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KDDIと地デジラジオ6局、放送と通信に関する共同実験
-地デジラジオでQRコードを送信、1セグで動画放送も


KDDIと首都圏の地上デジタルラジオ局6社が共同会見を行なった

11月11発表


 KDDI株式会社と、地上デジタルラジオで1セグメント放送を予定している首都圏のラジオ局6社は11日、地上デジタルラジオにおける放送と通信の連携サービスについて、共同で検討および実証実験を実施すると発表した。参加したラジオ局は横浜エフエム放送TBSラジオ&コミュニケーションズエフエムナックファイブ文化放送ベイエフエム日経ラジオ社の6社。

東京における地上デジタルラジオのセグメント構成

 KDDIはこれまで、地上デジタルラジオに関してエフエム東京やニッポン放送、JFNC(ジャパンエフエムネットワーク)が共同運営する「Digital Radio 98 The Voice」と共同で様々なサービスの実証実験を実施。PDAタイプの試作機を利用し、H.264フォーマットの動画を受信・再生するなどのデモも行なってきた

 今回共同で検討、実験を実施するのは、Digital Radio 98 The Voiceと同様に地上デジタルラジオに参加する放送局だが、3セグメント放送を行なうDigital Radio 98 The Voiceとは異なり、いずれも1セグメント放送を予定している。

 地上デジタルラジオはVHFの7chを8つのセグメントに分割し、東京では1セグメント放送×5、3セグメント放送×1の計6グループで放送が行なわれる。6社は1セグメントの5グループに含まれており、FM横浜、TBSラジオ&コミュニケーションズ、ベイエフエム、日経ラジオは92ch(DR@TOKYO92)、エフエムナックファイブ、文化放送、テレビ朝日は93ch(DigiQ+N93:デジキューン93)に位置する。なお、Digital Radio 98 The Voiceは3セグメント放送(98ch)にあたる。

 KDDIと6局が実施する実験は、KDDIのPDA型受信機を利用し、1セグメントで音声だけでなく、データ放送を使ったサービスや、携帯電話と組み合わせた新しい番組などを検討、実験するというもの。この研究には、オペレーションや機器障害情報などの共有化や、導入機器やサーバなどの共同購入といった項目も含まれている。

 発表会ではデータ放送を利用した新しいサービスの例として、QRコードを送信するデモが行なわれた。これはPDA型試作機のBMLブラウザ内に放送局からQRコードが送られ、表示されるというもの。番組内で紹介したショップのURLやクイズ番組の答えを組み込むことなどを想定しているという。さらに、QRコードを端末で表示したままコンサート会場のチケットの代わりに利用するなどのアイデアも紹介された。

実証実験の系統図 QRコードの利用アイデア

実験用に製作されたラジオ番組「デジタルサウンドクリップ」。約20分の番組で、QRコードを使ったクイズや、効果音のダウンロード説明などを行なう 実験に使用される端末は既に様々な場所で披露されているKDDIのPDA型試作機。主な仕様に変更はないが、内部のソフトウェアが若干バージョンアップしているという

 しかし、画面にQRコードを表示する以上、それを読み取る携帯電話などのリーダが必要になる。デジタルラジオは携帯電話などへの組み込みも想定しているため、携帯電話が2台必要になるのではないかという疑問も生じる。これについてKDDIの村上仁己技術開発本部長は「受信した端末でQRコードを解読するだけでなく、画面に表示することで周囲にいる、ラジオを聴いていない携帯電話所有者とも情報が共有できる。また、QRコードを圧縮ファイルとして扱い、それが数個集まったら小説が完成するなどのサービスも考えている」とし、あくまで様々なアイデアの一例であることを強調した。

 ほかにも、デジタルラジオから送られたURLに、AirH"データ通信カードを利用してインターネット経由で接続。そこからWMAファイルをダウンロードするというデモも行なわれた。「通信と放送を連携させることで、1セグメント放送でも有料音楽配信など、3セグメントと変わらないインタラクティブなサービスが実現できるというアピール」だという。

 また、これに関連して村上氏は、H.264フォーマットを利用して、1セグメント放送でも動画配信が行なわれる可能性も示唆。「3セグメントに比べてビットレートは低くなるかもしれないが、おそらく皆さんがビックリするほどのクオリティの動画を1セグメントでも取り扱えるようになるだろう」と語った。

通信を使って音声ファイルをダウンロードできる実験用コンテンツ「音の壁紙」。ダウンロードしたWMAファイルの再生デモも行なわれた KDDIの村上仁己技術開発本部長

 なお、2003年10月10日に実用化試験放送が開始され、1年以上が経過したが、対応チューナは発売されておらず、本放送開始時期も2011年という当初の予定から早まってはいない。村上氏はこの点について「総務省でもデジタルラジオに関する本格的な話し合いが開始されている。こうした実験を行なうことで、本放送の開始時期が前倒されるような追い風を作っていきたい。また、“面白そうだ”と興味を示し、受信端末を作ってくれるメーカーを生み出す手助けにもなると考えている」と、今回の実験の意義を述べた。

文化放送の取締役デジタル事業局長の平龍良氏は「実用化試験放送の開始から1年1カ月と1日が経ち、1セグメント放送局も様々なサービスの実現に向けた新たな一歩を踏み出せた」と喜びを語った 共同発表会ということもあり、発表会は文化放送で行なわれたが、司会を務めたのはTBSの山内あゆアナウンサー。軽妙なトークで時折笑いを交え、発表会を盛り上げた

□KDDIのホームページ
http://www.kddi.com/
□ニュースリリース
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2004/1111/index.html
□デジタルラジオ推進協会(DRP)のホームページ
http://www.d-radio.jp/
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(2004年11月11日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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