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2004年4月からBSデジタル放送と地上デジタル放送に導入されている「コピーワンス」が見直されることとなった。29日に開催された総務省 情報通信審議会で中間答申が提出され、コピーワンスに関して、今秋より検討を開始、年内を目処に結論を出す予定が明らかにされた。 コピーワンスは、地上デジタル/BSデジタル放送の原則として全ての放送に、「1回だけ録画可能」の制御信号を加え、暗号化して送信するもの。コピーワンス信号を付加された番組は、対応メディアに“一回だけ”録画できる。そのため対応レコーダのHDDからDVDやBlu-ray Discなどへ“ムーブ“すると、HDDに記録したデータは、光ディスクに転送した後、HDD上から消去される。 コピーワンスは、不法コピーの対策などを目的として2004年4月5日より本格導入されたが、「録画した番組を1回であればダビングできる」といった誤解や、「コンテンツがバックアップできず、SDカードなどにダウンコンバートした場合元のHDコンテンツの保存ができない」、「ムーブ時にムーブが完了しないのに不具合が生じ、オリジナルが消去されてしまった」などの意見が寄せられている。 また、「録画したコンテンツを車や携帯端末で見えない」など、コンテンツの並列利用ができないという不満や、「B-CASカードが無いと視聴できない」などの不満も寄せられているほか、メーカーの開発現場からはコピーワンスやIPへの出力禁止により、「ホームネットワーク機器の実現が難しい」といった意見が寄せられている。 審議会では、2011年のデジタル放送全面移行を推進するにあたり、「複製は私的録画の範囲内」という観点から、「コピーワンスの現行の運用を固定化する必然性はなく、私的利用の範囲で視聴者の利便性を考慮して運用の改善に関係者一体となって対応していくことが必要」と指摘。 HDDレコーダの普及拡大にあわせて、アナログ放送のルールによるダビング/編集になれた視聴者が急増しているが、「こうした状況下で視聴者の不満を放置すれば、2011年に向けた受信機の普及にとって大きな障害があるおそれがある」とする。 そのため、9月をめどに関係者による検討の場を設け、対応に着手、年内に結論を出すことを目標に活動を開始する。放送事業者では、「コピーワンスの現在の運用にこだわるものでなく、私的録画の範囲で、視聴者の利便性のためコピーワンジェネレーションの運用取り決めの見直しに対応する」としており、具体的な方策としては「ムーブが完全に行なわれてからオリジナルを消去」や、「私的利用の範囲に限定される家庭内IP伝送」などについて技術的に実現する方向で検討する。 また、検討課題として、「運用の柔軟化とあわせて、不正コピーに対する監視や警告を行なう組織や、不正コピーに対して適切なリスク分担を実現する社会的な仕組みづくり」なども挙げられている。 なお、今後サービスが予定される「サーバー型放送」における著作権管理システムとしては、現在「S-CAS(Conditional Access System)」の検討が進んでいる。端末単位でなくホームネットワークの限られた範囲(ドメイン)でコピーフリーとすることを可能にするなどの柔軟な管理が予定されている。 □総務省のホームページ (2005年7月29日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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