プレイバック2015

“積みヘッドフォン”発生!? HD 800/SE-MASTER1/AK T1p……乱れ買いの1年 by 野村ケンジ

 気がついたら2015年もあっという間に年の瀬となり、いつのまにやら(自分の心の中では!?)恒例となりつつある“1年間を振り返って自分のダメっぷりを大反省する記事”を書かねばならない誠に心苦しい時期となった。

 というわけで、ざっとこの1年を振り返ってみたのだが、とにもかくにも、ポータブルオーディオ系の盛り上がりっぷりについては、半端なかった、という表現が的確なくらい、活況の様子を呈していた。

 中でも最大の注目となったのがハイレゾ対応のデジタルオーディオプレーヤー(DAP)で、こちらは定番2社に加え、オンキヨー&パイオニアの新製品が満を持して登場。同時に、韓国系、中国系の新ブランドの日本デビューも相次ぐなど、まさに群雄割拠の様相“ハイレゾDAP戦国時代”といっていい状況となりつつある。

 あまりに数がそろいすぎて、どれを選ぶのがよいか大いに迷ってしまうところだが、とはいえ、幅広い価格帯と様々な個性を持つ製品が取りそろうことはありがたいかぎり。いちポータブルオーディオファンとしては、悩ましくも嬉しい1年となった。

ヘッドフォンをやたらゲットした2015年

 一方で、個人的に注目だったのがヘッドフォン系の充実だ。ここ数年は、本来の手軽さに加えて着実な音質向上を果たしているカナル型イヤフォンの方に注目が集まりがちで、それに比べると、バンドタイプのヘッドフォンはやや地味な印象になってしまっていたが(魅力的な製品はいくつも登場していたのだけどね!)、今年はハイエンドからミドルクラスにかけて意欲的な新製品が次々登場。結果として、例年まれに見る盛り上がりを見せることとなった。

 元来のヘッドフォン好きである筆者としては、これを逃す手はない。ということで、今年はポータブルオーディオ製品のなかでも、ヘッドフォンをやたらゲットすることとなった。

 ここで、苦しいながらも言い訳をさせてもらえれば、初めからここまで“ヘッドフォンの当たり年”と分かっていれば、もう少し冷静かつ客観的な購入計画が行なえたはずなのだ……たぶん。まさか、2015年がこんな状況になるとは夢にも思っていなかったので、年始から春にかけて、いきなり買い逃していた製品の再検討を始めてしまったのだ。

 まず、ゼンハイザーのフラッグシップモデル「HD800」は、いつか手に入れなければなるまい、という妙な使命感を持っていたこともあり、まずはこちらを入手。

ゼンハイザーの「HD800」。フラッグシップとしては「HD800 S」も発表はされているが、まだ登場していない

 続いて、昨年の発売以来高い人気を保ち続けているオンイヤーヘッドフォン、オーディオテクニカ「ATH-MSR7」も導入。さらに、春先にはULTRASONEの「Edition8」を改めて聴く機会があり、こちらはケーブルでかなり印象が変わることを発見。好みの音に仕上げられるかも、と思い直してこちらもゲットした。

ULTRASONEの「Edition8」
オーディオテクニカ「ATH-MSR7」

 なお、ULTRASONEに関しては、4月から放送がスタートした東京都江東区のコミュニティFM、レインボータウンFM HAPPY-GO-LUCKY「みさとんのrainbow time☆」内の5分コーナー「野村ケンジのなるほどハイレゾ」のスポンサーを名乗り出てくれたこともあって、「Go」なども後に入手している。

 さて、春過ぎからヘッドフォンの発売ラッシュがスタートする。まずは平面振動板を搭載しながらも密閉型ハウジングを持つ、ポータブルユースを主眼に据えたOPPO「PM-3」の良質さにやられて思わずゲット。

OPPO「PM-3」

 続いて、パイオニアから超弩級のフラッグシップヘッドフォン「SE-MASTER1」が登場。これはさすがに持っていないと、と思い、純正オプションのバランスケーブルとともにゲットした。XLR 3ピン×2のヘッドフォンアンプ持っていないのに……。

パイオニアのフラッグシップヘッドフォン「SE-MASTER1」

 ここまで来ると、感覚がだいぶ麻痺してしまったのか、もう止まらない。ニューヨーク生まれのデザイン優先ヘッドフォン、のフリして実は音質的にもかなりの実力派であるMaster & Dynamic「MH40」の素敵さにやられ、ケンウッドブランドとしては久々の高級ヘッドフォン「KH-KZ3000」のケンウッドらしい明瞭快活なサウンドに思わずノスタルジーを感じ(以前同ブランド製のカーオーディオ&高級CDレシーバーを使っていたので)、平面振動板搭載モデルの定番であるフォステクス「T50RP」の大きな進化に感動してそれぞれゲット。

Master & Dynamic「MH40」
ケンウッド「KH-KZ3000」
フォステクス「T50RP」

 さらには、取材で立ち寄った某ポータブルオーディオ専門店で、購入の機会を逃していたAKG「K550」とMarshallの「MAJOR」が超セール中だったためほとんど脊髄反射的に購入してしまう始末である。

AKG「K550」とMarshall「MAJOR」

 トドメは、年末のbeyerdynamic祭りだ。AKGやゼンハイザーなど、メジャーブランドのハイエンドモデルはほとんど揃っているのに、beyerdynamicだけは持っていないのはまずかろう、というよく分からない論理に基づき、「T1 2nd」にするか「AK T1p」にするか迷ったあげく、「AK T1p」をチョイスした。

AK T1p

 いったい幾つ持っているんだ、そんなにあっても聴けないだろう、と言われるかもしれないが、まさしくその通り。仕事柄、大半のものはちょくちょく使っているものの、AKG「K550」やMarshall「MAJOR」など“趣味全開”のヘッドフォンについては未開封のまま、積み本、積みゲーならぬ“積みヘッドフォン”状態になっている。いやぁ、何事もほどほどが大切ということで。この反省を来年に活かすべく、さらなる精進を重ねていきたいと思う。

野村ケンジ