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キヤノン株式会社は28日、DVカメラ「IXY DV M5」、「IXY DV S1」、「DC20」、「DC10」の発表会を開催。製品の開発背景と、広告戦略などを解説した。 同社はコンシューマ向けビデオカメラの発表会を2003年から、毎年1回行なっており、2003年は「本気宣言」、2004年はシェア3位を獲得して「メダル宣言」というスローガンを掲げた。 3年目となる2005年のスローガンは、キヤノン販売株式会社常務取締役コンスーママーケティングカンパニー プレジデント 芦澤光二氏が、「メジャー宣言」と発表。その意味を、「ビデオカメラの市場で、主力プレーヤーになり、第三位から大きく羽ばたく時が来たという意思表示」(芦澤氏)と説明した。
また、「今回の製品は力が入っている。下半期に投入するデジタル一眼レフカメラや、デジタルカメラ、PIXUSの先陣を切って投入する製品であり、趨勢を占うことになる」と胸を張った。 ビデオカメラ市場におけるキヤノンの現況については、「3年かかって、キヤノンのシェアや認知度も上がりベースが築けた。これから、発展していく時期に入る。秋の商戦ではシェア25%以上」と目標を掲げた。 ビデオカメラ市場全体では、「全体の台数がそれほど伸びるとは考えていないが、内訳が変わることで平均単価は右肩上がりになるだろと予測している」という。
今回の製品開発にあたり、「市場がビデオカメラに何を求めているか模索を続けているが、『小型』、『高画質』、操作性という意味での『DVD』が3大トレンド」と分析。特にDVDビデオカメラは、9月の時点でビデオカメラ市場の35%を占めると予測した。 今回のラインナップでは、3大トレンドの『DVD』をD20、『高画質』をM5、『小型』をS1が担い、それぞれ3番バッター、4番バッター、5番バッターになぞらえ、「クリーンナップトリオ」とした。 中でも注目されるのが、同社では初参入となるDVDカメラ。芦澤氏は、「後発の強みを十分に生かした。満を持してDVDカメラを投入したと見てもらいたい」とし、「この製品を手にしたときに直感で、ちょうど初代IXYを手にした時の様な、イケルという手ごたえがあった。これは、かならず、相当なヒット商品になると、自信を持っている」と胸を張った。 後発となってしまった理由については、「使いやすさはサイズだと考えているので、キヤノンとしては大きさを気にして開発した。その要素技術の開発に時間がかかった。しかし、その結果として、 使いやすい薄さ、大きさを実現できた。また、DVDの録画画質を上げるのも課題であったが、やっとキヤノンの基準の画質に到達した」と説明する。 S1については、「キヤノンは今までのこのサイズの製品は出してこなかった。単に小さくてもダメ。キヤノンが出す以上、ダブルOKではなくてはならない。S1は、200万画素クラスの中では、世界最小・最軽量でありながら、写真DVを実現した」と自信を見せた。 また、併せて今回のビデオカメラのイメージキャラクタに、女子プロテニスプレーヤーのマリア・シャラポワ(Maria Sharapova)を起用することも発表された。採用理由は、「モデルでもありプロテニスプレーヤーでもあるシャラポワと、キヤノンのビデオカメラが、ビデオでも写真で、ダブルOKということが結びついた」という。
2004年11月よりキヤノンU.S.A.がシャラポワと、ワールドワイドでのパートナーシップ契約を締結しているが、日本国内における起用は今回が初となる。
8月の後半からCMがオンエアーされ、新聞、雑誌や交通広告も展開。さらに、シャラポワのオリジナルグッズがあたるキャンペーンなども行なう予定。
キヤノン株式会社イメージコミュニケーション事業本部 副事業本部長 国吉孝氏は、今回の製品の特徴を、「キヤノンレンズ」と、映像エンジン「DIGIC DV」のNo.1エンジンを搭載したことと説明。今後は、No.1エンジンのマークを使って訴求していくとした。
今回の製品用には、2種類のレンズを新設計。M5用に400万画素に対応するため、非球面レンズ2枚を使用している。また、200万画素用には超小型レンズを開発。超高屈折率球面レンズや、新グラデーションNDシステムを採用することにより、従来から容積を約半分にしながら、画質は保っているという。
さらに、M5では画素数の多さを利用して、S/Nを改善。フィルタリングの処理を最適化したほか、画素加算などを含めて、ノイズの低減をすすめ、低照度の画質の改善を行なっている。 SD動画に400万画素が必要なのかという疑問もあるが、「ユーザーアンケートで40%前後が、ビデオと静止画を1つでやりたい回答している。また、HDソースをSDテレビで見るときれいに感じる。現在、レンズも400万画素に堪えられるようになり、センサーもアルゴリズムも改良したことで、400万画素からSDにダウンコンバートしているのと同じように高画質が得られるようになっている」と反論した。
また、ソニーとビクターが先行しているHDVカメラについては、「もちろん基本的な取り組みはしている。しかし、出すのであれば、本当のHDを出したい。S/Nも、ダイナミックレンジもいいというものを目指したい。それには、本当にHDだと思える絵を出しているセンサーなどが必要になる。HDとしてのメリットを感じてもらうために、本物志向で、開発を進めている」とした。
□キヤノンのホームページ
(2005年7月28日) [AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
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