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CEATEC JAPAN 2004 講演レポート 【ブルーレイ編】
将来的には7層記録や6倍速記録も予定
-BD関連各社代表が「Blu-ray Discのすべてを語る」


10月6日開催

会場:幕張メッセ


 映像、情報、通信の総合展示会「CEATEC JAPAN 2004」が5日、千葉県・幕張メッセで開幕した。2日目となる6日には、ブルーレイディスク関連のパネルディスカッション「Blu-ray Discのすべてを語る」が開催され、関連各社の代表によるブルーレイディスクの紹介やパネルディスカッションが行なわれた。


シャープ 高橋明氏

 シャープ株式会社 技術本部 デバイス技術研究所の高橋明 副所長は、「最近BDへの関心の高まりを感じている」と切り出し、その理由を「光ディスクの将来がどうなるのか関心が高いが、先が見えていない不透明感があるため」と分析。

 「ディスカッションが終わったあとには視界がクリアになって、見通しがよくなるよう期待している」と述べ、BDの概略を解説した。



TDK 飯崎一衛氏

 続いてTDK株式会社 レコーディングメディア&ソリューションビジネス・グループ 開発企画グループ部長の飯崎一衛氏がBDのロードマップを解説し、書換型のBD-RE Ver.2.0や追記型BD-R Ver.1.0では2倍速をサポートすることなどに言及。さらに、BD-RE/Rで導入されるベアディスクについて紹介した。

 「従来はエラーが生じるためカートリッジを採用していたが、ベアディスクはCDから始まって、光ディスクの一般的な形として親しまれている」と述べ、ベアディスク化にあたり、導入されたTDKのハードコート技術などを解説した。



ソニー 小川博司氏

 その後、ソニー株式会社ホームエレクトロニクスネットワークカンパニー ホームエレクトロニクス開発本部 オプティカルシステム開発部門 副部門長の小川博司氏が登壇し、ブルーレイディスクの物理層の今後について解説した。

 「物理フォーマットはCD/DVDの良いところ取りを良いところ取りを実現した」とし、DVD-R/RWやDVD+R/RWから踏襲したウォブルアドレスやMO、DVD-RAMから引き継いだ「Block間Gap」などに言及。「DVDの世代では、DVD-RW/RAM/+RW分かれたが、ブルーレイではDVDで3つのフォーマットにしてしまった“三悪人”が揃ったので、すんなりと決まった」と述べ、会場の笑いを誘った。

 また、「CDの規格化時に、大賀(ソニー元会長)は“25年持つフォーマットを作れ”といった。逆算すると2007年でCDは何とか達成できそうだ。技術の進歩の激しい今、25年というのは厳しいが、それぐらいの余裕を持たせたフォーマットにするためにできることを詰め込んでいる」と述べ、将来性という点で、HD DVDと比較して大きなアドバンテージがあることを示唆した。

 当面2倍速で商品化を行なうが、今後のロードマップとして「数年後には6倍速/216Mbps程度までは高速化が見込める」とし、「放送用途などでも十分利用できるフォーマットにしたい」という。さらに、現在2層記録/50GBが最大容量となっているが、「数年後には多層化も見込んでいる」とし、7層ぐらいまでは拡張できる可能性があるという。



松下電器 小塚雅之氏

 続いて、松下電器産業株式会社 Panasonic AVC Networks社ネットワーク事業グループ 技術戦略担当参事の小塚雅之氏がアプリケーションフォーマットについて解説。まず、「ハードがなければ、ソフトはできない」とHD DVDを牽制するコメントから切り出し、「“どこでもかかる”再生環境が重要。BDは13社だけでなく多くのパートナーがおり、プレイステーション 3でも搭載する。メディア関係の会社もも多く安心して10年以上使えるフォーマットだ」とブルーレイの優位性を強調した。

 さらに、MPEG-4 AVC(H.264)のHigh ProfileやVC-1などのコーデックサポートについても言及し、特に「MPEG-4 AVCのHigh Profileはハリウッド関係者からも高い評価を受けている」という。また、AES 128bit暗号やROMマークによるデッドコピーの防止機能、PC-ドライブ間のバス暗号処理(認証処理)などの機能も紹介され、強力な著作権保護機能を有していることをアピールした。

 BD-ROMのアプリケーション規格については、基本プロファイルと拡張プロファイルがあり、基本プロファイルでは、HD映像再生に加え、ポップアップメニューや動的なグラフィック表示などが盛り込まれ、DVDとの差別化を行なう予定。また、拡張プロファイルではJAVAを利用したゲームやインターネットを利用した機能なども搭載するという。

 小塚氏は実際にデモを行ない、JAVAを利用したゲーム機能やインターネット経由での字幕ダウンロードなどが紹介された。



麻倉怜士氏

 最後に、デジタルメディア評論家の麻倉怜士氏が、ブルーレイレコーダユーザーの立場から提案を行なった。麻倉氏は、「“HiVison Lover”として、ハイビジョンを普及させるのが、自分の使命」と切り出し、年初にNHKで放送されたウイーン・フィルのニューイヤーコンサートなどを例に引き、「ブルーレイディスクならば感動ハイビジョンを自分のものにできる」と熱弁を振るった。

 さらに、ソニー「BDZ-S77」と松下電器「DIGA DMR-E700BD」や、ソニーのQUALIA 04で視聴するハイビジョン体験を例に引き、「ハイビジョン・エアチェックは究極のエンターテインメント文化。ハイビジョン映像をそのままストリーム記録できるブルーレイディスクは最高に幸せなメディアだ」とハイビジョンの魅力を語った。

 しかし、同時にデジタル放送に伴うコピーワンスの弊害についても「エアチェック文化の破壊者」と強い調子で非難。「特に多数の番組から、好きな番組/シーンを組み合わせて、自分好みのコンピレーション、例えば松嶋菜々子や、“あやや”のコンピレーションが作れないというのが最大の不満。画質があがるとユーザーに手枷足枷、というのはおかしい。世代制御のコピーワンスは10年前の古いDRMだ。ハイビジョン文化を健全に発展させるためにもユーザーを大事にするDRMが必要だ」と提言した。


パネルディスカッションの模様

 最後に登壇者が集まり、パネルディスカッションが行なわれた。ディスカッションは主に麻倉氏の質問に各登壇者が答える形式で行なわれ、麻倉氏は「今日はHD DVD側に立って質問します」と切り出し、笑いを誘った。

 2層ディスクが7,500円もするなどメディア非常に高価だが? との問いには「たしかに、まだ歩留まりも悪く生産規模も大きくない。ディスクメーカーとしてはまだ“生産”という段階に至っていない。しかし、CDからDVDの立ち上げの時も“高い”といわれた。高度な技術だが、DVDがCD並みになったように解決可能だ(TDK 飯崎氏)」とする。

 HD DVDはメディアの安さをポイントにしているが? との問いには「大量に量産する僅差になる」としたほか、「技術的には今後10年のマージンがある(ソニー小川氏)」という。

 カムコーダ向けの8cmメディアなどの展開については、「検討している、8cmメディアで1層/8GB容量を実現できる(シャープ 高橋氏)」という。また、カムコーダに実装された際には「現在のDVDではディスクの回転数が要因となり、ブレが発生することがあるが、BDでは密度が高いため回転数を抑えられる。ブレも減少するのでは(ソニー小川氏)」とのコメントも聞かれた。

 また、ハリウッドとの強力については、「メジャー7社のうち、SPE/MGM/FOXのサポートが見込まれる。タイトルベースでは現在のシェアで46.1%となる(松下 小塚氏)」と述べ、HD DVDとの競合については、「ハリウッド各社とも製造コストよりもインストールベースがいかにに増えるかということに注目していると思う」と製品が既に発売されているBDの優位を強調した。

□CEATEC JAPAN 2004のホームページ
http://www.ceatec.com/
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(2004年10月6日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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