- 浜崎あゆみのUSBアルバム「NEXT LEVEL」の中身って?
-発売から1カ月経ったけど、購入してみた
10周年記念のロゴを象った金属製の筐体 |
浜崎あゆみの新作アルバム「NEXT LEVEL」が、USBメモリでも3月25日に発売されるというニュースが流れたのは2月だった。それも、楽曲はMP3で収録され、PVも収録するという。「CCCDを推し進めてきた、あのエイベックスがMP3とは!」と驚いた人も多かったようだ。ちなみに、USBメモリの音楽商品を一般のCD販売店で販売するのは日本初という。
2月の時点では、まだ不明な点も多く、本当にコピー可能なのかなど興味津々だった。発売されたら入手して中身を確認してみようと思っていたのだが、かなり人気が高いようで、予約すらできない状態。そんなこんなで、結局3月25日の発売日に入手することができず、その後はすっかり熱も冷めて、忘却のかなたに……。
それが最近になって、Amazonなどでも売られていることを発見。調べてみると、「大好評につき“アンコールプレス”」ということで、4月3日に再発売されていたことがわかった。内容や価格などは同じだが、ケースが初回盤はイエローだが、アンコールプレス盤は透明ケース仕様となっている。
ということで、中身がどうなっているのかわからないままなのも、気持ちが悪いので定価の6,800円で購入してみた。初回盤の発売から1カ月が経過しているのだが、あまり中身を紹介しているところも見かけないので、
その中身をお伝えしたい。
内容物はUSBメモリ、ボールチェーン、説明書1枚のみ |
USBメモリということで、ケースも特別なデザインかと思ったのだが、少し厚めのジュエルケースに、ウレタンにUSBメモリを埋め込む形で外から見える形で収納されている。USBメモリもそんなに大きくなく、幅6cm程度。ただ、重量は36gあり、ずっしりとはいかないまでも、重量感はある。ボールチェーンも付属しているので、キーフォルダのような使い方もできる。
すべてはUSBメモリに入っているということで、内容物はUSBメモリ、ボールチェーン、説明書1枚のみで、歌詞カードなども入っていない。なお、帯には「本商品はPC向け商品ですので、PCをお持ちでない方はお楽しみいただけません」との注意書きがある。
また、なぜかファイル暗号化ソフト「USBENC-EX(ユーエスビーエンクイーエックス)」のラインセンスが添付されていたりする。それも、USBメモリ内に格納されているわけではなく、説明書にIDとパスワードが記載されており、ダウンロードして使用するようになっている。ちなみに、Macintoshには対応していない。
羽根の部分をはずすとUSB端子が現れる | 手のひらサイズ | 重量は36g |
背面 |
「REMOVABLE」領域は1.49GBあり、通常のUSBメモリとして利用できるので、カッコイイUSBメモリとしての使用も可能だ。
Quicktimeといったプレーヤーなどのアプリケーションも入っていて、パソコンに装着するとランチャのようなものが自動起動するだろと予想していたのだが、その予想は裏切られ、本当にデータのみしか入っていない。パソコンに慣れている人は、この方がすっきりしていていいかもしれないが、パソコンに不慣れだと、どうやったらいいか迷ってしまうかもしれない。
「NEXT LEVEL」のルート |
「MUSIC」フォルダには、320kbpsのMP3で14曲(ファイル)入っている。もちろん、コピー制限はかかっていないので、好きなファイル形式に変換したり、CD化したりすることも簡単だ。
「VIDEO」フォルダには、6曲のPVが拡張子「m4v」で収録されている。ビットレートは約1.6Mbps。映像は640×480ドット/29.97fpsを、H.264で収録。音声はAAC(16bit/44.1kHz)で、ビットレート128kbpsとなっている。さすがに、ビットレートがそれほど高くないので、圧縮ノイズが見受けられるシーンも多い。もちろん低画質というわけではないが、今の基準だとパソコンで見る場合は高画質とはいえない。
驚くことに、ビデオファイルに関しても特にコピー制限が設定されていない、ごくごく普通の動画ファイルになっている。実際に、GOM Encoderで試したところ、簡単にほかの形式に変換できた。画質的には不満が残るかもしれないが、DVDビデオ化するのも簡単だ。
「MUSIC」フォルダ | 「VIDEO」フォルダ | 「BOOKLET」フォルダ |
【MP3収録曲】
| 【PV収録曲】
|
ということで、すべてのファイルが本当にコピー制限のかかっていない、一般的なファイル形式で収録されていたことが確認できた。ただし、音楽ファイルや、映像ファイルは、CDとDVDに比べると音質や画質が劣ることは確か。それに、CD+DVD版(3,990円)のDVDには、USBメモリ版の倍の12曲を収録している。
純粋に音楽と映像を楽しみたいだけであれば、CD+DVD版を購入した方がお得だろう。USBメモリ版には、CDをリッピングする手間と、映像ファイルが自由に扱えるというメリットもあるが、結局のところ、10周年のロゴを金属製の筐体にあしらったデザインのUSBメモリに価値を見出せるかが選択基準になるのだろう。
トライアルとしては完全コピーフリーという意味で、日本の音楽業界にとってかなり面白い試みであることは間違いない。ただパソコン用のファイルとして販売するということは、民生用機器のフォーマットにとらわれずにすむというメリットもあるはず。小室哲哉氏をエグゼクティブ・アドバイザーに迎えた「High Definition Sound with TK」プロジェクトで、CDを超えるフォーマットでの配信を先進的に取り入れたエイベックスだからこそ、今後は既存の媒体を超えるフォーマットでの展開を期待したい。