エンタメGO

へやキャン△、恋する小惑星、ランウェイで笑って。良曲&良音アニソンを楽しむ

偶然だろうか。1月期は、筆者が視聴していたTVアニメのハイレゾ配信率が上がったように感じる。本企画は、音楽的にも音質的にも注目のアニソンを紹介するものだが、視聴アニメ本数が毎クールほぼ同数な筆者にとって、1月クールは異様に豊作だった。

今回紹介し切れなかった楽曲としては、「推しが武道館いってくれたら死ぬ」の「Clover wish」、「とある科学の超電磁砲T」の「nameless story」などもある。また、一期はハイレゾ化していなかったが、二期でハイレゾ配信された例として、「異世界かるてっと2」の「異世界ショータイム」がある。

リスナーの数が増えれば、ハイレゾの市場もまだまだ盛り上がるはず。「ハイレゾが当たり前のアニソンライフ」を夢見て……。本稿で取り上げるのはごく一部だが、今期の注目ソングをみていこう。

なお、今回からはダウンロード配信だけでなく、ハイレゾストリーミングの「mora qualitas」と「Amazon music HD」の対応状況(記事執筆時点)を、各楽曲の末尾に添えて紹介する。

へやキャン△ 主題歌 「The Sunshower」(96kHz/24bit)

TVアニメ「ゆるキャン△」の続編であり番外編。5分枠のショートアニメ形式となり、原作は「きららベース」にて連載の同名漫画だ。アニメ本編は、第2期の制作(来年1月放送予定)も発表された。

The Sunshower/亜咲花

山梨県を舞台に野外活動サークル(野クル)に所属する女子高生たちがキャンプやアウトドアをゆるーく楽しむほのぼのアニメ。へやキャン△のアニメ版は、野クルのメンバーを中心に地元名所を巡るスタンプラリーを描いた。筆者は、完全に千明とあおいのサプライズに騙されたクチだ。早々に仕込みだと気付いても、最後まで気付いてないふりを通したなでしこの優しさに最後はキュンとなった。こんな友情、最高ではないか。

主題歌は、ゆるキャン△ OP「SHINY DAYS」でブレイクを果たした亜咲花が続投。作詞作曲は前作のEDを担当した佐々木恵梨が手掛ける。スローテンポでありながら、ゆるキャン△のOPで構築した音楽的世界観を匂わせるメロディや歌い方が嬉しい。

ハイレゾ版を聴く。オンエアではサビだけなので、フルは必聴だ。特に2番が終わって、間奏から「Sing it! Lalala…」までの大合唱が聴き所。音場の広がりが豊かで、声の厚みと迫力がある。アコースティックギターがキラキラと光る太陽の光をイメージしているようで、ハイレゾでは音の粒が細かく描かれる。ボーカルは、洋楽のような朗々とした歌声がしっかりと捉えられ、小さな笑い声からSing it!までの下りが、空気感を確かに伝える。ベースパートが相対的に大きいのが気になるところ。ただ、小型スピーカーやイヤフォンなら気にならないかと思う。

mora qualitas:Hi-res配信
Amazon music HD:CD音質配信

【e-onkyo musicで購入】

・亜咲花/ The Sunshower

恋する小惑星(アステロイド) OP主題歌「歩いていこう!」 (48kHz/24bit)

まんがタイムきららキャラットにて連載中の同名漫画のTVアニメ。きらら作品と油断していたら、リアルな青春ストーリーと、次々繰り出される地質・天文の雑学にすっかり魅了されていた。「宙のまにまに」や「planetarian」といったリアルな星空描写の作品では定番となったアストロアーツ/星ナビが制作に協力している。

歩いていこう!/東山奈央

幼い頃、キャンプ場で同年代の見知らぬ男の子と「小惑星を見つけよう」と約束した主人公は、高校の部活動でその約束の相手と再会。実は女の子だったという期待通り(?)の展開を見せつつも、百合的な描写はほぼ見られず、あくまで友情青春ストーリーとして楽しめた。好きなことに夢中になるということ、それは無限の好奇心や探究心となって身体を突き動かすものだ。少年時代の純粋な気持ちを思い出し、心洗われるようだった。1クールの中で年度が変わり、先輩が卒業してしまうという展開には驚いたが、主人公たちの成長が丁寧に描かれており、別れと出会いの大切さにも気付かせる秀逸な作りに感心した。

OPは、桜先輩として自身も出演する東山奈央が担当。作詞作曲は川嶋あい。編曲は、本作の劇伴も手掛ける伊賀拓郎。東山の伸びやかで丸みを帯びた歌声がとても耳に心地良い。ハイレゾ版は、48kHz制作のため楽器音の実在感に物足りなさはあるものの、ピアノやドラムにおける低域の密度感、音の厚み、バイオリンの伸びやかさや倍音の自然な響きはCDを上回る。

44.1kHzに変換する前のオリジナルレートは、楽器のディテールもより自然かつ緻密に再現されているのでよく聴いてみてほしい。ピアノとバイオリンは左右に定位して似たフレーズを奏でているのだが、まるで主人公の“みら”と約束の子である“あお”の二人をイメージしているように思えた。伊賀氏の編曲は、いつも筆者の心を打ち抜いてくる。ぜひ、ハイレゾ版でその隅々まで味わってもらいたい。

mora qualitas:CD音質配信
Amazon music HD:CD音質配信

【e-onkyo musicで購入】
・東山奈央/ TVアニメ「恋する小惑星(アステロイド)」オープニングテーマ 歩いていこう!

ランウェイで笑って ED主題歌「Ray of Light」(96kHz/24bit)

ファッションデザイナー志望の主人公育人と、パリコレ出演の夢を抱く新人モデル 千雪の成長と奮闘を描いた作品。少年誌(週刊少年マガジン)で連載されているだけあって、努力や挫折、友情といった要素が描かれた熱い王道展開が魅力だ。ファッションを扱った作品なのに、ファッションに興味がなくても十分楽しめる工夫が懲らされている。実家の経済的な事情から夢を諦めかけている育人。パリに行っても1mすら歩かせてもらえず、失意の帰国をした千雪。しかし、決して諦めず、また前を向いて歩いていく彼らに、王道とは分かっていても視聴者はエネルギーをもらったのではないか。努力が必ず報われるとは思えないけれど、努力した先にしか見えないものはきっとある。そんなことを考えた。

Ray of Light/ジェジュン

ED主題歌は、ジェジュンが歌唱。現在は、日本に個人事務所も構えるジェジュンは、これが初のアニメタイアップとなるようだ。夢を追うすべての人に捧げるメッセージを、壮大なバラードに乗せて圧倒的な歌唱力で歌い上げている。日頃、日本語の勉強にも熱心という彼の歌うJ-POPは、日本語のニュアンスを確かに表現している。本当に見事である。

ハイレゾを聴く。ボーカルのリバーブは少し大仰でちょっと驚いたが、ミックスはレンジが広く(特に奥行き)、音圧は躍動感を残しており、ドラマティックな楽曲展開を感じられた。Bメロの中低域の厚みと迫力も聴き所だ。ギターのミックス処理は極力ナチュラルに仕上げている印象で、高域の嫌な強調もなく聞きやすい。ジェジュンのボーカルは、ブレスを多めに残して(処理を控え)、それが歌に込めた熱を感じさせてくれるのだが、ハイレゾでは声の説得力が数段上だ。いわゆる耳元で聴くと、ゾクゾクするタイプのボーカルといえよう。全体的に好印象のミックスだけに、ストリングスが打ち込みなのは惜しい。アルバム収録でリメイクされないか、贅沢な期待をしてしまうほどだった。

mora qualitas:配信なし
Amazon music HD:CD音質配信

【e-onkyo musicで購入】

・ジェジュン/ Ray of Light

数千円の出費で再生環境を改善、新たな楽しみも

アニソンとは直接関係ないが、オーディオに関する小話として、筆者のシステム環境の更新を紹介したい。筆者は、メインのシステムをネットワークオーディオで構築している。ネットワークプレーヤーをデジタルトランスポートとして使用し、NAS内のハイレゾ音源を参照・再生するシンプルな構成だ。PCを使わないハイレゾ鑑賞方法として、実践している方も多いかと思う。

ただ、このネットワークオーディオ、ノイズ対策がとても重要になってくる。筆者は、無線ルーターにNASとネットワークプレーヤーを接続せずに、いったんLANハブを介して接続している。これはノイズ対策として代表的な手法だ。使用していたのは、無線機能をOFFにしたLANハブ代わりの無線ルーター「WZR-300HP」。

今回、ギガビット対応のLANハブに交換することになり、TP-Linkの「TL-SG505」を導入。結果は、DACを買い換えたかのような激変となり正直面食らった。音像が大幅にクリアになり、定位感も改善、音場の背景も静かになった。地に足が付いた実在感のある楽器音に驚いた。LANハブ代わりのルーターは、無線機能をOFFにしたとは言え、余計な機能に起因したノイズの悪影響が出ていたのだろう。また、プラスチック筐体は振動に弱く、外来ノイズも飛び込み放題だった。金属筐体の恩恵は大きかったとみえる。ネットワークオーディオは、数千円の出費で音質が大きく変化する、非常に面白い世界といえるだろう。

TP-LinkのスイッチングハブTL-SG505」を導入

既存のネットワーク機器に、ノイズ対策や振動対策などのオーディオアクセサリを組み合わせることで、さらに音質をブラッシュアップできるのも奥深い。筆者は、電源ノイズ対策にPetitSusie、筐体の共振対策にQR-8を使用。TL-SG505のネックだった高域を中心とした刺激成分の除去、金属筐体特有の無機質感を改善することができた。ネットワークオーディオでアニソンを聴いている方には、まだまだ興味深い世界が広がっているとお伝えしたい。

「音源本来の音をまだ聴いていないかもしれない」

この終点の無い探求こそが貴方の音を変える原動力になるのだ。


    【使用機材】
  • NAS「Soundgenic RAHF-S1」SSD 1TB (アイ・オー・データ機器)
  • ユニバーサルプレーヤー(ネットワーク再生)「BDP-103DJP」(OPPO Digital Japan)
  • AVアンプ「AVR-X6300H」(デノン)
  • スピーカー「RUBICON2」(DALI)

橋爪 徹

オーディオライター。ハイレゾ音楽制作ユニット、Beagle Kickのプロデュース担当。Webラジオなどの現場で音響エンジニアとして長年音作りに関わってきた経歴を持つ。聴き手と作り手、その両方の立場からオーディオを見つめ世に発信している。Beagle Kick公式サイト