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■ 販売開始されたHD DVDソフトをテスト 3月31日に発売されたプレーヤー「HD-XA1」から遅れること7日、市販HD DVDタイトルがポニーキャニオンから発売された。発売タイトルは以下の3作品。
価格は「夜桜」と「さくら」が各4,935円、「地球の大自然」が5,460円。都内の家電量販店では、発売前日の6日に3タイトルが既に発売されており、販売価格は「夜桜」と「さくら」が各4,400円、「地球の大自然」が4,910円。今回「夜桜」と「さくら」を購入した。 収録時間は「夜桜」が55分、「さくら」が53分。コーデックはともにMPEG-4 AVCとなっている。初代HD DVDプレーヤー「HD-XA1」の使用感についてはレビュー記事を参照して欲しいが、市販タイトルを使って、HD DVDソフトのアドバンスト機能の現状を検証してみた。
■ 地味ながら操作性も「次世代」に
HD DVD-ROMのアプリケーションフォーマット、HD DVDビデオ規格では、Standard Content/Adavanced Contentなどのコンテンツタイプを用意している。 Standardは、従来のDVD-Videoとほぼ同等の再生機能を実現し、HDビデオ/オーディオコンテンツを収録できるもので、プレーヤーに付属の「バイオハザード」、「ムーンライト・ジェリーフィッシュ」は、いずれもStandard Contentのため、DVDとほぼ同様の操作性だった。 付属ディスク自体は片面2層(30GB)で、コーデックにMPEG4-AVCを採用。ビットレート20Mbps(VBR)、AACSもかかっている。ただし、ウォーターマークは無しとなっている。 Advanced Contentは、Standardの機能に加え、メニューやテキストの高品位化、再生中のメニュー表示/選択、ビデオグラフィックのアルファブレンディング、複数オーディオのミキシング再生などの機能が追加される。さらに、Advanced Contentでは、ネットワーク経由でのコンテンツ追加や、プレイリストダウンロードによる再生機能の更新なども追加できる。
市販ディスクを買ったのも、付属ディスクでは体験できなかったこれらのインタラクティブ機能(アドバンスト機能)を利用したかったため。ネットワーク関連の機能は、しばらく先になりそうだが、発表会場などで見たデモでは、再生中のチャプタメニュー表示や、音声切替メニュー表示など、操作性でも現行DVDの不満点の多くを解消してきたように感じた。 まずは、発表会場でも画質の評判の高かった「夜桜」を視聴した。ほぼDVDと同じ操作性と思われたが、リモコンの十字キーの上を押すと、チャプターリストがポップアップ表示され、ここで左右を選択することで再生中にチャプタ切替が行なえる。
「さくら」を視聴したところ、再生中にメニューボタンを押してメニューを表示し、音声や字幕を切り替えたり、チャプタ選択などが可能。レスポンスも良好だ。画面を止めることなく、チャプタが切り替えられる、字幕/メニューを画面上で確認して切り替えられる、というだけなのだが、DVDからの操作感の進化を感じさせてくれる。
とはいえ、今のところ搭載しているアドバンスト機能はこれくらい。ネットワーク対応などどこまで実現できるか、今後のコンテンツホルダの対応次第だろうが、各メーカーともアドバンスト機能の搭載には積極的なようで、今後の新機能の拡充に期待したい。 なお、7日に発売された3タイトルは、全て片面2層で、1層が15GB HD DVD、もう一層が4.7GB DVDの「ツインディスク」仕様となっている。HD-XA1のトレーに入れると再生層の選択画面が現れ、HD DVD/DVDを選択できる。なお、HD-XA1では、トレー投入時以外、再生層の切替はできないので、「DVDの後にHD DVDを見たい」といった時には一度トレーを開く必要がある。 画質は非常に良く、付属のディスクより格段の鮮鋭感が味わえる。主にフルHD液晶テレビ「REGZA 37 Z1000」にHDMI出力(1080i)で視聴したが、「夜桜」では、ライトアップされた桜と影の陰影、提灯の明かりの周りのなだらかな階調表現、一面の桜のクロースアップの繊細な描写など、ハイビジョンならではの繊細でナチュラルな画質。
「さくら」でも、俯瞰で撮った宮島の桜や、風に揺れる葉桜などの印象的な映像をハイビジョンで堪能できる。SLと桜を収めた冒頭のシーンでは、図らずもフレームに入ってしまっていた鉄道カメラマンが斜面を駆け下りていく様子がばっちり映っている。DVD層で見た場合は、「あ、人はいっているな」という程度なのだが、HD DVDで見ると非常に気になってしまうのはハイビジョン映像ならでは。 HD DVD/DVD層を切り替えて、画質比較も可能。DVD層は、DVDビデオとしては画質はかなりいいが、HD DVDを見慣れると、大分眠い映像に感じられる。映像はもちろん、メニューや字幕の輪郭の崩れなどが、気になってしまう。一度、HD DVDに移行してしまうと、DVDに戻るのはなかなか辛そうだ。 なお、HD DVDでは現在のところリージョンコード設定が無いが、DVDに関しては従来通りリージョン2で、夜桜、さくらともに、リージョン2と記載されている。 ■ HD-XA1の中身を覗いてみた
一通り機能を使い終わったところで、簡単にHD-XA1の中身を覗いてみた。 既にIntelの家電向けプラットフォーム「Intel 854」をベースに、NEC製ドライブや、Broadcom製のデコーダチップを搭載することが公表されているが、シャーシの構造なども気になるところ。 まずは、背面のネジを外してシャーシを開いてみる。本体上部の黒いカバーは、触感や質感から金属製だと勝手に思っていたが、強化プラスチック(ABS)で、外してたたいてみるとプラスチックらしい音がする。最近のプラスチック加工技術は凄いものだと感心した。 カバーを外すとスチールのシャーシカバーが現れる。このカバーを外すとメイン基板などが確認できる。シャーシは2層構造になっており、上層にCPUやデコーダチップ、下層にHD DVDドライブや出力系を備えているようだ。下層のシャーシは開け方が分からなかった。
メインの基板には、ファンを備えたCPUや、大型のヒートシンクを備えたチップなどが見える。CPUを外してみたところ478pinのIntel製で、記載されているsSpecナンバーは「SL6WY」。IntelのProcessor Spec Finderで検索したところ、モバイルPentium 4 2.5GHzのようだ。 Intelベースということは知っていたが、別途デコーダチップを搭載していることを考えるとここまで高クロックなCPUを積んでいるとは思わなかった。IOコントローラやHynixのメモリなど、基板だけ見ているとパソコンのようだ。 79Wというプレーヤーとしては破格の消費電力や、使用していて気になったファンノイズも、この構成を見ると納得してしまう。しかし、使用感に直接関わる部分なので、世代を重ねるごとに改善を進めて欲しいところだ。 部品点数も多く、これだけ見ると実売10万円という価格も納得できるし、安いとすら思える。もっとも、ユーザーは部品を買うわけではなく、機器によって得られる体験に対価を払うわけで、部品が高いからいいという訳ではないが……。
□東芝のホームページ ( 2006年4月7日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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