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プレイステーションポータブル(PSP)の最新ファームウェアVer.2.0が公開された。もともと充実したAV機能を持つPSPだが、最新ファームでは、MPEG-4 AVC(H.264)やブラウザ対応など大幅なアップデートが行なわれている。 今回は新ファームウェアで追加されたPSPのAV機能を試用した。なお、ブラウザやネットワーク機能については僚誌Broadband Watchでレポートしている。 ■ ビデオ 今回のアップデートの最大の特徴はMPEG-4 AVC(H.264)に対応したこと。MPEG-4 AVCは、同一ビットレートでもMPEG-4より高画質を実現できるコーデックで、地上デジタルの1セグ放送などなどの携帯端末配信用から、HD DVDやBlu-ray DiscのHD映像まで、幅広い応用が予定されている。 高い演算性能が求められることから、現状、PCではエンコード/デコード環境とも揃っていないが、それでもDVDプレーヤーソフトの上位モデルなどでは対応製品も増えてきている。
PSPでは従来よりUMD Videoディスク上でH.264/MPEG-4 AVCのビデオ再生が可能だっが、メモリースティックDuo上のビデオファイルはMP4(MPEG-4)のみをサポート。しかし、Ver.2.00でメモリースティックDuo上のMPEG-4 AVC再生にも対応した。 PSPでのMPEG-4 AVC対応にあわせて27日よりスタートしたSo-netの動画配信サービス「Portable TV」では、MPEG-4 AVCコーデックのメモリースティックビデオ形式での映像配信を行なっている。解像度は320×240ドット。ビットレートは768kbps。音声はAACで128kbpsを基準とし、同ビットレートでは、1GBメモリースティックに約2時間20分のコンテンツが保存できる。
ダウンロードは、パソコンとPSPを接続して、パソコンからSo-netのサービスページにアクセスして、コンテンツを選択する。コンテンツを選択すると、サーバーからPSPのメモリースティックに直接コンテンツがコピーされるというもの。パソコンへのダウンロードはできず、ダウンロードする際には必ずPSPとパソコンを接続しておく必要がある。 ダウンロードしたファイルは、PSPの[MP_ROOT]-[100ANV01]フォルダ以下に格納される。ダウンロード時には、こうしたフォルダ構成を意識することはない。 なお、パソコンにダウンロードファイルを書き戻した(コピーした)ファイルは、MPEG-4 AVCデコーダがPCに入っていなければ当然再生できないが、QuickTime 7のPreview版をインストールすると無事再生できた。ただし、有料コンテンツの配信では、PCへのムーブは不可能となる見込み。
いくつかダウンロードしたビデオファイルはいずれもPSPで視聴する分には満足いくものだが、基本的に16:9表示のソースでも4:3/360×240ドットで配信され、PSP側で引き伸ばして表示する。画質もPSPの液晶で見れば十分な精細感があり、ポータブル用途としては相当高いクオリティ。ただし、映画のトレーラーなどの大きな字幕の輪郭などは、もう少し解像度が欲しい。また、従来のMPEG-4から飛躍的な画質向上を果たしているかといえば、そんなに大きな違いは感じない。 なお、MPEG-4 AVC対応のメモリースティックビデオ作成環境としては、同日に「Image Converter 2 Plus」(2,100円/Image Converter 2ユーザー1,050円)のダウンロード販売が開始されている。
アスペクト比変換についても、従来のノーマル/ズーム(アスペクトを維持しながら拡大)/フル(アスペクトを無視して画面最大表示)/オリジナルに加え、新たに4:3を追加した。16:9のソース映像を4:3で表示可能となった。 また、市販のUMD VIDEO/UMD MUSICのジャンプ機能も装備している。これは指定したチャプタや時間から再生を行なう機能で、ビデオ視聴中に△ボタンで操作パネルを立ち上げ、矢印のアイコンを選択すると、画面右下にチャプターや経過時間が表示される。ここで、チャプタを選んだり、数値を入力することで、ビデオの任意の箇所までジャンプできるというもので、なかなか重宝しそうな機能だ。 A-Bリピート機能も装備し、市販UMDやメモリースティック内の動画ファイルの再生が可能となっている。 ■ ミュージック
ミュージックの機能では、新たにリニアPCMとAAC(MP4)に対応した。すっきりした出音が魅力のPSPとしては、リニアPCMの対応は嬉しいところだ。ファイルの転送はUSBでパソコンと接続して、[PSP]-[MUSIC]フォルダにドラッグアンドドロップするだけで、非常にシンプル。 なお、iTunesで作成したAACファイル(.m4a)を同様に転送したところ、そのままでは再生できないが、拡張子を.mp4に変更したところ、問題なく再生できた。ハードウェア的にはiTunesで作成したAACも対応しているといえそうだ。ただし、テストしたファイルではトラック名を認識しているものの、アルバムやアーティスト名はPSP側で反映されなかった。 拡張子を変更するのは面倒なので、今後のファームアップなどで.m4aのAAC、つまりははiTunesで作成したAACを正式サポートしてほしいところ。iPodのユーザーにとっても魅力的だと思うのだが……。
また、同日に公開された「SonicStage Ver.3.2」との組み合わせて、「メモリースティック PRO Duo」にATRAC3 plus形式の音楽ファイルが転送可能になった。従来のSonicStageからPSPへのATRAC3/ATRAC3 plus転送ができなかったが、最新ファームとVer.3.2を利用することで、直接転送が可能となったこともあり、SonicStageでATRACファイルを管理していたユーザーには非常に嬉しい機能だろう。 SonicStageからATRACファイルを転送する場合は、[OMGAUDIO]フォルダ以下に転送され、MP3やPCM転送時とは管理フォルダが異なるが、実際に再生する際にはMUSICメニューからMP3などと同じようにアクセス可能だ。 なお、SonicStage Ver.3.2は、SonicStage上のMP3ファイルをそのままPSPに転送する機能も備えており、こちらを用いるとドラッグアンドドロップで転送する時と同じように転送できる。特にプレイリストの転送時などには重宝する機能だろう。Ver.3.2により、PSPでの音楽管理の利便性はかなり向上したといえそうだ。
□SCEIのホームページ (2005年7月27日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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