある。軽くプレイして確認してみたところ、体験版のためかゲーム自体のオプション設定にはHDRに関する項目がない。多くの場合、PS4の設定とゲーム側での設定が両方あることが多いが、PS4での設定は基本的に一度やればOK。ゲーム側の設定はゲームがプレイしやすいように随時設定するように使うのがいいと思う。
PS4の設定の映像出力設定の画面を表示したら、そこにある「HDR」という項目を選択する。ここで「自動」を選択すると、対応したゲームではHDR表示されるようになる。これが初期値の「切」のままだと、HDR対応4Kテレビを接続していても、HDR対応ゲームをプレイしていても、SDR表示のままだ。4Kテレビを購入したら、まずはこの設定を確認しよう。
続いて「HDR調整」を選択し、調整を行なう。これは、テレビの輝度性能に合わせて、HDR表示での明暗の幅を調整する。いいかげんに調整すると、テレビの性能を十分に活かせず、HDRなのに画面が暗いと感じたり、逆に眩しすぎて画面が見えないなどということになりかねない。
調整は、3つのチャートで、真ん中の枠の中にあるマークがぎりぎり見えるように調整する。「明るい」または「暗い」方向へ動かしていき、まずは見えなくなるまで動かし、見えなくなったら逆に動かしてぎりぎり見えるところを探すようにするといい。注意したいのは、人間の目は画面の明るさや暗さに慣れてくると、それまで見えにくかったものがよく見えるようになる(明順応、または暗順応)。そのため、この調整はある程度時間をかけてゆっくりと行なうようにしたい。目安としては30秒から1分ほど同じ画面を見続けてから調整するといい。きちんと目を慣らしてぎりぎり見えるところまで追い込むと、テレビの性能をフルに活かした表示ができるようになる。
また、人間の目の見え方は部屋の明るさにも影響されるので、部屋の明るさはいつもゲームをプレイするときの明るさにしよう。照明の有無、プレイする時間は夜が主体か、昼が主体か、そういう環境もふだん通りにしておくといい。
面倒くさいと思う人はいると思うが、すべてディスプレイの性能をフルに活かすため。HDR対応といっても、4Kテレビによって最大輝度には差があり、最大で500~700nitの4Kテレビが一般的だし、有機ELテレビなどの高級テレビでも最大1,000nitくらいだ。それに対してHDR10規格では最大1万nitまで規定されているので、テレビの能力の限界を超えた輝度の信号はただの白い光になってしまう。これをきちんと調整することで、テレビの能力の範囲内で最小輝度(黒)から最大輝度(白)までの階調がきちんと表示できるようになる。手間はかかるが、調整自体は一度やればOKなので、さっさと済ませてしまおう。
いよいよプレイ! 「壱番魔晄炉爆破作戦」に挑戦
HDR調整が完了したら、いよいよプレイだ。「GAME START」を選択すると、カメラの操作方法の設定と、ゲームの難易度の選択を行なう。これらは、ゲーム中でもオプション画面で設定を変えることができるので、あまり悩まずに選択して構わない。特にカメラの操作方法はゲームに慣れてきてから、再度設定するといいだろう。
ゲーム難易度は、「CLASSIC」がコマンド操作のみで簡単に操作できるスタイルで、「たたかう」はオート操作になる。難易度はEASYと同じ。「EASY」はボタン操作で「たたかう」を行う。戦闘中にキャラの移動などもできるので、最初は少々忙しい。体験版で慣れておきたい。「NOMARL」は敵も強くなるなど、より手強い設定になる。特に中ボスがしぶとくなる。
ゲームがスタートすると、オープニングのムービーが始まる。暗闇の中にいくつもの淡い緑の光が浮かび、宇宙空間のようにも思える。それが次第に周囲が見えてきて、街の中の暗い路地であることがわかる。このあたりの暗闇から次第に路地の様子が見えてくる感じはまさに映画の導入のようだが、HDR表示だと陰影の変化がよりはっきりと出てくる。
路地にいたエアリスは何者かの足音に気付いて、その場を離れて街の雑踏に進む。街中に入ると音場空間が大きく広がっていく様子もなかなかのもの。カメラは次第に遠ざかり、壱番魔晄炉などを映しながら、ミッドガル全体を映していく。ここでタイトル。
基本的な映像の流れはオリジナル版のまま。しかし、グラフィックの質は大幅に良くなっており、より精密にミッドガルの街の様子を描いていく。よくよく見ていくとあちこちの道路で車が走っているなど、街が生きている様子が描かれているのがわかる。オリジナル版でもこの導入の映像には圧倒されたが、そのときの感激が蘇るようだ。
タイトルが消えると、街の全景と疾走する列車の映像が交差する。列車の上にはクラウドの姿もある。列車が駅にたどり着くと、クラウドがプラットフォームに降り立つ。見事なスーパーヒーロー着地だ。膝を痛めそう。アバランチの面々と合流するやいなや、神羅兵が姿を現し、プレイ画面に移行する。
リアルタイムレンダリングのムービーからプレイ画面への切り替わりだが、カットが連続することもあり、ムービーそのままの画面でキャラクターを操作できることに驚く。詳しく見れば、描画の品質に多少の差があるかもしれないが、まるで見分けが付かなかった。言うまでもなく、フィールド移動とバトル場面の切り替えもない。まったくのシームレスな展開だ。
あまりにも違和感なくプレイ画面とムービー画面が続くので、戸惑ってしまうほど。シームレスバトルやプレイ画面での描画品質の高さは最新ゲームならば決して珍しいものではないが、カット割りや切り替わりがよく工夫されていて、まさに映画をプレイしているような感覚になる。しかも、プレイしているキャラクターは我が青春の幻影であるクラウドだ。ついつい夢中になってプレイしてしまう。
体験版の内容は、本編でもチュートリアルに当たる部分なので、決して難解な謎解きなどがあるわけではない。だが、「FF VII REMAKE」でアクション性を高めた操作になっていることもあり、新要素を含めた解説も親切だ。
それにしても、駅から壱番魔晄炉へのルート、壱番魔晄炉内部などがしっかり作り込まれており、自由自在に歩き回れるのは感激だ。駅の中には神羅カンパニーの広告があるし、自動販売機も細かく作り込まれている。自分は今ミッドガルの中に居る。そんな感覚がしっかりと味わえる。
4月10日の発売がますます楽しみになる! HDR設定など準備を整えて発売を待とう
グラフィックだけでなく、サラウンドの音響やアレンジされた音楽もなかなか良い。オリジナルを尊重しつつ、まったく新しい物語として楽しめると思う。個人的にも期待を裏切らない出来で、文句なしで購入を決めた。この先の展開を思うと、胸がワクワクしてたまらない。
この春は、このほかに「バイオハザード RE:3」の発売も4月3日で、新春シーズンがとても忙しくなりそう。こちらもHDR対応になると思われるので、どちらも楽しみにしている人はぜひともHDR対応の4Kテレビの導入を検討してほしい。
また、自宅の薄型テレビが4Kかどうかも知らないという人は、この機会に自宅のテレビを確認してみよう。お父さんがこっそり4Kテレビに買い換えているかもしれない。どちらも往年の名作のリメイクだけに、お父さんやお母さんの方が盛り上がるタイトルなので、これを機会に4Kテレビの買い換えを提案してみてもいいだろう。いずれにしても、最新のゲームは、最新の4Kテレビならばもっと楽しめる。まだ時間はある。準備をしっかり整えて、冒険の旅に出よう。