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この冬聴きたい新作アニソン。10月期アニメと注目の楽曲はコレ!
2019年12月27日 09:00
夜になると急激に冷え込むことも増えてきた。寒い日は家に籠もってアニメ・ゲーム三昧が最高だ。そして、心をホットにする最新のアニソンも外せない。今期“熱くなれる”アニソンをセレクトした。歌詞にメロディ、アレンジ、そして音の良さも重要。本企画は、音楽的にも音質的にも注目のアニソンを紹介するもの。早速、今期の注目ソングをみていこう。
Dr.STONE 第2クールED主題歌「夢のような」(96kHz/24bit)
原作未読の筆者にとって、地球上の人類全員が謎の石化現象で石になり文明が滅びるという一話の展開は衝撃だった。週刊少年ジャンプで連載中の同名コミックスを2クールでTVアニメ化した、早くも第2期が決定した人気作だ。石化を免れた主人公の父親が宇宙ステーションから地球に帰還、約3,700年後に復活した千空が訪れる村の創始者になっていたという設定は鳥肌ものだった。千空が科学の力で石神村の人々の生活を豊かにしていく様は痛快で、文明社会で暮らす我々が先人たちの研究の偉大さに気付けるようになっている。
EDは、弱虫ペダルの主題歌などで活躍するシンガーソングライターの佐伯ユウスケ。ハイレゾ版は、打ち込みトラックの鮮明な音像描写と、ボーカルの吐息感のある生っぽさが聴き所。コーラスの広がりや厚みは、適度にまとめられていて、ダンス系のビートと調和している。キーボードは、音像のディテールに立体感があることに気付かされた。圧縮音源では、音階の変化や電子楽器であることまでは分かるが、音像自体に奥行き感があることまではなかなか伝わり難い。これもスタジオマスターの魅力といえよう。
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・佐伯ユウスケ/ 夢のような
俺を好きなのはお前だけかよ OP主題歌「パパパ」(96kHz/24bit)
電撃文庫より刊行中のライトノベル原作によるTVアニメ。主人公のジョーロこと如月雨露(きさらぎ あまつゆ)は、ラノベ主人公なのに自分への好意に敏感で、思春期の男の子らしいゲスさも併せ持つ、斬新なキャラクターで好感を持った。何かとトラブルに巻き込まれる性分はラノベの定番として、悪態を付きつつも仲間のことを思い、解決に奔走する様は主人公らしい。恋愛関係や友情のもつれから、一時は決裂寸前になった面々がようやっと和解し、今では和気藹々(?)のようで何よりだ。人をもう一度信じられるようになる、つまり人間関係の修復とは、殺伐とした現代を生きる我々にとってそれ自体がもはや癒やしなのかもしれない。
OP主題歌は、自身もサザンカ役で出演する声優の斉藤朱夏。ラブライブ! サンシャイン!!のAqoursとして活躍し、ミニアルバム「くつひも」を今年8月にリリースした斉藤は1stシングルをアニメ主題歌で飾った。作詞作曲はTrySailなどにも楽曲を提供しているハヤシケイ。編曲はPENGUIN RESEARCHでベーシスト&コンポーザーとしても活動する堀江晶太。最初の「パパパ…♪」のコーラスソロでもう幸せになれる。耳をくすぐるリアルな音に悶え苦しむこと必至。
本楽曲は、分離がとても優秀だ。音数が多く、バンドセクションに多数のブラス隊まで加わっているが、前後のレンジを巧く活用したミックスで混濁感を排除。ボーカルのオケへの埋もれも無い。センターにクッキリと定位したかわいらしいボーカルに集中できる。ベースとドラムのキレは心地よく、ブラスの豊かな空気感はハッピーな曲調をさらにハッピーに変えてくれる。ドラムは手数多めの見事なドラミングだが、サウンドメイキングも秀逸。音像が肉厚でタムの音も存在感が大きいのに、きちんと他パートと分離していて聴きづらくない。このクオリティはハイレゾ版で100%味わって欲しい。
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・斉藤朱夏/ パパパ
アフリカのサラリーマン OP主題歌「Soul Flag」(96kHz/24bit)
ジーンピクシブにて連載の同名コミックのTVアニメ。アニメーション制作はHOTZIPANG。日本的社会で社畜生活を送るアフリカの動物たちを描いたコメディ。世知辛いサラリーマン生活をありのままに我が儘に突破するアニマルたちに意外にもパワーをもらえる。コンプライアンスのかけらもないキャラクターたちの掛け合いに腹筋崩壊必至だ。後輩社員であるオオハシは、真に救いようのないクズ社員ながら、どこか愛らしさも兼ね備える憎めないキャラ。周りを固める社畜たちも癖のあるキャラばかり。何をやっている会社なのか未だに分からないが、なぜ倒産しないのかは一番の謎だ。
OPテーマは、オオハシ役で見事な怪演を披露する下野紘が担当。作編曲はPOPSへの楽曲提供から、劇伴作曲、ギター・ベースの演奏まで幅広く手掛ける高橋諒。
これは優秀なハイレゾアニソンだ! 躍動感、セッションの臨場感、アフリカン、ともに満点。ドラムとベースの一体感、ギターのディテールの細かさも手伝って、ライブのようなグルーブを味わえる。ダイナミクスはバンドサウンドのアニソンとしては、かなり広めに取られている。ミックス・マスタリングにおいて、生楽器の質感をしっかり残しているようで、ハイレゾではその本物らしさをより堪能できる。
特にボーカルの仕上がりは注目ポイント。一聴して、低域が大幅にカットされていて輪郭の細い音像ながら、ボーカルがオケに埋もれず聴き取りやすい。センター定位は明瞭だし、コンプの効きも浅めで生々しい下野の声が楽しめる。周波数帯域ごとの整理も見事だ。特に中低域はドラムとギターの音が終始せわしなく鳴っているのにケンカしていないので、ピュアオーディオで鳴らしてもダブ付きなく気持ちよく聞ける。ドラムのレンジが広く奥にも手前にも立体的に広がって楽しめる。テレビで聴いてもいいが、ハイレゾで聴くともっと元気が出るナンバーだ。
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・下野紘/ Soul Flag
筆者からの要望「ハイレゾ版にもクレジットを付けてほしい」
これを改めて思ったのは12月のある日。自身の音楽ユニットBeagle Kickで長年お世話になってきたドラマーの方がこの世を去った。筆者は、いつしか彼のドラミングが大好きになり、アニソンのクレジットに彼の名前があると胸が高鳴って、聴く頻度がさらに上がったものだ。
CDを買うと、ミュージシャンやエンジニアのスタッフクレジットは見ることができる。しかし、配信はそれが当たり前になっていない。ハイレゾに至っては、楽曲紹介文の欄があるにも関わらずだ。例えばe-onkyo musicは楽曲購入ページで「Credit」のタブを見ると、音楽ジャンルや曲によってはミュージシャン名が書いてあるものもあるが、アニソンには少ないようだ。サイト上だけでなく、ダウンロードなど購入したときにも、ミュージシャンやエンジニアのクレジットが手元にあるとうれしいし、曲への愛着も増すのではないだろうか。
歌詞は掲載するとそこに著作権料が発生するため難しいかもしれないが、ミュージシャンやエンジニアのクレジットはやろうと思えばできるはずだ。音楽は人間たちが作っている。「あの演奏いいな」、「このミックスいいな」と気付いたとき、人で作品を追えるのは一つの楽しみ方だし、ゆくゆくは作り手へのリスペクトにも繋がる。ほんの一手間加えるだけで、作品をもっと好きになることができると思う。
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